遺言屋1

そして出逢う

両親が死んで、もう2年が経つ。

そろそろ貯金も底をつくだろう。

僕一人ならいいんだけど…

「お兄ちゃん!おっきいおうちだねえ…!
ミオたち、ここに住めるの…?!」

まだ小さな可愛い妹。僕はなんとしても

この子を守らなきゃいけないんだ。

「そうだよ、澪。さあ、行こうか。」

目の前に広がるのは大きなお屋敷。

家を囲う塀の端が見えない。

正直…なんだ。やーさんとか住んでそうな…

いや疑っちゃダメだ。

僕らはこの家に感謝しなくちゃならない。

丁度仕事を探しているときにアルバイト募集の貼り紙。

泊まり込みで使用人募集、問い合わせてみたら

妹もOKだと言われた。

不安はもちろんある。

だって僕だって本当はみんなと一緒に高校に行って

青春するはずだったんだ。

でもこんな好条件、見逃したらもうないような気がして。

気づいたら電話していた。


本当に現代なのか分からなくなるような

時代劇にでも出てきそうな家だけれど、

玄関にはしっかりインターホンがあった。

「お兄ちゃん、ミオが押したい!」

「え?!うん、いいよ、ほら。届く?」

精一杯背伸びして押そうとする姿が可愛くて

ダメだこれじゃシスコンだと悶々としていると

『ハイハイ、お待ちくださいな!』

インターホンから元気な声が発せられた。

ぎぃ、とこれまた大きな観音開きの扉が開かれる。


僕は知らなかった。

これから、普通に人生を送るのだと思っていた。

しかしこの扉が開かれたときから

いや、もしかしたらもっと前から

僕には平凡な人生など歩む道はなかったのだ。

遺言屋1

遺言屋1

あの扉が開いたときから 僕には平凡な道を歩むことなどできなかったのだ…… 両親が死んで早2年。幼い妹を抱えた如月莉旺は 大きなお屋敷の使用人として働くことを決心する。 でもそのお屋敷、ただのお金持ちな家じゃあないようで…? 初めての小説につき、至らぬところも多いかと思います。 温かい目で見ていただけたら嬉しいです。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-04-19

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted