愛してる。

私は、後少しであの世に行くらしい。

あの世と言っても一概に言えず一人一人から聞いてみると十人十色で、

「あの世?そりゃあ愉快なとこだろうよ!酒も飲み放題だけんな!」
・・・これは酒のみのおじさんの例

「あの世?それはそれは恐ろしい所に決まってるじゃない!あぁもう死んでもない私にそんなこと聞かないで!」
・・・これは病気で後3、4年しか生きられない女の人が懸命にあらがっている例。

少し聞いただけでほら、こんなにも正反対の答が出る。
そして何故私がこんなことをやってみたのかとゆうと、何を隠そう今さっきの酒のみのおじさんよりも、死を恐れているあの女の人よりも、そして私の両親よりも、

「私が確実に先に逝くからである。」
私の死因、それは白血病らしい。病院でそう聞かされた時私は別に驚きも、はたまた悲しみもしなかった。その代わりなのか?よくわからなかったけれど唐突に

「生きたい。」
それが私の中に、白血病ということを聞かされて間もなかった私の心に、ぐっさりと刺さって抜けない針と化して残った。

当然、病気になったのだから入院しなくてはならなくて、自分の服や少しの写真やら、
まぁとにかく身の回りの荷造りをしていたら懐かしい写真が出てきて。

「高校生か、」
花の青春真っ盛りの頃の写真、多分私の最初で最後のモテ期だった様な気がする。
いやいや、今は思い出話をするお時間ではない。
そんなこんなで身支度も終わった。この家に帰ることも、いや、帰れる事も私には出来ないだろう。
そこに少しの悲しみと、自分への哀れみと、こんなことになって初めて知った少しの自嘲。
だからこんな私でも、何かを愛せる日が来たならば思い切り愛してみたいものだ。




しっかりと地に足を着き、この世界の真ん中で、私は貴方を愛せるだろうか?

愛してる。


このお話を読んでくださった全ての人に感謝をして、有難うございました。

愛してる。

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更新日
登録日
2015-04-04

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