iv

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例え僕が君の傍に
飛んで行けたのだとしても
僕はきっとそんなことはしないんだ

そして君が僕の為に
この命を想ってくれていても
僕はきっと叶えたり出来ないんだ

そういう世界だからだとか
「もういいや」僕には関係ないから
仰せのままに致しましょう

もし君の隣に居たくなったら
とてつもなく会いたくなったら
この背中に翼を生やすこともなく
口笛吹きながら向かうよ
心なしかゆったりとしたペースで
過ぎる景色に耳を澄まして
どんなコースで帰るのかを考えながら

例え話君と僕が
あの日入れ替わったとしよう
君はきっとそんなことは望まない

だけど僕が君の様に
この鼓動が止まっていたとしても
君もきっとその鼓動を止めるだろう

こういう世界なんだそうだ
「まあいいか」君にも関係ないから
仰せのままに致しましょう

仰せのままに致しましょう

仕方もなくまた埋め合わせ
するたび希薄になる僕という存在
突き詰めれば返ってくる聞き厭きた問い
蘇る日々青空と春風
塗り潰された記憶の片隅
「こんなところにいたの?」

もし僕の隣に吹いた風が
苦しいほど懐かしかったら
この背中に翼が生えてきたりして
なんて想像してみたりして
心なしかゆったりとしたペースで
過ぎる景色に耳を澄まして
どんなコースで帰るのかを考えながら

散歩に出るよ

iv

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-04-22

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