殊魂(ソウルアビル)

星河

  1. 新たな誕生日
  2. 過去の思い出
  3. 親友の善意と悪意
  4. 今出来る事とは・・・

自分の人生に悲観した主人公、乾武彦は自分が勤める会社の屋上に居た・・・
自分はどうして生きているのか
どうして生きなければいけないのか
生きる意味とは何だ
そんな事を考えながら武彦は飛び降りる・・・

新たな誕生日

俺は何のために生きているんだろうか・・・

 俺は乾武彦 23歳の独身だ。ここは俺の勤めている会社の屋上だ。
 俺はプログラマーで主にゲームを作っている。
何故屋上にいるのかというと俺は生きている意味が分からずどうしてここに存在しているのかが分からない。
 会社では上司に罵倒され、私生活では家族もいない。両親は俺が小学生のときに交通事故で死んでしまった。
 彼女も居ない。全てが面倒くさく感じ、全てに嫌気が差す。
 屋上の淵に立ち下を見下ろすと車や人、家々がミニチュアサイズに見え、玩具のように見える。
短いため息を一つ吐き空を見上げ俺は飛び降りた。


 ここはどこだろう・・・
真っ白な空間が広がっている。死んだのか?すると後ろから
 「お主、ここで何をしている。何故飛び降りた。何故死んだ。何故生きる事を諦めた。」
矢継ぎ早に老人が質問してきた。
 「あなたに関係は無いでしょう?俺の勝手だ」
そう言って老人から背を向けると
 「お主はまだ死んではいかん。死んではいけない存在じゃ。」
諭すように俺に言う。
 「生きていても良い事なんて無いんですよ。生きている意味が分からない。自分の命をどうしようが俺の勝手でしょう?」
ため息を吐きながら言うと
「生きている事自体がすばらしく良い事じゃ。生きている意味が分からない?そんなのは分かるわけ無いじゃろうが。
立派に生きて、立派に人生を謳歌し、そして死んでいった者にしか意味なんぞ分かるものか!生きているうちに意味が分かるものは居ないとおもうぞ
さっきも言ったがお主は死んではならぬ。生きて生きている意味を見つけろ。新たな力を身に付けて。」
そう言うと老人がゆらゆらと薄れていく。
「ちょっと待ってくれ!!!どういう意味なんだ?意味が分からない!!待ってくれ!」
すると俺の意識も薄れていく・・・


ベッド?・・・カーテン・・・医療器具?・・・ここは病院か?
 「あ!乾さん!目が覚めましたか!良かった!すぐに先生を呼びますね!」
看護士の女性が電話をかけている。
ドクターが来ると
 「乾さん本当に奇跡だ。あんな状態で運び込まれて駄目かと思ったが・・・本当に良かった!」
俺の手を取って嬉しそうに言う。

ドクターが色々調べ、注意事項を言って出て行った。
すると一人の制服警官と二人の男が入ってきた。
 「乾さんですね。警視庁府中警察署の杉井です。」
 「同じく亀井です。」
と自己紹介をする。制服警官は何も言わずに後ろに立っている。
 「早速で申し訳ありませんが、自殺を図ったんですか?」
杉井が聞いてきた。
 「はい。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」
そう言うと亀井が
 「自殺なんて辞めてください。本当に。」
悲しい顔をして言って来た。
 「彼の母親は自殺で亡くなっているんです。」
杉井が亀井を指して言う。
 「もうそんなこと考えていません。」
俺がそう言うと亀井が
 「良かった。絶対にやめてくださいね。何かあったら僕が相談に乗りますから。」
そう言って名刺を出して俺に渡した。
 「一応自殺でも捜査しなければいけないのでお話を伺ってもよろしいですか?」
俺が頷くと書類を出して話し始めた。


一時間程して事情聴取が終わり三人が帰った。
 あの爺さんは何だったんだろう・・・
一人でそう考えているといつの間にか前のベッドに男が一人座っている。
 「あの・・・どちら様ですか?」
そう聞くと
 「やっぱり俺の事見えるの?良かった~」
そう言いながら笑い続けて
 「俺は中村茂也!享年26歳!よろしく!」
そう自己紹介をして手を差し出してきた
 「あぁ、乾武彦です。よろしく・・・」
ちょっと待てよ・・・差し出そうとした手を止めて少し考えた。
 「聞き間違えかも知れませんが享年って聞こえたんですが・・・」
確かに聞こえた・・・すると
 「うん!享年だよん!・・・どうしたの?」
 「えっと享年とはどういう意味ですか?」
頭がおかしくなりかけているのかな・・・
 「そのまんまの意味だよ?享年。死んだ年って意味」
飛び降りたときに頭強く打ちすぎたのかな・・・否!疲れて目と耳が疲れてるんだ
目を瞑り息を整え目を開けると・・・やっぱり居る
目の前が真っ暗になり失神してしまった。


目が覚めると
 「やっほー!いきなり失神しちゃうからビックリしちゃった!」
笑いながら俺に手を振っている。
目頭を押さえ再び目を開けると居なくなっていた。
 「やっぱり疲れてたんだ・・・良かった」
 「ばぁ!」
突然目の前に現れ
 「ぎゃー!」
大きな声を出してしまい、看護士が走ってきた
 「どうしました?」
走ってきた看護士が目を丸くして聞いてきた
 「こ、こいつが・・・」
と茂也を指差し言うと
 「何がです?」
とキョトンとしている
 「俺普通の人には見えないよん!」
当たり前のように言い、笑っている
 「疲れていらっしゃるんですね。先生を呼んできます。」
そう言って去っていった。
ドクターが来ると鎮静剤を打たれ再び眠りに落ちてしまった。

目が覚めると病室で寝ていたはずなのに何故か会社の屋上に居る。
辺りを見回していると
「これが俺の能力だよん!俺は過去を見せる事が出来る。界の爺さんに
武彦ちゃんの事頼まれちゃったからさ!」
相変わらずにやけ顔で言う。
 「能力って何だ?」
もういちいち驚いていられないので呆れた感じで聞くと
 「まぁ、ちょっとこっち来て見てな」
手招きされ茂也の隣まで行くとなんと俺が屋上に繋がる会談のドアから俺が出てきた!
 「これが俺の能力だよん。過去を見せる事が出来る。」
ふぅんと聞いていると"俺"が飛び降りた。
 「まぁ、分かってもらえたと思うから戻ろうか」
すると周りの景色がぼやけ、病室に戻った。するとあの爺さんが居た
 「お前さんはクレイルという能力が付与された。それは霊等シックスセンス関係が見え、感じ取る事が出来る。
そしてしげやんのような特殊能力がある霊を魂殊という。これらの能力を行使するにはソウルインというものをしなければならない
それをすることで霊魂がお主の体に入り、能力が使えるようになる。魂殊はあらゆる能力があるが魂殊自身が使用を承諾してくれなければ
能力は使えない。まぁ、そこは巧くやるんじゃな!以上が説明じゃ。」
いきなりそんな事を言われても・・・
 「じゃあ、さっきのは茂也の霊魂が俺に入ったの?」
ふと思った事を聞くと
 「それは違う。さっきのはしげやん自身がお主に過去を見せたのじゃ。ソウルインしていなくても魂殊自身は能力を使える」
爺さんがそう説明した。
 「まぁ、これから色々勉強するんじゃ。必要なときは教えてやるわい。質問は終わりかい?」
少し考え
 「その能力でどうしろと?何かしなくちゃいけないの?」
これは最初に思った事だ
 「そんな事はお主が決めろ。お主の能力じゃからお主の勝手じゃ」
そう言って姿を消した。
 「あの爺さん何者なんだ?」
茂也に聞くと
 「俺も分からん!まぁ、案内人みたいなものだろ?」
澄ました顔で茂也が言う。
 「頭休めたいから寝るな。」
 「あいよ!お休み~」


朝日が顔に当たり、目が覚めた。
 「テレビでも見るか・・・」
すると
 「朝から独り言はまずいよ~」
茂也が突然出てきた
 「あのさ、突然出るのやめてくんない?正直うざいんだけど」
そう言うとしゅんとしてちじこまった。
しばらくして朝食が運び込まれ、それを食べながらテレビを見ていると
ノック音がし、その後二人の男が入ってきた。俺の知っている人だ・・・
 「よぉ、元気そうじゃないか」
手を上げながら入ってきたのは俺の上司である高崎雄二だ。
 「乾君元気そうで良かった」
そう言うのは会社の取締役の酒井直己だ。
 「この度は本当に申し訳ありません」
俺がそう言うと
 「全くだ!!何で飛び降りなんてするんだ!迷惑だ!!飛び降りるなら他でやってくれ!!!」
高崎が言った
 「本当に申し訳ありません・・・」
頭を深く下げ謝ると
 「ふざけるな!!」
突然酒井が怒鳴った
 「高崎!お前の部下だろ!監督責任もそうだが仕事や相談等が出来やすい環境にするのもお前の仕事だろ!」
高崎に向かって言うと高崎は俯いて黙っている。すると今度は俺に向かいなおして
 「君は何も悪くない。何もしてやれず、気づいてやれず相談も出来ない環境にしてしまっていたかもしれない
本当に申し訳ない。会社の代表をして謝罪する。本当に申し訳ない。」
深々と頭を下げて謝る酒井を見て慌てて
 「そんな、こちらこそご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」
そう言うと
 「ただ、もう二度とあんな事はしないでくれ。頼む」
こちらを真っ直ぐみて言った
 「もうそんな事考えていません。大丈夫です。」
そう返すとニコっと笑い
 「それなら良かった。何かあったら直ぐに言ってくれ!」
返事をし、その後世間話をしばらくしてから酒井が立ち上がり
 「じゃあ、私たちはこれで失礼するよ。しっかり休養してくれ。君は大事な戦力なんだからな。これは少ないけど
取っておいてくれ。」
そう言って封筒を置いて出て行った。
封筒には現金が25万円も入っていた。
 「凄いな!あのおっさん何者?」
ずっと黙っていた茂也が聞いてきた
 「偉いな!茂也黙っていられるんだ」
笑いながら言うと
 「俺だってちゃんと常識はあるんだよ!ってかあのおっさん共は誰なんだよ!」
ちょっと怒った顔で再び聞いてくる
 「おっさん共って言うなよ(笑)俺とずっと話してた人は会社の取締役の酒井直己さんで
もう一人のが高崎雄二ってのだよ」
説明すると
 「話してた人は人が良さそうだけどもう一人の奴は嫌いだな~」
相変わらず軽い感じで言う
 「まぁ、俺もあの人のことは嫌いだけどさ一応俺の上司だからさ」


こうして俺の怒涛の一日が終わった。
この一日で俺が学んだ事は沢山ある。
生きて生きる意味を探す。俺を待ってくれてる人が居る。死んでいい人間なんてこの世に居ない。
当たり前のような事なんだろうけど俺は新鮮に感じた。
怪我が治ったら会社に戻る予定ではあるけど、この能力で何をするかなどは全く決めていない。
まぁ、まずは怪我を治そう。
それからでも遅くは無い。

過去の思い出

俺が飛び降りて、変な爺さんに会い、おしゃべり野朗に会ってからもう今日で一週間。
茂也から色々学んだ。例えば死んだ人間は殊魂を瞬時に理解するらしい。
自分が殊魂じゃなくてもだ。直ぐに成仏する人も居るようだが殆どは成仏できずに居るらしい。



物思いにふけながら車椅子で病院の廊下を進んでいると視界の右側から突然男が現れ俺のほうを向きじっと見つめている。明きらかに霊だ。すると
 「私が見えるんですね?話を聞いてください。お願いします」
男はそう言って俺に近づいてきた。見えていないふりは今更出来ないので
 「俺の病室に来てください。そこで話を聞きますよ。」
小声でそう言うと
 「ありがとうございます!」
そう言って俺の後に憑いてくる(笑)
病室に戻り
 「茂也~」
と呼ぶと
 「アイヨン!」
と出てきた。
 「じゃあ話してください。こいつの事はあんまり気にしになくて良いですから」
そう言って話を促すと
 「ありがとうございます。私は伊藤健二、56歳です。昨日交通事故で死にました・・・
そこで問題があって事故の前日に妻とケンカをしまして、仲直りをと思って妻にプレゼントを
買ったんです。しかしそこで事故にあってしまってプレゼントも粉々で・・・
妻に一言言いたいんです・・・お願いします。」
俯いたままそう言うと茂也が
 「それは別に良いとしてあなたの奥さんに会いに行く事も出来ないしな・・・俺のマスターが今こんなんだからさ」
俺を指を指しながら言う。
 「それは大丈夫です!妻は今私の身元確認で病院に来ています!」
俺と茂也が顔を見合わせ頷き合い
 「じゃあ、案内してください。」
俺がそう言うと健二が頷き、病室を出た。

車椅子で健二を追っていると看護士が
 「あら、乾さんどちらに行かれるんですか?そちらは霊安室ですよ。」
 「大丈夫です。ちょっと散歩に行くだけなんで。じゃ」
そう言っても不思議そうな顔をして首を傾げている。すると茂也が
 「武ちゃん嘘下手すぎ~もっとましな嘘付けないの?」
馬鹿にしたような顔でこちらを見る。
 「うるさい。俺は正直者なんだ!」
少し顔が赤くなった気がするがそんなことはどうでもいい。
 「ここです。この中に妻が居ます」
俺は頷いてドアをノックするとはいと中から力無さそうな声が聞こえてきた。
中に入ると
 「どちら様ですか?」
健二の妻が聞く。
 「健二さんの知人の者でして・・・この度は・・・」
そう言って頭を下げると
 「そうだったんですか。わざわざありがとうございます。お名前をお聞きしてもよろしいですか?」
名前を名乗り本題に入った。
 「それで・・・健二さんから伝言がありまして・・・」
そう言うと健二の妻が目を大きく開き息を呑んだ。
 「実は、今健二さんがここに居て、あんな事言ってすまない。と」
すると健二の妻は顔を赤らめ
 「いい加減な事を言わないで!!!あの人は死んだのよ!!変な事を言わないで!」
言い終わると肩で息をして下を向いた。
 「しかし、僕には見えるんです。健二さんに頼まれたんです。」
そう言うが健二の妻は
 「いい加減にして!不謹慎よ!警察呼びますよ!」
そう言って背を向けてしまった。
警察を呼ばれると言われては何も出来ない。
霊安室を出て病室に入ると
 「健二さんすみません。俺の力不足で・・・」
健二にそう謝ると
 「しょうがないですよ。あなたは悪くありません。ありがとうございました。」
そう言うと病室のドアからすり抜けて消えてしまった。


夕食が運び込まれ、それを食べていると
 「なぁ、どうしたら良かったんだろう・・・」
ため息を吐きながら茂也に聞くと
 「どうしようも無かったんじゃないか?」
悲しそうな顔をして俺に言う。
 「何だよ、珍しくしんみりしてるじゃないか」
この一週間茂也の暗い顔は見た事が無い
 「俺はさ、殺されたんだ・・・・犯人は捕まったけどどうしようもなく無念でさ・・・
彼女も居たしある程度充実しててね・・・それがいきなり通り魔に遭って死んで
死んだと思ったらこうして何故か成仏できずにこんな能力を持って魂殊といて居る。
それに未だに何で俺が殺されなくちゃいけなかったのかって思ったりする。
だから思いを残して死んだ人の気持ちが良く分かる。」
俺は何と言ったら良いんだろうか・・・いつも明るく煩いくらいの奴にこんな過去があって
俺に打ち明けてくれた・・・それは俺を信用してくれているのかそうではないのかは分からないが
とにかく自分のことを話してくれた。
 「ありがとう・・・話してくれて」
こうしか言えない・・・すると茂也が
 「だから俺は自殺なんてする奴は許さない」
俺の目を真っ直ぐ睨み付けるように言った。しかし直ぐに笑って
 「まぁ、過ぎた事を言っても仕方ないよん!それに今亡くなった人の為に何かをしようとしてるじゃないいか!」
そう言って空中に浮かんで遊び始めた。
 「俺さ・・・会社辞めてそうやって悩んでる人を助けようかな・・・」
茂也を見てそう言うと茂也が遊ぶ手を止め
 「決めるのは早すぎるよん!会社に戻ってから良く考えてみても良いんじゃない?」
たまにこういう風に俺を励ましてくれる。ありがとう。そう言って布団にもぐった。



朝10時頃にテレビを見ているとノック音がした。返事をすると健二の妻だった。
 「昨日あなたが仰った事を完全に信じた訳ではありませんが少しなら話を聞いてみます」
上からだな・・・と思ったが気にせず
 「ありがとうございます。少し待って下さい。」
そう言って茂也に健二を探すように言って少し待っていると
 「あぁ、聡子・・・」
ドアを通り抜けて妻を見て健二が言った。勿論妻には見えていないが。
 「聡子さんと言うんですね。」
健二が言った名前を確認して聞くと
 「何で分かるんですか!?」
口と目を大きく開けて驚いている。
 「今ここに旦那さんの健二さんが居ます。」
聡子は何か言いたげだがしばらくして口を開いた
 「何と言っているんですか?」
すると健二が横で
 「聡子、あんな事言ってごめんな。君を本当に愛してる。
だからあの日君が欲しがっていた真珠のネックレスを買って帰ろうとしたんだ。」
俺は同じように聡子に伝えると
 「本当に居るんですね・・・」
はい。俺がそう言うと聡子が泣き崩れて
 「あなたは悪くないわ・・・私が我が儘だったの・・・」
すると健二が
 「ネックレスは事故で壊れてしまったので私の思いを、記憶を
彼女に見せてやる事は出来ませんか?」
俺は頷いて茂也を見て
 「ソウルイン」
静かに唱えると茂也の霊魂が俺の胸にゆっくりと入ってきた。
 「聡子さん。ちょっと失礼します。」
そう言って聡子を立たせ差とこの額に手を当てた。


 「ここは? そんな・・・あの人と初めてデートしたところ・・・」
病室から情景が変わり健二と聡子が始めてデートをした"思い出の場所"
に来た。すると聡子の後ろから
 「聡子・・・ここ覚えててくれたんだな」
健二が聡子に言うと
 「何で?あなたが・・・」
戸惑っている聡子に茂也が
 「ここはあなたと健二さんの思い出の地ですね。私はリバースタイムという
能力を使いあなたと健二さんをここにタイムスリップしました。つまり記憶の中の過去
なのであなたも実体がないので、健二さんを見たり触ったり出来ます。お察しかと思いますが
私も実体のない幽霊です。」
そう説明すると聡子は健二をじっと見つめ、抱きついた。

人はこんなにも人を愛し、愛される事ができ、死んでも尚愛される。
空を見上げると雲一つないきれいな青空が広がっていた。


現実に戻り聡子が名残惜しそうに帰ると健二が
 「本当にありがとうございます。聡子は私をあれほど愛してくれていた。
それが改めて分かって本当に良かった。あなた方も絶対に忘れません。」
そう言うと深々と頭を下げた。
 「お役に立てなら良かったです。」
俺がそう言って頭を下げると健二が笑いながら
 「死んでも死にたくねぇって思っちゃいます・・・でも逝かなきゃ。
本当にありがとうございました。」
そう言って消えた。

俺の顔を見た茂也が
 「武ちゃん!良い事をしたんだからそんな顔をしたら罰当たるよ!」
俺は少し笑い
 「そうだな・・・奥さんも最後は明るい顔になってたしな。茂!ありがとう。」
そう言うと茂也が照れくさそうに
 「な、何だよいきなり・・・ま、いいって事よ!!」



特殊能力が備わってしまってからどうなるかと思っていたが今日、肩の荷が一つ降りた気がする。

親友の善意と悪意

入院から二ヶ月がたった。
医者や看護士、見舞いに来た同僚から脅威の回復力だと言われてやっと退院となった。

 「お世話になりました。ありがとうございます。」
頭を下げながら医者に感謝を言う彼は乾武彦。
自殺をしようとした事がきっかけで特殊能力を得、霊と会話などが出来るようになった。
結局自殺は未遂に終わったがその療養がやっと終わり会社に復帰する事になった。

 「もう戻ってこないで下さいね!!!」
医者はそう笑いながら手を振っている。
 「二ヶ月間お疲れ様でした。」
看護士長もそう言って花束をくれた。
何度もお礼を言いながら病院を後にした。


 「今から会社に行かなくちゃな・・・」
そう独り言を言っていると
 「あらあら、また独り言どすえ?」
馬鹿にしたような口調で言ってくるのは武彦の持ち殊魂である、中村茂也。
勿論こいつは普通の人には見えないし、こいつの声も聞こえない。
 「いきなり話しかけてくるなよ。びっくりするだろ!
しかもいつから京都弁になったんだよ」
おっぱらうように手を頭上でひらひらする。
 「でも、武ちゃん本当に凄い回復力だね~」
笑いながら茂也が言う。


会社に着き、ロビーに入ると
 「おめでとう!!!」
パッカーン!!!クラッカーが鳴り響いた。
 「びっくりした~!ありがとうございます。」
武彦は花束を会社の取締役の酒井直己から手渡された。
 「君が復帰してくれて嬉しいよ。これからもよろしくね。」
直己はそう言って握手をしてきた。
 「これからまたよろしくお願いします。」
武彦はそう言うと頭を深々と下げた。
 「今日の夜にお前の退院祝いにパーティーやるからな!」
そう言ってきたのは俺の親友で中学からの同級生の中井雅哉だ。
 「本当に!?ありがとう。楽しみにしてるよ。」
 「はい!じゃあ取り合えず仕事に戻ろう!」
パンパンと手を叩きやってきたのはこの(株)サカイダインの社長、酒井勇太郎だ。
皆それぞれ自分の持ち場にもどった。

 「お見舞いに行けなくてごめんね。」
勇太郎がそう言って武彦の方へ歩いてきた。
 「そんな、とんでもありません。この度はご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」
再び深々と頭を下げる武彦。
 「もうその話はよそう。君は大切な戦力だ。これからも会社の為に頑張ってくれ!」
勇太郎は直己と同じような事を言って戻っていった。
 「まぁ、兄弟は同じような事を言うってな。」
笑いながら直己が言う。
 「取り合えず今日は好きなときに休憩取って自分の好きなようにやってくれて良いよ。」
直己はそう言ってロビー中央にある階段を上っていった。

日中、武彦は早く体を仕事に慣れさせるために簡単なプログラミングから始めていった。

12時・・・

 「武!飯行かないか?食堂に新しいメニュー出来たんだよ。」
雅哉が武彦の肩を叩きそう言った。
 「へぇ~、何ができたの?」
武彦は雅哉に聞き返した。
 「ハンバーグ定食!めっちゃ美味しいんだよ!」
顔をほころばせながら明後日の方角を向いて言う。
 「じゃあ行くか!」
なるべく早く信頼関係も戻さないといけないので中々断れない。
例え同期で親友でもだ。

 そんなこんなで一日が終わった。
 「今日の飲み会は隣にある居酒屋だからな!皆そろったら行くから準備しとけよ!」
同じ部署の先輩が教えてくれた。返事をしてトイレを済まし、ロビーで待っていると武彦の後ろから
 「早いな、さすがは若造だ。」
武彦が振り向くと高崎が嫌味な顔をしてこちらに歩いてくる。
 「すみません。少し早すぎました」
少し頭を下げ謝ると
 「別にそんなことくらい構わない」
相も変わらずむすっとした顔で言う。
しばらく待っているとプログラミングソフト開発部の皆が集合した。
 「すみません部長、遅くなりました。」
俺がいるプログラミングソフト開発部、開発課の課長、高橋勝也がペコペコ頭を下げながらやってきた。
 「全員揃ったな。じゃあ行くか」
高崎がそう言うと皆がはいと返事をして会社を出た。

 「ごめんください。13人なんですけど平気ですか?」
会社の隣にある居酒屋に着き、高崎がドアを開けて店員に確認すると
 「すみません。満席でして・・・すみません。」
申し訳なさそうに店員が出てきた。高崎がじゃあいいですと言ってドアを閉めると
 「どうするか?そう言えば明日休みだもんな・・・」
困ったような顔で頭を掻きながら言うと勝也が
 「そういえば駅前に新しく居酒屋できたみたいなんですけどそこはどうですか?」
そう言うと高崎が
 「じゃあ、電話して空いてるか聞いてくれ。空いてたら席取っておいてくれ」
そう言うとタバコを出して吸い始めた。

5分ほど待っていると
 「部長!空いているそうです!席も確保してくれます!」
高崎は頷いて、皆は勝也を先頭にして歩き始めた。
 「しかし、満席とは思わなかったですね・・・」
武彦が隣で一緒に歩いている先輩に話しかけると
 「確かに参ったな~。駅まで結構あるからな・・・」
そう言って頭を掻いていると後ろのほうで
 「お前のパーティーを開こうとして、移動になったのに何なんだそのへらへらした態度は」
武彦が振り向くとやはり高崎が言っていた。武彦はすみません。と小さく頭を下げ、謝った。
しかし空中にいる茂也が
 「あのくそ野郎本当に腹が立つ!」
そう言って高崎の足に念を送るような仕草を見せると、
 ゴツン!!
高崎が何もないところで転んだ。
苦笑いをしている皆に対して高崎が
 「お前ら!!上司が転んだのに助けもしないのか!」
そう言うと皆は慌てて高崎を起こした。
痛いな・・・何なんだ・・・等と言っている高崎を皆は静かに待っていると
武彦が隣にいる、皆には見えない茂也に
 「お前な!何してんだよ!!」
と小声で言うが武彦は内心笑っていた。


それから15分程歩いて目的地の居酒屋に着いた。
中に入り、皆席に座ると高崎が
 「上座は良いだろうね・・・気分がよくて・・・俺より目上になった気分はどうだ?」
と早速嫌味を言い始めた。

飲み会が始まりしばらくすると雅哉が
 「あいつ本当にむかつくよな・・・あんなの気にするなよ?」
そう言って武彦の器にお酌をした。


飲み会が始まって5時間が経った夜中の12時頃に高崎が
 「え~、じゃあ~取り合えず~お開きにしましょうかね~」
高崎はかなり酔っ払っているようだ。ろれつがあまり回っていない。
皆が帰り支度をしていると勝也が
 「武彦は二次会くるか?駅の反対口にあるロバート・セル・ロックって店なんだけどさ、どう?」
 「すみません。病み上がりなのでまだそんなに行けないんです。すみません、ありがとうございます。」
頭を下げながら武彦が言うと分かったと言ってその場を離れた。
皆に挨拶をして、御礼をし、帰路に向かった。



 二ヶ月ぶりのアパート、自分の部屋だ。
二週間に一回雅哉が掃除をしてくれていた為きれいにはなっている。
武彦はお風呂に入り、居間のソファーに座って時計を確認するともう二時になっていた。
茂也もいない。霊は寝ないため恐らくどこかに散歩に行っているのだろう。そう思いながらテレビをつけた。
ニュースや映画、テレビショッピング等がやっている。ニュースを見ていると火事のニュースがやっていた。
火事になった店の名前を見ているとリモコンを持つ手が止まった。
店の名前がロバート・セル・ロックとなっている。酔いが一気に醒め、上着を着てロックへと向かった。


店の前に着くと消防車や救急車、パトカー等が多数止まっていた。
規制線が張られているが中にいる人に見覚えがあった。入院途中に来た刑事の亀井だ。
亀井に声を掛け同僚が被害にあったので中に入れて欲しいと言うと
 「そうなんですか?ちょっとだけなら構いません。あ!ちょっと待って!」
中に入ろうとした武彦を止めて武彦の前に来ると
 「退院おめでとうございます。これからも頑張ってくださいね。」
そう言ってガッツポーズをすると捜査へ戻っていった。

辺りを見回していると救急隊員に声を掛けられている雅哉を見つけた。駆け足で向かい
 「おい!大丈夫だったのか?」
そう聞くと雅哉は最初は武彦を見て驚いたが頷いて
 「俺は平気だけど部長が巻き込まれた・・・まぁ、軽症で済んだけどさ・・・」
そう言って救急車が止まっている方を指差した。そこには高崎が救急車に座って乗っていた。

 高崎の方へ向かうと
 「大丈夫ですか?テレビで見てびっくりして・・・」
武彦がそう言うと怒った顔をして
 「何で来たんだよ!いちいち来なくていいっての」
そう言ってそっぽ向いてしまった。その後救急隊員に合図して高崎の乗った救急車は行ってしまった。

他の同僚を見て回ったが誰も怪我はしていなく直ぐに帰れるようだ。
武彦は皆に挨拶をして帰った。

次の日・・・・・

朝、起きた武彦は珈琲を飲みながらテレビをつけ、見ていると昨夜の火事は放火だという事が分かったようだ。
茂也と少し大きい声で呼ぶと10秒程経ったときに
 「呼んだ?」
と窓からすり抜けて入ってきた。
 「なぁ、お前の力で昨日の晩のロック見れないか?」
そう武彦が聞くと
 「合点承知!!任せときや!!!」
茂也がそう言うと武彦は笑って
 「今度は関西弁かよ」
そしてソウルインをした・・・昨日の晩のロック・・・

武彦はそう強く思い光の中へ入っていった。


店内のようだ・・・・
時刻を見ると0時30分だ。辺りを見回すと窓際の座敷で皆が座っていた。
そちらの方へ行き、しばらく待っていると高崎が雅哉に
 「お前らの代はクズばっかだな!!お前も乾も!あいつは自殺未遂なんかするし
会社の迷惑だっての!!!お前は仕事できないしよ!本当に今の若い連中はどうなってるんだよ!」
そう言って高崎の前に置いてあった酒が少し入ったコップを雅哉に投げ、笑った。

 武彦はその様子を見て怒りで体が震えている。高崎が本当のクズだ、と武彦は思いながら怒りを
沈めようと深呼吸している。

 それから少し経った時に雅哉がトイレに行くと言って立ち上がった。
着いていってみるとそこはトイレではなく店の裏口だった。
武彦は何をするんだろうと思いながら見ていると・・・・・

雅哉が火を点けた・・・・・

今出来る事とは・・・

同僚が飲み会をしていた店の放火事件の犯人が親友の中村雅哉だと知った
武彦は戸惑いながら現在に戻った・・・


 「今のはどういうことだ?何で雅哉が?」
現在に戻った武彦は直ぐに茂也に聞いた。
 「あんな事言われて酒まで投げられて我慢の限界だったんじゃないの?仕方ないと思うよ」
茂也はそう答えると唸りながら空中を浮遊している。

 しばらくソファーに座って状況を整理しているとインターホンが鳴った。
返事をして出ると刑事の亀井と杉井が居た。
 「すみません朝から。少し聞きたいことがありまして・・・」
亀井が言うと杉井が続けて
 「昨夜の火事の事で少しお伺いしたい事があるのですがよろしいですか?」
そう言って少し頭を下げた。
部屋の中に招きいれソファーに座ってもらい珈琲を淹れていると
 「昨夜の火事が放火だという事はご存知ですか?」
杉井が聞いてきた。
 「はい。朝ニュースで見ました。でも、何で僕の所に?」
珈琲が淹れ終わり、二人の前に出すといただきますと小さい声で言った。
 「店の裏口から放火されたということが分かりまして、実はそこに中村雅哉さんの指紋が
焼け残った壁から出てきたんです。中村さんは以前逮捕暦がありましたのでデータベースにヒットしたんです。
中村さんの事はご存知ですよね?」
杉井が淡々と状況を説明した。
雅哉は高校生の時にヤンキーを病院送りにしてしまい逮捕された事がある。しかし、相手も悪かったという事で
処分保留で釈放された。
 「雅哉は僕の親友です。確かに昔はやんちゃでしたが放火なんて・・・以前にたまたま付いたものなんじゃないんですか?」
真相は知っているが言うわけにはいかないので言わない。というか信じてもらえない。
 「いえ、あの店は2日前にオープンしたばかりなので以前付いたとは考えにくいんです。それに裏口は毎日水洗いしているので
指紋は残りません。あれは新しい指紋です。」
亀井がそう言った。武彦のの友達と呼べる人は雅哉だけだ。雅哉が逮捕されたのも武彦を守ってくれたからだ。今度は俺が雅哉を守ってやりたい。
そう思った武彦は少し気になったことがあり亀井に聞いてみた
 「雅哉を逮捕するんですか?」
そう聞くと
 「いえ、ただ指紋が出てきただけで本当にたまたま付いただけかもしれないという事もありまして容疑が固まっていませんので逮捕はまだ出来ません
今の段階では任意同行しかありません。」
そう言って一息つくと今度は杉井が
 「何でそんな事を聞くんですか?」
と何か心を読むような目で武彦を見つめ、言った。
 「い、いえ、ただ僕の友人なので・・・」
何とかごまかそうとするが杉井は武彦の目をしっかりと見ている。

 沈黙が続いて5分ほどたった時に杉井が立ち上がり
 「何か思い出したりしたら教えてください。名刺は亀井のを持っていましたね?一応私のも渡しておきます。」
武彦は挨拶をして二人を見送った。

 「あの子何か知ってるな・・・」
武彦の部屋から出て車に戻った杉井が亀井に言う。
 「どうしてですか?」
亀井が聞くと刑事の勘だ・・・そう言って車を発進させた。


 「杉井さんは俺が何かを知ってるって思ってんのかな・・・」
杉井と亀井を見送った後ソファーに座った武彦が茂也に聞く。
 「あのね・・・武ちゃんは誤魔化しが下手なの!」
そう言って空中をくるくる回っている。
何かをしてやりたい・・・
そう思っている武彦は何が出来るか考えていると茂也が話しかけてきた。
 「なぁ、そんなに悩んでるならいっそ聞きに行けば良いだろ?」
そんな簡単に言うなよ・・・
そう思いながら苦笑している武彦は渋々雅哉に電話した。

 「雅哉と今から会えるってさ。お前も着いて来てくれよ?」
茂也にそう言うとラジャー!と言って武彦の後ろに着いた


 待ち合わせの喫茶店に着くともう雅哉は来ていた。
 「ごめん、待った?」
武彦がそう聞くと大丈夫。そう雅哉は答え、珈琲を二人分頼んだ。
 「それで、話って何だ?」
珈琲が運ばれてきてその珈琲を啜りながら雅哉が聞いてきた。
刑事が来た事、雅哉が疑われている事を武彦は話した。
 「そうなんだ・・・ごめんな、迷惑掛けちゃって・・・」
雅哉がそう言うと
 「俺は全然良い。本当にお前がやったのか?」
武彦がそう聞くと雅哉はチラチラと武彦の頭上を見ながら
 「ごめんな・・・俺がやったんだ。あのくそ部長に苛々してさ・・・」
ため息をついて言った。
 「俺に何か出来る事は無いか?何でもするぞ?」
武彦がそう言うと
 「これ以上お前に迷惑掛けられないよ・・・ありがとう。」
そう言ってお勘定!と店員に言い、席を立った。
 店の外に出ると
 「これからどうするんだ?」
武彦がそう聞くと
 「自首するよ。まぁ、しばらく出て来れないかな?・・・執行猶予つくかな・・・」
そう言って頭を掻き武彦に背を向け歩き出した時、そうだ・・・と止まった。
 「一度霊媒師の所に行って御祓いしてもらって来いよ。まぁ、お寺でも良いけどさ・・・
じゃあな、ありがとう。」
そう言って再び背を向け歩いていった。

少しの間雅哉が言った事を考えて
 「今のどういうことだ?」
茂也に聞くと
 「あいつ俺の事見えてるよん!武ちゃんと話してるときチラチラ俺を見てたもん。」
武彦は少し戸惑ったが取り合えずアパートに戻る事にした。


武彦は部屋に戻り、布団に寝転がり
 「俺に出来る事は本当に何もないのかな・・・」
独り言を言っていると茂也が突然
 「そいえば彼何かに憑かれてるね」
はぁ!?武彦は布団から飛び上がり茂也に向き
 「何でそれを早く言わないんだよ!」
そう言うと
 「いや、もう知ってるもんだと・・・」
と茂也は申し訳無さそうに言う。
 「まぁ、もうどうしょうもないけどな・・・」
そう言ってテレビをつけると
 「続いてのニュースです。昨夜の東京都府中市にある
ロバート・セル・ロックという居酒屋が放火された事件について新しい
ニュースが入ってきました。容疑者が自首してきたとの事です。自首してきた男は都内在住だそうです。
動機についてはまだ情報は入ってきていません。続報が入り次第お伝えします。」

 「あいつ自首したんだな・・・」
武彦はニュースを見てそう呟いた。
ふとあることを思いつき、以前貰った名刺を出して亀井刑事に電話した。
雅哉と面会したいと伝えると面会時間を聞き、電話を切った。
 「明日雅哉と面会出来るって。お前も着いて来てくれ。」
武彦は茂也にそう言うと
 「全部話すの?」
茂也はそう聞くと
 「話すよ。雅哉が憑かれてるって事も、俺が殊魂使いって事も」

そう言って武彦は眠りに落ちた

殊魂(ソウルアビル)

今自分が何をすべきか、何が出来るのかどうすれば親友を助けられるのか葛藤の末決意を新たにした武彦は新たな道を進む・・・

                          第一幕完結

殊魂(ソウルアビル)

自分の人生に悲観した主人公が自殺を図るがそこで思いもよらない出来事が起こる・・・

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日

CC BY-ND
原著作者の表示・改変禁止の条件で、作品の利用を許可します。

CC BY-ND