遺言屋3
前途多難?
お屋敷の中も、想像以上に広かった。
「ちゃんと付いて来て下さいね!
迷ったら終わりですよ〜」
「おわ…澪、絶対手離すなよ…!」
手をひかれる澪が、怪訝そうな顔をしていた。
「澪…?どうかした?」
「お兄ちゃん、ここ…おかしい。
変なのがまったくいないの。」
「……!!」
澪に言われて気づいた。
確かにおかしい…!!
僕ら兄妹には、人ならざる者が視える。
それは遺伝的なもので、
死んでしまった母が視える人だった。
ふだん、辺りには様々なものが居る。
人の形をした者もいれば虫のようなもの、
獣や、それこそ幽霊みたいなのまで。
でもこのお屋敷内にはまったく居ない。
メイド服お手伝いさんは、
僕らの会話が聞こえた様だった。
「ああ、やっぱり視える人、なんですねえ。
もちろんここには悪しきものは居ませんよ。
ここ、東郷家は妖怪退治の大家。
強力な結界が張られてますからね!」
「妖怪退治……?!」
「ええ!あ、申し遅れました。
アタシは東郷家に仕える三毛、と申します。
ミケさんって呼んで下さいね♪」
「……ミケさん…人間じゃないよね?」
「え…?!」
澪が突然言い出す。
「なんか…ちがう…ね?」
ミケさんの細い目が、少しだけ開く。
そしてニッコリと笑った。
「ま、そのうちわかりますから!
焦らない焦らない♪」
そう言ってまた軽快に歩き出した。
澪は僕よりも霊感が強い。
母の血を色濃く継いでいるのだと思う。
歩き始めて5分。
やっとお屋敷が見えてきた。
今からご当主様に挨拶…か。
ちょっとドキドキするな。
ミケさんがお屋敷に上がり、
それに続く。
そして僕はそこで、美しい花を見た。
遺言屋3
遺言屋2の続きです。
まだ全然物語進みませんすみません…