茜色の空

茜色の空

初めましてふみメカです!
なんとか感動ものをと思い
書いたものです笑笑

展開はやいです笑笑

パイロット

僕は…いま、どこにいるの
暗くて…寒くて

なにも見えなくて…

もう、死ぬのかな
ここまで…?



嫌だ


嫌だ嫌だいやだいやだ

誰でもいい
僕を助け…て…



「ぉ… ぉい…」


誰かの声…?
そんなはずない
ここは海の中
僕は敵軍に落とされて…


走馬灯って本当にあるんだな…
思い出したくないのばっかり…


さようなら
れお…

仲間

ここは…?

僕はあのとき死んだはず
なのにどうしてこんなところに…

僕は目が覚めたら知らない場所にいた
ここには覚えもないし
なぜここにいるのか全くわからない

「あ、やっと起きた!怪我は大丈夫?」

「はい、あのここは…」

「ならよかったぁ♪そんなことより君、名前は?」

「葵です」

「葵くんね!準備出来たら降りてきてね」

慌ただしくやって来て自己紹介をさせて
降りてこいと言った女のひとはどこか懐かしい感じがした

支度をして下へ降りるとさっきの女のひとは
朝食を作って僕のことを待っていた

「はやく食べな!冷めないうちにさ!」

「はい、いただきます」

料理はとても美味しく
女のひとは優しく、
緊張は次第になくなっていった

女のひとはれおと名乗った


「れお…」

「私の名前がどうかしたの?」

「いや、なんでもないよ」

れお…聞いたことのある
とても大切なひとの名前
でも思い出せない…



葵はれおにこれまでのことを話した

パイロットを目指していること
空賊を撃墜するという国からの使命について
そして相手に落とされ海に墜落したこと

誰かに助けてもらったこと

「その助けてくれた人、もうすぐ帰ってくるよ」

「れお、ただいま あ、君、目が覚めたんだね 本当によかったよ」

そういって帰ってきた青年に力強く頭を撫でられた

「あの、あなたが僕を助けてくれたんですか?」

「一応そうなるか、偶然お前を見つけただけだがな」

「ありがとうございます」

見たところ悪いひとではなさそうだ
青年の名前はロキというらしい

彼もパイロットだが、機体がメンテナンス中のため
船で遊んでいたところ
僕が流れてきたので助けてくれたそうだ

「ま、無事なら何よりだ それよりお前…」

「はい」

「うちの船団にくるか?パイロットなら拠点があった方がいいだろう」

「いいのですか?」

「もちろんだ!んじゃれお、行ってくるぜ」

「気を付けてね!」


れおに見送ってもらい僕はロキの船団へ向かった
拠点までは10分もかからなかった

「お前ら!新しい仲間だ!」

ロキがそう言うと建物の中からたくさんの人が出てきて
僕を見ると歓迎会の準備だ!と言い、中に案内してくれた

「今日から葵は俺達の仲間だ!遠慮はするな!」

ロキはそう言うと僕に飲み物やらお菓子やら
色々持ってきてくれた
ほかの船員も歓迎してくれた



仲間…

その言葉に僕は
胸の奥が熱くなるのを感じた


僕はこの先この仲間とどのような道を進むのだろうか
不安と期待、両方が一気に押し寄せてきて
ものすごくそわそわしている

「みなさん、今日からよろしくお願いします」


軽い挨拶を済ませたあとは皆と歓迎会を楽しんだ

撃墜

歓迎会の次の日から僕は船団のみんなと一緒に空賊を撃墜することになった
前と同じ仕事だが、前と同じ一人じゃない
空賊の名前は「竜幻」
竜幻の船団長、エディは空賊史上もっとも高い懸賞金をかけられている
強敵、という言葉では表せないくらい相手は強かった

ロキ「葵!後ろにつかれるなよ」

葵「はい!」

鳴海「もっとスピードあげて!相手に翻弄されないように!」

ケイ「コード上げすぎんなよ!」

ロキ「よし、今だ!葵、打て!!」


「はい!」


船団のみんなに支えられながらなんとか一機撃墜した


結局空賊は逃げてしまい、撃墜したのは船員みんなのをあわせて七機だった

「サポートありがとうございました」

葵は船員たちにお礼を行って深々と頭を下げた
すると船員たちは
いいよそんなこと
仲間なんだから当たり前じゃん
それより撃墜、すごいじゃん!
と笑顔で僕をほめてくれた

でも僕の力ではない
ほかの船員がサポートしてくれなかったら
今頃撃墜されていた

もっと強くならないと…
もう何も失わないように……

記憶

「れぉ……れ…お」

目が覚めると皆が心配そうに僕を見ていた

「大丈夫か?」

「えぇロキさん…とゆーか皆さんなんでここに?」

そう言うとロキは驚いて僕に何も覚えていないのか?と言った
久しぶりの空賊との戦いに疲れて倒れてしまったらしい
相手はあの竜幻だったのだからそれも仕方ないのだろう

「皆さん心配かけてごめんなさい」

「いや、お前がなんともないならいいよ」

鳴海はいつも通り優しく僕に笑ってくれた

れおが思い出したように
そーいえば…と言った

「寝ているときれおって言ってたわよ。私じゃないよね、何かあったの?
話したくないことだったら無理に話さなくてもいいからね」

「そうでしたか、皆さんにはお世話になっている身ですしちゃんとつたえておきます」

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僕は二人兄弟でれおという妹がいました
僕のいた町には子供が少なかったので
それもあると思いますが
妹とはとても仲が良く一緒に遊んでいました
ですが僕は10才になると空賊を倒すためのパイロットとして働くことになりました
妹はまだ7才でしたがしっかりしていて長い間家をあけることになると言うと
私に任せて!と元気に見送ってくれました…

それから5年たったころ、僕は家に帰ることになりました
帰るといっても一時的に帰省を許されただけで
家族にあってすぐに帰ってくる、というものでした
僕は急いで妹の待つ家に帰りました
しかしそこにはなにもありませんでした
焼け野はら…というのでしょうか
僕はしばらく動くことが出来ませんでした
何があったかわからずただ無意識に流れ出る涙が
悲しいことがあった
と自分に伝えた
胸が張り裂けそうになり、息が苦しくなった

僕はわずかに残された希望に向かって歩みを進めた
僕のいえ、妹の待つ家
この丘の向こうに僕の家がある
笑顔のたえないあたたかい家

あるはずだった

消えてほしくなかった

辛い、痛い、苦しい

僕はその場に座り込んだ
僕の足元には赤色のリボンがあった
妹がいつもつけていたものだ
僕が誕生日にあげたネックレスや鏡
そして僕たちが笑顔で写った写真もあった
焼けてしまっているが
形は残ったままだった


僕は泣き続けました
涙が渇れるまで
ずっと

****************************************

「それからのことはよく覚えていません、ふらふらと飛行していました」

パイロットとして仕事に戻ろうとしていたところに敵軍がきて
僕は落とされてしまった

「そして気づいたらここに、
助けてもらっていました」

「なるほど、その妹の名前が…」

「はい、妹はれおという名前でした」

「ごめんね、そんな辛い話し…」

「れおさんは悪くありませんよ、それに同じなのは名前だけですから」

ロキも続けていった

「そうだぞ、葵の言うとおりお前はお前なのだからな!」

「ありがとう!二人とも」

そのあとは皆で昼食をとり、話しているうちに
あっという間に時間は過ぎていった

竜幻・エディ

その日の船団は朝から慌ただしかった
空賊団・竜幻がこの近くに現れたという知らせが入ったからだ
すぐに支度をし、急いで竜幻のいる場所へ向かった

しばらくすると竜幻が見えてきた
かなりの数、しかもエディもいる

「竜幻は敵を囲んで攻撃する攻撃を得意とする集団だ
周りに気を付けろよ!」

ロキがそう言い終わったタイミングで相手も攻めてきた
いくらスピードを上げてもついてくる
少しでも気を抜けば待っているのは死のみだ

エディが仕掛けてきた
なんとか避けられたがギリギリだった
当たっていたら即落とされていた

竜幻の船団長、エディ
史上最高の懸賞金をかけられている空賊団の団長
その実力を目の当たりにした船員たちに緊張がはしる

その時だった

鳴海が撃ち落とされた
なんとか着地出来たみたいで良かった

「みんな、俺の落とされちった
もう飛べなさそう、あとは頼んだよ」

無線が入って
鳴海の残念そうな声が響いた

こっちも何機か落としているが
エディにはたまひとつ当たっていない

こうなったらもうあの手しかない
覚悟を決めた

「皆さんあとは任せました!」

そう叫びながら僕はエディの船に突っ込んでいった


葵の船はぶつかってすぐに爆発してしまった
エディは間一髪でかわし、直撃は免れたが
機体の損傷が激しくかなりふらついている

その隙を狙ってロキはエディを撃ち落とした

船団長のエディを失った竜幻はバラバラに退散していった


皆は葵の元へ急いだ

しかしあったのは燃え尽きた機体だけだった
葵の遺体には布がかけられていた
元から地上いた鳴海が
一足先に弔いの準備をしていた

鳴海は目に涙をため、弱々しい声で

「葵がレコーダーに俺たちへのメッセージを残していた」

と言った

レコーダーの再生ボタンを押して
少ししてから葵の声が流れ始めた

「これが流れてるってことは俺はもう死んだんだね、なんか不思議な感じ
エディは俺がぶつかっていっただけじゃやられないと思うから
ロキ…多分君が落としてくれたのかな
僕はこの選択を後悔してないよ
皆と過ごした日々は短かったけれどとても楽しかった
だからもっと皆と過ごしたかったな
でもね悲しくなんてないよ
僕は大好きな空の上で一生を終わることが出来たから
みんなより一足先に逝くけれど
また何十年か後には皆であえると思う
次は天国で
もし生まれ変わったらロキの船団にはいるんだ!
みんなで大空を駆け巡る日を楽しみにしてるね

本当にありがとう」

そこでテープは終わっていた

拠点ではれおが皆の帰りを待っていた

れおは船員に涙を見せることなく
あたたかい笑顔で葵に話し掛けていた
最後にありがとうといって
部屋を出ていった


葵の弔いはその日の夜に行われた

葵の墓には1輪の花が供えられた
自由という花言葉のダイモンジソウが

風に揺られた花から

1枚の花弁が空高く舞い上がった

空高く舞い、やがて見えなくなった


最後にロキが笑顔で言った


「葵、俺たちがそっち行くまで待ってろよ
しっかり説教してやる

じゃあな、 また会う日まで…」

茜色の空

これにて葵の物語は終演となります
m(__)m

茜色の空

空を駆け巡り、最期は空とともに… そんな少年パイロットの小さな物語

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-04-19

Copyrighted
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  1. パイロット
  2. 仲間
  3. 撃墜
  4. 記憶
  5. 竜幻・エディ