近未来小説「 Neo Border - The near future -」

近未来小説「 Neo Border - The near future -」

The near future <ワインとシャイニングキャンディー>012

ワインフェスティバルの後、Mark 、William、Johnは久しぶりにアメリカで会うことになりました。
それぞれの得たさまざまな情報や人脈、世界情勢などを話し合いましたが、 その中でMarkの出会ったワインの少女の話は意外な方向へと進む。

Markはモバイル端末に残されていたワインの少女の言葉をみんなに聞いてもらった

Mark
「・・・と、ワインの少女は言って一瞬のうちにいなくなったんだ。」

William
「集まった夢、か」

John
「俺たちの夢というより、"仮想地球(Globe of Virtual Reality)"に関しての夢と見るほうがしっくり来る気がするな」

Noah(ノア) {Markの守護妖精} 
「彼女はMarkに敵意を持ってはいませんでした。ただ、彼女自身に独特な大きな力を感じました。 12歳前後の少女と思われますが、画像が制限、妨害の為、残せていません。 EEEsystem(上空からの監視や主要ポイントのデータなどの系統網)、 SEEsystem(個人や公衆などからのデータの系統網)をスルーできるということで、 彼女のバックはかなりのスキルを持った組織があると考えられます。 ただ、内容が抽象的で、受け手によって解釈がかなり変わることから、必要なテーマのみ伝え、 後は自分たちで解決するようにと言っているようなので、後はこちらがどう動くかということでなないでしょうか。」

Hao ran(ハオラン) {Johnの守護妖精} 
  「 EEEsystem や SEEsystem をスルーできる技術を今の段階で持っているのは、 ネット系集合体トップの "Neo Border Company"、グローバルセキュリティ企業体"ASG"。 そしてそれぞれのシステムの開発企業グループだが、ここが一番怪しいね。 後はトップシークレットですが何を隠そう私だけ。」

William
「隠してるのか隠してないのか・・」

Luca(ルカ) {Williamの守護妖精}
「もうひとつあるんじゃないかい、Haoran」

Hao ran(ハオラン) {Johnの守護妖精} 
「ぉお。あまり言いたくはないが、どこでその情報を入手したんだ? 実はもうひとつ、もしかしたらスルーできる技術を得ている団体がある
JBM。あの国際的コンピューター系ネット集団
ここは裏のSNSの最大手というわけだから、いろいろな特殊技術情報を合法非合法問わず持っている。
ここにシステムの開発企業グループの研究員が参加しているとするならば、絶対あってはいけないが、ここが一番怪しいということになる。
ただしそうならば、うちとは利害関係はないし、もちろんトラぶってもいないから、今回の件は彼らが何かの情報をつかんでいて、 我々に教えてくれていると考えるのが、一番筋が通っていることになるね。」

Mark
「じゃあ彼女を通じて、その組織が我々に忠告してきたということになるわけだね。」

William
「つまり集まった夢とは"仮想地球(Globe of Virtual Reality)"のメンバーたちで、 そのメンバーたちをしっかり守らないと狼が食べに来るということだな」

John
「だけどメンバーは自由に出たり入ったりできるから、迷子になるとかならないとかじゃあないし、食べられるというのも・・・」

Luca(ルカ) {Williamの守護妖精}
「メンバーそれぞれの個人の特定情報や、メンバー構成などの重要情報ではないかな」

Noah(ノア) {Markの守護妖精} 
「そうだ、ハイレベルの個人情報じゃあないかな。そこのメンバー情報の中には多くのプライバシー情報、思想や、そして”夢”も記載されている。 夢とはその人の生きていく糧だし、証ですよね。 つまり人が生きていく理由。そこにつけこんだり、食いつぶすという意味で”餌食”と例え、 それら個人情報が盗まれる場所が一か所でも見つかれば、そこに一気に狼がやってくるってことと考えると筋が見えてきます。」

John
「そういえば最近特に"仮想地球(Globe of Virtual Reality)"のメンバーが急増して、 セキュリティが間に合わないと聞いている。ハッキングの手口も巧妙になってきていて、 何も関係ない複数のメンバーがいつの間にかスパイ行為の一端を担っていて、それぞれが少しずつ情報を持ち出し、 後でそれらを組み合してひとつの情報にし、ハッキングする。まるで密輸のようなウイルスもあって、なかなか手を焼いているらしい。」

Mark
「そうかー。そういうことだね。」

William
「"仮想地球(Globe of Virtual Reality)"を快く思っていない奴らはたくさんいるが、 とくに現実の各国家の一部既得権者からは目の敵だからな。そこらあたりが、足元をすくおうと何かしかけてきてもおかしくない」

John
「"仮想地球(Globe of Virtual Reality)"本体はなんとかやっているらしいが、 そのまわりの辺境フィールドに目が届かないのが特に問題になりそうだな」

Mark
「とにかくワインの少女が何者であるかはおいといて、今は素直に忠告に従って、 "仮想地球(Globe of Virtual Reality)"の親しいやつらに防壁を再構築するように伝えておいたほうがいいな。」

Luca(ルカ) {Williamの守護妖精}
「セキュリティの攻防はネバーエンディングストーリーで終わりはありません」

Mark
「守るものとしかけるもの、光と影、果てしなく続く表裏の業、か」

この出来事により10月初旬"仮想地球(Globe of Virtual Reality)"のセキュリティの再構築がはじまり、 防壁最高責任者は<AI Haviハーヴィ>が就任しました。
巨大に膨らんでいたこのコミュニティは、その大きさから約1年もの時間を要し、 第2弾の大規模改修が非公式におこなわれることになったのです。
(この影響によりクラウドネットへのわずかな遅延が起き始めたため、 "仮想地球(Globe of Virtual Reality)"にはバグが存在するとささやかれました。)

そして翌年、大規模改修が終了した数ヵ月後の10/14 "Ragnarok Crisis・ラグナロククライシス(ネットパニック)"が発生します。

ノーマル時の十数個の防壁だけでは0.1秒で突破されていたでしょうから、 ワインの少女の助言が無ければ、"仮想地球(Globe of Virtual Reality)"はわずか数十秒で壊滅していたでしょう。

なぜならば"Ragnarok・ラグナロク(人工知能型ウイルス)"が 一番初めに襲ったクラウドネットは"仮想地球(Globe of Virtual Reality)"だったからです。

理由はわかりませんが"仮想地球(Globe of Virtual Reality)"の辺境フィールドに 突然"Ragnarok・ラグナロク(人工知能型ウイルス)"が発生したから、一番近いネットが攻撃された。
といえばもっともらしいですが、そこに突然発生する要因がまったく無いことから、 そこに送り込まれていた悪しき各パーツが時限式で一瞬のうちに構築、瞬時に攻撃してきたと推測されています。
(一年後に製作されたノンフィクション映画 「A Month」 では "仮想地球(Globe of Virtual Reality)"の内部から発生したとされているが、 実際は"仮想地球(Globe of Virtual Reality)"の防壁のすぐ外の辺境フィールドと呼ばれる関連領域からであった)

ちなみに攻撃を受けた時点での防壁は<AI Haviハーヴィ>が構築した最高レベルの数万個といわれています。
もちろん突然の攻撃で数千個の防壁が一気に破壊されましたが、 接触後、数秒後に独断でゲートウェイを閉鎖することに成功。
この防御データは一気にネットに流され、特に "Valkrieヴァルキリー"系のクラウドなどの対応は瞬時でした。

これにより"Valkrieヴァルキリー"系ネットワークがいち早くセキュリティを上げ始めたため、 当初"Valkrieヴァルキリー"系ネットワークのみ大規模なネット障害が起きました。

これによってネット速報で「Valkrieの乱心」との見出しが飛び回ったのですが、 この冗談は数時間後には一切消えます。 何が起きたのか真実が分かった時には、 冗談が言える状況では、全く無い事態となったのですから。

近未来小説「 Neo Border - The near future -」

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  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-04-18

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