Waoreka

小宇宙が吹き飛んだ
そよ風がそっと僕の肩を撫でる様に
今日ひとつの何かが消えていった

気付かれることはないのに
亜麻色の期待を連れて行ってしまうから
もう仕方がなく僕の庭で飼うことにするよ

可哀想に

君の本当とは僕にとって
何の疑いの余地もない無色で
触れようとすると通り過ぎている様なもの
振り返れば君が微笑んで
どこか脆く愛おしいような気がして
だけど僕にはそれが何故かは
わかっていなくて

小宇宙を創造した
あの夢がきっと僕に君を魅せた様に
今日明日の欠片が消えていった

暴かれることはないのに
虹色の事実を知ったかぶってしまうから
もう関係はなく僕も知ったふりをするよ

添える様に

僕の本音とは君にとって
何も見えない聞こえないみたいで
弾こうとしても無駄そこにある様なもの
そうあってほしい
そうであってほしい

無理に見渡す必要なんてないんだよ
この世界はどうも君には苦しすぎる
残酷に散る命の傍ら
無碍に終わる約束の隣で
僕ら無視して夢を語ろう
焼き殺される冤罪の老人
悪党に売られる少女の側で
僕ら呑気に思い出話をしよう
帰りの電車を待つ駅のホームで
サヨナラを言う15秒前
僕ら明日の誓いを立てて死のう

小宇宙は存在した
この世界がもっと優しさで溢れる様に
明日ひとつの命が生まれて――

Waoreka

Waoreka

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-04-22

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