男娼

 見掛けはシュッとした男で、パンクのライブにレザーのジャケットなんか着ていて、穴のあいたジーンズなんて穿いてるのは見た事なかった。客席で、誰よりも騒いで、誰よりも踊って、誰よりも暴れたので殴られるか弾き出されるかがおちだった。喜怒哀楽のどの方向にも感情が振り切れた奴で、夏でも長袖だった。仕事はアレで、たまに気に入られた男から小遣いを貰ったりパクッたりして暮らしていた。東梅田の映画館で見たという人がいたけど随分前だ。生きてるか死んでるか分からないけど、長生きはしないタイプだったな。

男娼

男娼

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-31

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