シグナル

父が近隣の惑星探査に出発して10年、信号消失【シグナルロスト】してからもう5年が経とうとしている。
父の信号が消えたのは、未調査の惑星付近で通信障害が起きやすい地域であった。
 政府は5年前に捜索隊を派遣したが、1年もたたずに打ち切られた。そして、その区域は危険だと判断され、調査自体も打ち止められた。
私が惑星調査隊を志すようになったのはこの事故がきっかけでもある。
 父が今でもどこかで生きていると信じて。
現在、私は念願の惑星調査隊に入隊していた。そして私の強い希望で「未介入地特別調査団」に入団した。ここは10年前父が所属していた部署である。
 そして、今回調査する惑星は5年前、事故により調査が中断された、父の信号が消えた宙域の惑星であった。
父と同じところを調査すると伝え、泣きじゃくる母に
「私は帰ってくるから、だから、またね。」
 と別れを告げ、シャトルで仲間と共に宇宙に出た。
宙域に到達し、シャトルから出て浮遊している岩の石質調査などを行った。
 帰艦する前にこのあたりに知的生命体がいないか、レーダーを起動した。レーダーには何やら微弱な電波が確認された。シャトルで解析をしてみると、旧型の宇宙服で残したの信号だったらしい。
どうやら、5年前の技術ではこの微弱な信号は拾えなかったらしい。そしてその信号はどこまでも続いてることも確認された。宇宙服の型を照合してみると、やはり父のものだった。
父が生きているとは考え難いが、一末の希望と共に父の信号を追っていくことを誓った。

誰の為でもなく、自分のために

シグナル

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-04-16

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