白棺

白棺

奇形、血表現注意。

白棺

白棺

昔、話してくれた昔話。


『あ、
奇形児だ
腕が4本だ
口が耳まで裂けてて大きい
目玉がひとつだ、目も異様に大きい
足が腹の真ん中から1本生えている。
顔を髪が覆ってる
肌が透明だ、皮膚が明かりを透けて見せてる
頭はドーム状で首がない
顔から腕が生えていて肩がない
血管が皮膚を裏返したかのように表に出ていて、
爪はまるでケモノのよう。


笑ってない
怒ってる


舌ベロは足の指の形
背中からいくつかの骨が飛び出している
無心体は逆さまに頂頭部から垂れていて、
アザラシ肢症のぬるっとした足りない手。
鼻が眉間から突き出し、真っ二つに割れていて、
片方の眉毛は目の下に。
歯は尖っていて牙みたい


怒ってない
泣いている


「あなたといると幸せなのよ」


奇形児の子に、少女は自ら手を差し出した。
強く握った。
腕を掴んだところから、小さくぷつんと破れ
弾けて
赤い血と皮膚が花と散って
それらは少女の顔に張り付いて
そしてゆっくりと重力に従った。


少女は無言でその子を葬る。』


子守唄のように語ってくれたから、心地よく眠れたのを覚えてる。

白棺

白棺

美しいつもりの、怪文に近しい詩。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • ファンタジー
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  • ホラー
  • 青年向け
更新日
登録日
2015-04-19

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