支配者ゲーム
プロローグ「見知らぬ天井」
目を覚まして一番最初に飛び込んできたのは天井だった
白い天井・・・目が痛くなる位白い・・・
起き上がって部屋を見渡した、俺が寝ていたベッドの他に机と椅子・・・これも白い・・・があった
どこかから声がした、女性の声だ・・・それも若い声が複数・・・
白いドアはノブはなかったが押すと抵抗なく開いた
ドアを出るとそこは大きめのやはり白い部屋だった、僅かに見える境目でこの部屋を取り囲む様に11個のドアが
設置されている事が分かった
「男?」
俺に集中していた視線の1つがそう言った、なるほど俺以外は全員若い女性だった
「あれ?Kさんじゃないですか」
そう言って近寄って来たのは木田エリカ、俺の後輩の元カノだった
「エリカさん・・・ここは?」
「こっちが聞きたいですよ、皆目が覚めたら訳わかんない部屋に閉じ込められてて・・・」
相変らず整った顔立ちにスタイル・・・少し勝気な外見とサバサバした性格は俺のモロ好みだった
『さぁゲームの時間です』
その合成音声は天井や壁に乱反射して一体どこから聞こえているのか分からなかった
§Ⅰ「ルール説明」
『これから皆様に行っていただくゲームはチームプレイです』
そう声がすると天井から液晶モニターが4面合わさって出てきた
『ここの他にももう1つこうの様な施設があり、そこでも今皆様がそうである様に
一人の「支配者」と10人の「プレイヤー」がいます』
その声の後にこの部屋に居る俺達の顔と名前が表示された、やっぱり俺の横には「支配者」と書かれていた
『「プレイヤー」は「支配者」の欲望を叶える事で得点を稼ぎ、より早く規定クリアポイントの「1000ポイント」を
稼いだチームの勝利です、ただしルールがあります』
画面が消えると信じられない文字がモニターに浮かんだ
『毎日21時から支配者の欲望を叶える為のゲームの時間「チョイス」が始まる』
『支配者は19時までに自室の端末で「今日の欲望」を入力しなければならない』
『支配者はチョイス開始まで欲望の内容を口にしてはならない』
『20時半に「今日のチョイス」に必要なプレイヤーの数がモニターに映されるので、プレイヤーと支配者の話し合いで
参加プレイヤーを決める』
『欲望がより過激な方が多くポイントを稼げる』
『支配者からの命令にプレイヤーが従わない、「プレイルーム」に支配者とプレイヤーが入らない等「チョイス」を
行わなかった場合は厳しい減点となる』
『30プレイに1回プレイヤー成績評価が行われ、最下位のプレイヤーは「ロスト」となり、新しい「プレイヤー」が
補充される』
『負けたチームは全員「ロスト」になる』
そして俺達は最後の一文に目を疑った・・・
『欲望は性的なモノを指し、性交またはそれに順ずる行為で支配者が射精してはじめて「達成」と認められる』
§Ⅱ 「最初の欲望」①
『ではまず今日は簡単なチョイスを行います、今日に限り射精しなくても支配者が性的興奮状態と認め
られたら「達成」とします、それでは支配者は19時までに部屋の端末で入力してください』
声はそれでおしまいだった、こちらから呼びかけても反応は全くなかった
「敵意」俺の隣に居るエリカ以外から激しい敵意の視線が向けられていた
「ちょっと・・・Kさんだって仲間じゃない」
「でもその人だけが有利なルールじゃん」
「ちょ・・・負けたら死ぬのよ?ロストってどう考えてもそういう意味でしょ?仲間割れしてる場合じゃ・・・」
「仲間じゃない」
「え?」
「貴女は知り合いかも知れないけど私達は今日会った人とセックスしろって言われてるのよ?」
「・・・そう・・・だけどさ・・・」
険悪な空気を切り裂くように声がした
「私はちゃんと支配者さんにやってもらった方が良いと思う・・・こんな・・・喧嘩してても・・・だし・・・
死にたくないし・・・」
そう挙手して言ったのは少し垢抜けないショートカットの女性だった
「えっと・・・熊田怜奈さん?ありがとう、私もそう思ってた」
「ついていけない」
他の面子は口々に不満を言うと自分達の部屋に戻って行った
部屋に戻るとデスクの上にPCが置いてあった、どうやらこれが「端末」らしい・・・
19時半、再び声がして中央の部屋に集まると天井から人数分のトレイが降りてきた
「そういえばアイツとはまだ続いてるの?」
俺はなんとなく聞いてみた
「別れたよ、とっくだよ」
エリカは笑って答えた
「そっか・・・」
「後輩の彼女じゃ色々やりづらかった?」
「まぁ・・・ね・・・」
「Kさん優しいからなぁ・・・こういう場合はマイナスかもな・・・」
エリカの言葉がストレートに嬉しかった
§Ⅲ 「最初の欲望」②
20時半、声が轟いた
『では本日のチョイス、プレイヤー数1名』
液晶モニターが時計からカウントダウンの画面に変わった
「じゃあ私がやるって事で文句ないよね」
エリカが部屋に散らばってるプレイヤー達を挑発的に見た後俺の腕に抱きついてきた、シャンプーのいい香りがした
「しつもーん、プレイルームの中の音って皆に聞こえるのかな?映像とか?」
『ご安心下さい、プレイルーム内での出来事は支配者と参加プレーヤーにしかわかりません』
「りょーかーい」
エリカがこっちを見て笑った
「誤解して欲しくないんだけどさ」
プレイルームへの扉の前に立つとエリカは小さい声で言った
「全部私の為だから」
扉のロックが外れる音がすると先に部屋に入ったのはエリカだった
部屋の中央には椅子が置いてあり、その前にはお湯の張られた洗面器と爪やすり等が置いてあった
『本日のチョイス内容は「プレイヤーが支配者に足の爪の手入れをされる」です』
「え?」
エリカが拍子抜けな顔をした
「ちょっと待って、確かにアレだけど・・・え?」
「あ・・・俺・・・生足フェチなんだよね・・・」
「あ・・・そうなんだ・・・」
「どうせあの状況じゃエリカさんが参加するだろうし、エリカさん足キレイだし・・・」
「あ・・・うん・・・でも・・・有利かも・・・ねぇ声さん、そういう事ならサンダルとかそういうの揃えてよ」
『支配者が望むなら』
エリカは履いていたパンプスを脱いで裸足になった
ぴちゃ
椅子に座り洗面器の中に浸したエリカの足に俺は恐る恐る触れてみた
「着替えもハーフパンツとかミニスカート中心に変えておいて欲しいんだけどな」
『了解しました』
俺はエリカの美しい足に触れているだけでドキドキしていた
「気づいた?」
「え?」
俺は爪やすりをかける手を止めた
「チョイスに関しては答えるんだよ」
「そういえば・・・」
「さっきも言ったけど、私に遠慮しないで?今だってフェラ位は覚悟してたんだから」
それでさっき「え?・・・」ってなったわけだ・・・
「私嫌よ・・・こんな所で訳もわからないまま死にたくない・・・」
俺がエリカの足を離すとエリカはおれの顔に顔を近づけキスをした
「一緒に生き残ろうね」
エリカはそう言って立ち上がった
§Ⅴ 「インターバル」
初日の混乱を見事制し、2日目にイニシアチブをとったのはエリカだった
エリカはプレイルームの中の事を問われても一切答えなかった、その結果
他のプレイヤーはエリカを意識せざるをえなかった
一番最初にエリカの変化に気づいたのはエリカに友好的だった怜奈と仲良くなっていた
「庵野 香澄」だった、香澄に追従する形で怜奈も生足強調ファッションに変化した
ここまで来ると他のプレイヤー気づき二手に分かれた、それはつまり「ゲームを受け入れた派」と
「受け入れてない派」だった
「今日のチョイスは私がやります、エリカさんは昨日やってますし良いですよね?」
香澄の笑顔の発言にエリカが挑発的に笑うのを俺は昼メロでも観る感覚で見ていた
「今日から本戦よ?大丈夫なの?」
「そっちこそ、周囲が思っているより親しい間柄ではないようで?」
俺は内心「3Pもいいかな・・・」と思っていた
支配者ゲーム