Heika
夕暮れ河川敷並んだ影なぞるように歩く
静寂好む横顔私には息苦しくて
夏姿淡い期待と菖蒲の華
水仙の似合う貴方に目が眩んで
ヒトゴミ縫う様に抜けていく貴方に追い付きたくて
伸ばした手攫んだ袖振り向き際にそっと離して
指から滑る心地良い感触がどこか切なくて
儚く落ちていく様まるで恋模様
「大丈夫」繰り返し唱えて過ぎる豊平川
夕に藍が差して差し掛かる中島公園
「休もうか」答を待たずベンチに腰掛けた貴方
私の慣れない足元を見て嗤い堪えてる
ヒトゴミ何気なく目で追う貴方に近付きたくて
ヒト想い声乗せ寄せた囁きが喧騒に掻き消されて
届かぬ横顔見て視線気付きそっと微笑むいけず
賑やかさに咲いた提灯靡く夏風便り
右手引かれて惹かれて夢見心地私赤く熟れたみたい
髪型変えた私に向かって貴方「林檎みたいだよね」と
揶揄い燥ぎ気取り屋台で買った林檎飴優しく手渡す
静けさに包まれつつある会場を後に「さあ行こう」
ヒトゴミかけ離れ行き着いた先二人の特等席
唐突に言うの「僕は祭りは嫌いだけどこの場所とね--」
弾けて見上げて轟音鳴り響くスキに貴方
お道化て見蕩れたフリをして不意に「--がスキだよ」
林檎飴ヒト齧り「私も」
Heika