もうあの日に帰れない

いつもの帰り道
同じ電車の同じ車両で
ふと、横顔が見えた

どこかで会ったような
懐かしいその人が誰だったか
思い出せなくて、考えていたら

その人と目が合った
霞が晴れたように
私の記憶が鮮明によみがる

懐かしい同級生
懐かしい初恋の人
あの時と変わらない

変わってしまったのは
私の心
もうあの日には帰れない

ときめく心、戸惑う心
揺れ動く

混み合った車内で
私とあの人の距離はすぐそこ
でも、過ぎた時間が壁になる

もうあの日には帰れないから
私は変わってしまったから
知らないふりしてしまった

戻りたい、戻れないなんて言わない
全て私がしてきたこと
私が決めたこと

もうあの日に帰れない

もうあの日に帰れない

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-04-11

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