「ぼうる」

言葉のリズム遊びを含んだ詩です。秋の公園とボールを意識して書きました。リズムを意識しながら少しでも楽しんでいただけると光栄です。

ぽおん、ぽおん
ぼうるは跳ねる
人気のない 公園で。

ぽおん、ぽおん
風とたわむれ ぼうるは弾む
声一つない 世界の上で。

とうとうぼうるは泣きだした。
自分の音が 寂しくて
響く音が 澄みすぎて。

とうとうぼうるは跳ねなくなった。
一人ぼっちの公園で 独り静かに眠りについた。

そこへひとひら いちょうが落ちた。
赤く染まった夕陽のいちょう。

ぼうるはふたたび泣きだした。
いちょうの落ちた その音が
あまりに優しすぎたから
あまりに澄みきりすぎたから。

ぽおん、ぽおん
ぼうるはいよいよ跳ねまわる
人影のない 公園で。

ぽおん、ぽおん
ぼうるは弾む
澄みきった音をきいたから
一人でないと知ったから。

「ぼうる」

見てくれてありがとうございます。公園に一人で転がるボールの気持ちになりました。

「ぼうる」

人影のない秋の公園に一人で転がるボール。彼だって跳ねたくなる時もある。でも寂しくて泣きたくなることもある。そんなボールの気持ちになって書いてみました。

  • 韻文詩
  • 掌編
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-03-03

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