まるで

 水が光を照らすように
 耳の奥で耳鳴りが続くように
 空間を捉えては逃がして
 
 いつかあなたの言った言葉を
          反芻する
 叩きつけた教科書の音を
          再生する

 あなたの苦痛を何度も再生する
 私の知り得ない痛みを再現する

 痛みはきっと
 一本一本、針を刺す
 スプーンで抉る
 火傷の時の内部炎症

 そんなものじゃ足りないでしょうね

 ガラス板よりも
      壊れやすい
 細い糸よりも
      切れやすい

 頑丈に見えていた鎧は繊細で脆いもの

 まるで新品の下敷きのように
 少しでも何かと接触すると
 痕が残ってしまう

 まるで水に微量の絵の具を垂らしたように
 一瞬で変容わってしまう

 きっと繊細
 それとも天才

 私の内部のメモリから消去できない
 あなたの美しさ

 
 

まるで

まるで

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-04-14

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