タイムリミット 1
長年の片思いが、噂好きの幼馴染にバレてしまう話です。BL要素があるので、苦手な方はご注意を。
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柴崎深琴(しばさき みこと)は持ち前の洞察力と、本人曰く日課であるという人間観察によって人の心理状態や人間関係を素早く断し、且つそれを知った上でその人間同士のやり取りを生暖かく見守るのが趣味らしい。そして噂話が大好き。
こう書くと「キモチワルイ」としか表現できないのに、生まれ持った目鼻がくっきりと整った顔、風に乗ってフワフワと揺れる綺麗な髪や猫をかぶった、一見「美少女に見える」性格でそれらがごまかされているという事実は、まったくもって遺憾である。
その趣味がうまく周囲から隠されている事も、
俺、真城隼(ましろ なおや)と小学校からの腐れ縁だということも。
今、俺にとってとてつもない爆弾を抱えているということも。
「ほら、そんなにもったいぶらないで話してよ」
そう言って大きな瞳に「好奇心」の色を浮かべた柴崎は行儀悪く足をぶらぶらさせながら俺の向かいの席に座っている。
柴崎には噂がある。学校の放課後、恋の悩みを持った生徒の机の向いに座り、恋の悩みの相談役になるのだと。
きもちわるさ倍増である。
たしかに俺は恋の悩みをもっている。だからといって幼馴染にそれを相談する趣味はない。
「特にこんな奴に。」
「聞こえてるわよ?声に出てるわ。」
俺の本音を受け流し、柴崎の形のいい唇がゆっくりと孤を描く。
「だって気になるわ。そう、学校の恋愛の相談役という肩書きを無しにしても」
お前が勝手にはじめたんだろうが。というか、その噂はほんとうだったのか。
「だって、」
たのむ柴崎、お前はたしかに学校でも有名な恋の相談役かもしれない。でも、たのむ、その爆弾はどうか。
「だって、幼馴染でずっと一緒だった隼が透(とおる)に10年近く片思いしていたなんて、あなたに話を聞かないでいられるわけないじゃないの」
無情にもこの瞬間、俺と柴崎しかいない放課後の教室に爆弾は俺に最大の威力を以て投下された。
タイムリミット 1
拙い文章ですみません(滝汗)