営業電話の達人への道
内容は、タイトルを読んで字のごとしです。
営業関係のお仕事をされている方はもちろん、コミュニケーション全般にお悩みの方の一助になれば幸いです。
はじめに
はじめに
この本は、次のような方に是非読んでもらいたいです。
□営業電話で数字があげられずに困っている
□営業電話で数字があげられずに困っている人の嫁だ
□営業電話で数字があげられずに困っている人の子供だ。父親が営業電話で数字があげられずに困っているのが親としてかっこ悪いから、俺は今日も万引きをするのさ。
□営業電話が毎日のように家にかかってきて迷惑だ。かけられるぐらいなら、電話をかける側になってやる。戦争では、殺るか、殺られるかなんだ。戦争が終わった今でも、人間の本質は変わらない。殺るか、殺られるかだ。電話をかけるか、かけられるかだ。私は、かける!
□私は日本語を勉強したい。日本語の本ならなんでもいいから読みたい。
□営業電話で不特定多数の人に電話するノウハウを身につけて、そのノウハウを何かに、何かはわからないけれど、何かに、活かしたい。
□営業電話のことをテレアポという表現に違和感があるので、“営業電話”という表記の本をただただ読みたい
□早く人間になりたい。そして、人間になって、営業電話をしたい。
□余命一ヶ月だ。最期に営業電話をしたい。
□たまたま宮崎あおいの家に当たるまでは、営業電話はやめられねえ。
上記の一つでも、当てはまる方には、是非読んでほしいです。
まだ出来上がっていない、この本を読んだ未来の方から、好評な声をたくさんいただいているので、一部を紹介したいと思います。
テレアポで、数字が伸びず、毎日怒られてばかりで、この仕事を辞めようかと悩んでいた矢先に、友達からこの本を薦められました。読み終わった瞬間、やる気がみなぎり、これなら私にもできるかもと思いました。テレアポは、知の格闘技だと、あらためて思いました(36歳 保険会社勤務)
105歳を超える母に読ませたところ、白髪の中に黒い髪が生えてくるようになりました。お医者さんもビックリでした。ちなみに私は医師です。私がビックリでした。(56歳 詐欺師)
テレアポって、心理学なんだなと思いました。(25歳 心理学者)
この本のおかげで人生が変わったよ。俺の試合の観客はみんなテレアポでゲットした客だ(28歳 総合格闘家)
本を読む前に、絶対にここに停めた自転車が、本を読んだ後、ない。絶対盗まれた。(28歳 総合格闘家)
この本のおかげで、以前は営業成績が最下位だったのが、今は、トップの成績に。先日、会社で表彰された時は嬉しかったなあ。今では、電波の悪いところから電波の悪いところへ電話するという悪条件でも、顧客をGETできるようになりました。この本のおかげ!(8歳 嘘つき)
まだまだ、挙げればキリがないぐらい、たくさんの感謝のメッセージをいただいておりますが、正直、こいつらは、お礼を言う自分自身に酔ってるだけだと思いました。
そんなものに付き合わされるなんて、たまったもんじゃないです。
感謝のメッセージを書いてる自分が好き、みたいな奴ばっかりからメッセージが来るので、本当に感謝してる人のメッセージが埋もれてしまうというよくわからない状況になっているので、腹立たしいです。
この本には、テレアポ、営業電話のみならず、人とのコミュニケーションのコツが満載です。そのノウハウを使えば、変な宗教に勧誘することも可能です。決して悪用しないでください。
ここは大切なところですので、もう一度念をおします。
決して悪用しないでください。
お願いします。この通りです。(ここで、私は実際に油でベトベトの中華料理店の床の上で土下座をしています。)
決して悪用しないでください。
あなたは悪用しますか?
Yesの方は、今すぐこの本の、はじめに、のところを最初から読み直してください。読み直すと、またこの部分で“あなたは悪用しますか?”という問いにぶつかり、またYesなので、無限ループに入り、この本の最初のところだけを読み続けたまま、人生の幕を閉じることになってしまいます。かわいそうに。
Noの方は、さっそく営業電話のコツをつかむべく、続きを読んでいってください。
それでは、ディズニーランドより楽しい、テレアポの世界へ、僕といっしょに冒険だ!!
伝説のはじまり
「営業電話の成績が悪い。死のう。」
まさおは、思いつめていた。勤め先のビルの屋上から地面を見つめ、今まさに飛び降りようとしたその時、まさおの背後から声がした。
「そこで何をしてるんや!?」
「だ、誰だ?とめるな!俺はもう死ぬんだ。」
「とめへんがな。何をしてるのかと聞いたんや。君は、“あなたは何をしてるのですか?”という疑問文に対して、“私は飛び降りようとしているところです”と答えればいいだけなのに、とめるな!って言ったやろ。恥ずかしいやろ?」
「は?何を言ってるねん。ジジイ!」
「恥ずかしいやろ?とめないのに、とめるな!って、恥ずかしいやろ(笑)?」
「は、恥ずかしくない!と、とめないなら、ちょうどいい!じゃあ飛び降りるからな!」
「恥ずかしいから飛び降りるんですね。さよなら。」
「いや、何を言ってるんだ!恥ずかしいから飛び降りる?そんなわけないやろ!俺はな、テレアポの成績が悪いから死ぬんだ。」
「いや、恥ずかしいからですよ。だって、とめてないのに、とめるな!って、めちゃくちゃかっこ悪いもん。とめられたいなあと、勝手に想像してるわけやからね。とめないのに。聞いただけやのに。『あなたは何をしているのですか?』『私は飛び降りようとしています。』『お元気で。さようなら。』
『さようなら』これですむがな!それを、とめられたいなあと、思ってるもんやから、とめるな!やって(笑)。あっひゃっひゃっひゃっ(笑)」
「ふ、普通とめるから、そ、そう思っただけだ。と、飛び降りるからな。」
「どうぞ。恥ずかしいやろうからね。僕も君の立場やったら、飛び降りるからね。それぐらい恥ずかしいからな。あっひゃっひゃっひゃっ(笑)」
「何を言ってるんや!違う!俺は、恥ずかしいから死ぬんやない!テレアポで数字とられへんから死ぬんや!」
「いーや、違う!お前は、とめられてないのに、とめるな!って言ってしもて、とめられたいの丸出しみたいで恥ずかしいから死ぬんや。かわいそうに。俺がその内容の遺書書いといたるわ(笑)」
「や、やめろ!アホか!俺は、テレアポで数字とられへんから死ぬんや!」
「いや、違う!お前は、とめられてないのに、とめるな!って言ったんや!それは、たとえて言うたら、横の女がガム噛みはじめただけで、『キスせえへんからな!キスせえへんからな!そんなつもりじゃないぞ!見損なうな!』って言い出してるのといっしょや。恥ずかしい!俺やったら死ぬもん。そんな恥ずかしいことしたら!」
まさおは泣き出した。
「ちーがーうしぃー。俺はテレアポで数字とられへんから死ぬんやしー。あはーはーん。」
「恥ずかしいやろ?『キスせえへんからな!』やってさ(笑)。いーっひっひっひっ!死ぬべき恥ずかしさや。なあ?」
「キスせえへんからな!って言ってないがな!それはお前のたとえのほうやがな!」
「しかも、このビルの一階のオープンカフェで美女がコーヒー飲んでるから、お前、落ちる時、ドサクサにまぎれて、乳触りながら落ちるつもりやろ!恥ずかしいやつや(笑)」
「そんなことせえへんしー。意味わからんしぃー。うえーん。」
「死ぬべき恥ずかしさや。とめられてないのに、とめるな!やって(笑)。死ぬべき恥ずかしさやな?な?」
「べ、別に死ぬほどの恥ずかしさちゃうやろ!それぐらいで!」
「死ぬべき恥ずかしさちゃうのか?」
「そりゃ、そうやろ。」
「じゃあ、生きろ。」
「うん。」
まさおは自分の言葉に驚いた。
「じゃあ、生きろ。」
「うん。」
なんなんだ、このやりとりは!
いつの間にか、このジジイによって、“死なない”という商品をつかまされている!!なんてスムーズなんだ!
ジジイが去ろうとした。
「ま、待ってください!あ!あなたは、ひょっとして、伝説の!テレアポの達人!スティーブンスピルバーグさんではないですか?」
スピルバーグ(以下、ジジイ)は答えた。
「そうや。まあ、映画監督としてのほうが有名やけどな。」
「ぼ、ぼ、僕を、弟子にしてください。テレアポ、得意になりたいんです!」
この日から、テレアポの達人への道が始まったのだ。
相手に選ばせていくこと
ジジイに通された部屋は、たくさんのパソコンがあり、どうやらそのパソコンの通信を通して、電話をかけていく、いわゆるコールセンターのようだった。
ただ、普通のコールセンターと違うのは、ジジイとまさお以外、誰もいないということだった。
「この中から、好きなパソコンを自分で選べ!そこから、特訓開始や!」
ジジイの言葉に従い、まさおは、ひとつの席、窓側の部屋の後ろのほうに座った。
「選べって言ったんや!座れとは言ってないやろ!アホか!親もアホやろ!でも、俺は親の悪口を言ってるわけやない!親がアホなんは、その親の親もアホやからや!」
ジジイのあまりの言葉にまさおは、一瞬言葉を失った。
「ちょ、ちょっと、待ってくださいよ!なんでそこまで言われなあかんのですか!選べって言ったら、普通座ると思うでしょう?」
「お前、ほんなら、好きな服選んでええぞって言われたら、その服の上に座るんかい!レストランで好きなもん選びなさいって言われたら、頼んだオムライスの上に座るんかい!」
「服の時は着るし、オムライスの場合は、食うわ!」
「それが大事なポイントなんじゃい!」
まさおは、一瞬ひるんだ。
「ど、どういうことですか?」
「テレアポのコツはな、色々あるんやけどな、大きく二つある。この二つをまずは、徹底的に学べ!」
ジジイの示した二つは以下のものである。
1 相手に選ばせていく
2 小さなイエスを積み重ねる
「テレアポのポイントはな、論点をいかにずらすかやねん。思い出せ!俺に飛び降りをとめられた時のことを!死ぬか、生きるか?という論点やと、俺は負けるわけや。死ぬつもりのやつからしたら。だから、そこで争っても仕方ないんや。」
「ど、どういうことですか?」
「ええか、生きるか死ぬか選べっていう勝負をしかけると、こちらが負けるわけや。そらそうやろ。自殺しようとしとるわけやから。ところが、とめるな!ってお前が言ったから、そこを論点にしたんや。」
ジジイの話は続いた。
とめられると勝手に思ってることが恥ずかしいか、それとも恥ずかしくないか?
そこを論点にしとるわけや。
そのあともそうや。とめられると思い込んでた発言が恥ずかしいから死ぬか、違う理由で死ぬか、って論点にもっていってるわけや。
最後に、また筋違いの論点に持っていく。
とめられると思い込んでたことが死ぬほど恥ずかしいことか、それとも死ぬほどのことじゃないかどうか?
そこでお前が自ら死ぬほどのことじゃないと発言したやろ?
そこで短く、「ほな生きろ」
これで終わりや。
ジジイの話は明快だった。なるほど。
「催眠術かける時にな、催眠術かかるか、かからないかって論点にしたら、かからへんねん。“かかってたまるか、絶対俺はかからへん”って思ってる奴にその論点で勝てるわけないやろ?」
「はい。どうするんですか?」
「今からあなたに催眠術をかけます。立ったままかけるのと、椅子に座った状態でかけるのとどちらが良いですか?こんな風に聞くわけや。」
ジジイの話はまたしても明快だった。
そう聞かれると、大体の人間が椅子を選ぶ。“立ったままかかったら危ないんじゃないか。倒れたりしないのかな。”などと考えるからだ。
この時に、“催眠術にかかるとしたら”という前提のもとで、立つか座るかという論点を選ばされてるということが大切なんや。そして、かかっている自分を想像してしもてる。
まあ、他のテクニックもたくさんあるけど、こういうもんの繰り返しで催眠術をかけるんや。
チキンラーメンのCMであったやろ。
あなたは、たまごを先乗せ派?それとも、後乗せ派?とか聞いてくるやつ。
買う、買わないを論点にしてないのよ。
買った前提、食べる前提のもとで、たまごを先に載せるか、あとで載せるかってのを考えさせとるんや。
こうやって、人を導いていくんよ。これが、人を思い通りに誘導するコツや。
まさおは、口をはさんだ。
「もうひとつの、小さなイエスを積み重ねるってやつはなんですか?」
小さなイエスを積み重ねていくこと
「もうひとつ、小さなイエスを積み重ねることっていうのはな、答えがイエスに決まってることを何回か答えさせることによって、相手は、その次の質問や要求にもイエスと答えやすくなるんや。」
ジジイの話はわかりやすい。まさおも経験がある。
小さなお子さんいますか?
はい
お子さん、大切ですよね
はい、そりゃあ、まあ。
そうやって責任のあるお父さんで幸せですよぉ。お子さん。
あ、はい。あ、ありがとうございます。
ところで、責任のある世帯主として、今入ってらっしゃる保険って、ご満足いただいてますか?
まさおはたじろいだのだ。家庭がありながらも、生命保険にまだ入ってないなんて、言いづらい。それまでの質問は、イエスとしか答えようのないものだった。
子供さん、大切ですよね?に対して、いいえ、なんて、言う親は普通はいないからだ。
「そうや。まあ、わかってるんやったらええわ。とりあえずはこの二つ、相手に選ばせる。小さなイエスを積み重ねるってことを最初は意識してやっていったら成功するから。ほな、電話してみよか!」
「な、なんすか?も、もうやるんすか?」
「そうや。細かいことは、やりながら教えるからな。それでは、最初の課題を発表する!」
まさおは耳を疑った。
最初の課題。
“うんこを食わせるテレアポ”
ジジイの課題その1
ジジイの課題その1。
うんこを食わせるテレアポ
まさおがいやがったり質問したりするのを無視して、ジジイはパソコンの画面を開き、あくびを噛み殺しながら言った。
「とにかく、うんこを食わせたらええだけやから。電話して、その客がうんこを食うことを了承したら、この課題はクリアや。あと、お前、なんで保険の営業の仕事やってて、自分は保険入ってへんねん。変やぞ。」
まさおは耳が痛かった。確かに、何度も何度も上司に迫られた。普通、保険会社に務めてたら、自分はもちろんのこと、親戚、友達にまで入らせるもんだと。
異常だ、異常だと周囲もバカにした。
しかし、そんなことの異常さをはるかに凌駕する異常行動をこれからやらされるのだ。
「うんこを食わせるテレアポなんて、できるわけないがな!アホやろ!お前!」
「お前さあ、死のうとしてたところを命救われたんやろが。命とうんこ食うの、どっちがハードル高いねん。昔の武士が戦で餓死しそうな時、馬の糞を食ったんやぞ。てことは、命のほうがハードル高いんや。うんこ食わせるぐらいできる!社名は“エヌチッチコーポレーション”としてかけろ!つべこべ言わずにやれ!」
「はい!そうっすよね!やります!」
まさおは、またも、妙に納得してしまった。
どちらか選ばせるという論点のずらし方をまた、されてしまったのだ。
うんこと命をくらべるような話は、本質ではなかったはずである。しかし、今、まさおは、ジジイを信用してしまっていた。
ふうと、息を吐くと、まさおは、頭の中で教えてもらったことを組み立てた。
いっぺんにいろんなことはできない。まずは、“小さなイエスを積み重ねる”というのをやってみよう!
まさおの一戦目は下記のようなものになった。ここで、読者も、自分なら、どのように誘導するか、相手の心理なども考えながら、どのような言葉を選ぶのがベストか、考えてみてほしい。
「も、も、もしもし。あ、エヌチッチコーポレーションの吉永です。お忙しいところ、すいません」
「はい。なにか?」
「あのー、奥様、えーと、最近ですね、地球温暖化が取り沙汰されてますよね?」
「はい。まあ」
「でも、まあ、地球がおかしくなってきて、危害が人類に及びだすってなんとなく、みんなが思ってる状況ですよね」
「そう、ですけど、それが?」
「えー、でも、人間は、もし地球温暖化の影響があるとしても、それで死ぬとか自分に限ってはないと思いこんでますよね?」
「それがどうしたの。あなたの会社はなにをやってる会社なの?」
「うんこを食わせる会社です。うんこを食ってください。」
ガチャ。ツーツー。
その時、ジジイが飛んできた。
本当に飛んできたのだ。パソコンのガシャーンという音が聞こえたかと思う瞬間、ジジイはまさおを下敷きにしながら馬乗りになり、何度も殴った。
「うんこを食うのと、地球温暖化と、関係ないやろ!この出来損ないがーっ!」
まさおは、馬乗りになられた状態からうまく右腕を相手の足の隙間に入れ込み、体を時計回りに半回転させながら、なんとか、逃れた。
息をゼエゼエ切らしながら、まさおは、ジジイを突き飛ばし、叫んだ。
「うんこを食うテレアポなんか、できるわけないやろ!このクソジジイ!」
「教えたことできてへんやろが!カス!」
「小さなイエス、積み重ねたやろがい!」
「関係ない小さなイエス積み重ねたって効果あるわけないやろ!」
「そんな偉そうに言うんやったら、なんで、俺を弟子にしたんじゃ!帰る!」
「それは、お前が昔の俺に似てるからやろがーっ!」
キュン!まさおはあやうくキュン死しかけた。
「お、お、俺も、あ、あんたみたいに歳を重ねていきたいとは、お、思ってるけどよ」
「そんなことより、ケガはなかったかい?」
「大丈夫や。そ、それより、パソコン、潰れてしまったかも」
「パソコンなんかより、お前の体が大切や!何を言うとるんや!」
まさおの両目から熱いものがとめどなく流れてきた。こんなに愛されていたとは! この師匠に、一生ついていこう!もともと死ぬところを救ってもらった命なのだから!
さて、読者のみなさんも、まさおのどこがいけなかったか、考えながら、自分だったら、どうやるか、ここで考えてみよう(^_^)
ジジイの見本
それでは、ジジイの見本のはじまり、はじまり〜。
「もしもし、こちらエヌチーチーコーポレーションの山田です。おめでとうございます!」
↑おめでとうと言われて悪い気のする人間はいない(^_^)
「はい、なにか?」
「お客様!抽選でお客様が選ばれまして、無料でお食事をしていただけることになりました」
↑“無料”という言葉に人は弱い(^_^)
「あら?そうなの?」
↑まだ怪しんでる(≧∇≦)
「はい、今回ですね、ご招待いたしますお店は、○○ホテルの高級レストランでございます」
↑“高級”という言葉に人間は弱い(^_^)
「ええ?あの有名な?○○ホテル?」
「さようでございます。ただ、お客様としましても、誰も今まで食べたことのないものを食べるのってご不安ありますよね?」
「そ、そうかもしれないわね。」
「ご安心くださいませ。今回は舌のこえた美食家が一度口にして、おいしいと、うなったものを、お客様に食べていただきますので」
「なるほど。それなら安心かもしれないわね」
「しかも、今回は、美食家が食べたという確実な保証付きでご提供させてもらってるんですよ」
↑“確実”、“保証つき”という言葉で信頼しない人間はいない(^_^)
「へぇ、保証っていうのは、何か、その料理で賞をとったとか?」
「いえ、それでしたら、お客様のほうでも、捏造とかをお疑いになるかもしれませんので、もっと確実に、美食家が食べたと分かるようにですね、今回は、美食家の肛門から、直接出てくるところを、お客様のほうで、見ていただいた上で、それを召し上がって、、、」
「はあ?うんこやないか!」
↑そう(^_^)
「まぁ、そういうお声もありますねぇ。主に貧民層の方から」
↑これをうんこと思うってことは、あんた、貧民層だよというプレッシャーをかける(^_^)
「お声とかちゃうがな!うんこやないか!」
↑たまたま客がアホやったパターン(≧∇≦)
「まぁ、えーと、ご住所をまずはお願いいたします」
「なんでこのタイミングで住所聞くねん!うんこやないか!いらんわ!アホか!」
↑こんな奴、誰とも結婚できない(^_^)
「あ、よろしかったですかぁ?まだ食べられてないの、お客様だけですよぉ?」
↑取り残される不安を演出(^_^)
「お前、抽選で、当たったって最初に言ったんちゃうんか!なんで、わたしだけ食べてないねん!180度違うやないか!ボケ!ガチャン!」
ジジイは、まさおを振り返り、ウィンクしながら、こう言った。
「お前にここまで喋れるか?」
まさおは、感じた。
この人は、勝負に勝って、試合に負けたのだと。
ジジイの課題その2
「次にお前が売る商材はこれだ!」
ジジイがそう言って示したものは、いわゆる“ダッチワイフ”だった。
ダッチワイフが何かわからないという読者は、ネットで調べたりせず、密かに想いを寄せている異性などに聞くと良いだろう。
きっと忘れられない一生の思い出ができるだろう。
「このダッチワイフ、なんか、でかいっすねえ。大林素子ぐらいありますやん」
「そうやねん。それがポイントやねん。そのダッチワイフ、チャックついてるねん。あけてみろ」
言われた通りにすると、中から同じようなダッチワイフが出てきた。
ロシアのマトリョーシカのように、ダッチワイフの中から少し小さなダッチワイフが出てきて、さらに、そのダッチワイフの中からもうワンランク小さいダッチワイフが出てくる。値段は80万円。交渉の段階で15万円まで下げていいとのこと。
「このダッチワイフは、小柄な女性がタイプな人も、大柄な女性がタイプの人も、みんなが楽しめるんや。そこが売りやわな。よし、電話かけていけ!」
まさおは、頭の中で戦略を立てていった。
いきなり、ダッチワイフを買うか買わないかという論点では勝てない。そこはジジイから学んだ。
ここは、教えてもらった二つのテクニックのうち、“相手に選ばせる”を使おう。
「もしもし、エヌチッチコーポレーションの吉永と申します。お忙しいところ失礼いたします」
「はい。どういうご用件でしょうか」
「マトリョーシカという商材の件で、この度、お電話いたしました」
「営業電話?それやったらいらんよ。切るで」
「あ、ご主人様、違います。今回は無料で、マトリョーシカのほうを、お届けさせてもらってるんです。マトリョーシカはご存知いただいてますか?」
「うん。ロシアの人形やろ。中から同じ人形が次々と出てくるやつ」
「さようでございます。ご主人様、マトリョーシカを手に入れるために、わざわざロシアに行って、寒さで命を落とすのと、日本の暖かいお家にいながら、マトリョーシカが送られてくるのとなら、送られてくるほうが、お得ですよね?」
「それはそうやねえ。でも、別にマトリョーシカいらんけど」
「そういうお客様に、今回は普通のマトリョーシカではなく、スペシャルなものをご用意しておりますので、良かったです」
「スペシャルなマトリョーシカってどんなやつ?」
まさおはここで、用心した。ダッチワイフという言葉にアレルギーを起こされてはたまらない。
「今回のマトリョーシカは、ダッチワイフィーな仕上がりになっておりまして、主に男性の方から指示を得ております」
「ダッチワイフィー?なに、それ」
「ダッチワイフです」
「切るで」
ガチャン。
くそ、切られてしまった。
その時、ジジイが飛んできた。
本当に飛んできたのだ。
パソコンのガシャーンという凄まじい破壊音とともに、まさおはジジイの下敷きになった。
馬乗りになりながら、ジジイはまさおをここを千度と殴った。
「ダッチワイフィーな仕上がりってなんや!そんな言葉あるか!ボケ!」
「い、痛い!な、なんや!がんばったほうやろ!そもそも売れるか!こんな気色悪い商品!」
まさおはなんとか半身を翻し、ジジイのパンチを逃れながら、立ち上がった。
「売れるか!マトリョーシカみたいなダッチワイフなんか!マトリョーシカ買う人も買わんわ!ダッチワイフ買う人も買わんわ!マトリョーシカみたいなダッチワイフはな!マトリョーシカでもなければ、ダッチワイフでもないねん!ただのゴミや!」
その時、ジジイの両目から、玉のような涙がこぼれた。
「ひどーい。ひどーい」
ジジイはうずくまって泣き出した。
「し、師匠、売り言葉に買い言葉とはいえ、す、すまなかったよ。お、俺の、やり方が悪かったのを、棚にあげてしまって、ほ、ほんまに、申し訳ない」
ジジイはそれを聞くと立ち上がって、「くきききき!今の言葉、録音させてもらいやしたあ!」と叫んだ。
まさおは、思った。
この男には勝てねえ。
ジジイの見本
さて、読者諸君、まさおは、どこがいけなかったのかな?
また、読者のみなさんなら、どうやって、このダッチワイフを売るだろうか?
必ず、自分で考えてみてから、ジジイの見本を読んでみてほしい。
それでは、ジジイの見本である。
「もしもし、こちらエヌチーチーコーポレーションの山田です。お忙しいところ申し訳ございません」
↑社名はエヌチッチコーポレーションだが、あえて曖昧にエヌチーチーコーポレーションと言うことによって、相手がNTTと勘違いすることを狙う作戦(^_^)
「はい?NTT?NTTが何か?」
↑カモネギおつ(^_^)
「わたくしどもは、国の少子化対策の一貫としてですね、活動しておりまして。お客様、日本の将来について、ご不安ありませんか?」
↑ない人などいない。小さなイエスを積み重ねる作戦(^_^)
「そりゃあ、ありますよね。消えた年金問題もほったらかしのまんまやしねえ」
「そうですよね。日本は、ノルウェーやスウェーデンなどの北欧の国に比べて性教育も遅れていますしねえ。お客様もご存知の通り」
↑ご存知の通りと言われて、知らないと言える人はいない(^_^)
「う、うん。そうやねえ」
「で、日本も遅れながらではありますが、ご存知の通り、ダッチワイフィーなマトリョーシカを色んな家庭にお届けして、性に関する意識を高めていってる最中なんです」
↑ダッチワイフィーという言葉を使うことによって、“俺が使うのは、ダッチワイフではないんだ”という逃げ口を与えてあげる(^_^)
「それはそれはご苦労様です」
「で、我々NHKとしましては、少子化対策に力を入れたいのです!うっ!うっ!すいません。泣くつもりじゃなかったんですけど」
↑いつの間にかNHKと名乗る。NHKもNTTも響きが似てるから、まずバレない。エレベーターとエスカレーターみたいなもん(^_^)
「そんな、泣かないでくださいよ。わたしまで泣けてきますから」
↑アホ(^_^)
「というわけで、このダッチワイフィーなマトリョーシカを80万円のところ、15万円でお売りしたいと思います。“逆に、断るやつのほうがエロい”をスローガンに、わたしたちと、闘いませんか?」
↑“わたしたち”という言葉で連帯感を持たせる(^_^)
↑断るやつのほうがエロいという言葉で、エロくないなら、ダッチワイフ使えというプレッシャーをかける(^_^)
「は?ダッチワイフを15万円で買わせるだけの話やないか!」
↑たまたま客がアホやったパターン(≧∇≦)
「ダッチワイフィーとダッチワイフの違いがわからないお客様は、10年寿命が短いというデータも出ております。ご存知の通り」
↑ご存知の通り、で巻き返しを狙う(^_^)
「切るぞ、もう!死ね!」
↑アホ。親もアホ。
電話を切られてしまったジジイは、まさおを振り返り、こう言った。
「ダッチワイフィーって言葉を使ったせいで、こうなってしもたわ」
まさおは思った。
俺のせいだ、と。
ジジイの課題その3
まさおは、悩んでいた。
今までの課題は、全部、わけがわからないものばかりだった。
うんこを食わせるテレアポ?
マトリョーシカみたいなダッチワイフ?
売れるわけがない。怒鳴られたり、切られたり、自分がやってることは単なるイタズラ電話じゃないのか!
そんな想いを中断したのは、ジジイが口を開いたからだ。
「さあ、次の課題や!次は、比較的イージーなやつ、いこか!そろそろ、お前も、自分の実力、どれぐらい上がってるか知りたいやろ!」
まさおはワクワクしてきた。
なんだと?
イージーなやつ?
ジジイの課題3
“ソファー型ダッチワイフを売れ”
悪夢だ。
ソファー型ダッチワイフ?
なにゆうとんねん、こいつ。
「マトリョーシカみたいなダッチワイフは、すごく売りにくかったと思う。でも、今回は、普通のダッチワイフの問題点をクリアしてるわけやから、普通のダッチワイフより売りやすいねん。お前、ダッチワイフ持ってるか?」
「持ってないです」
「なんでや?」
「いや、だって、嫁と子供おるから」
「そこやがな!このソファー型ダッチワイフは、普段はソファーや!その上で家族団らんできるんや!そして、夜中、家族が寝静まったところで、ソファーから“オンナ”になるんや!」
「それって、バレないんですか?」
「ばれへんがな!ソファーの上で眠ってしまってるみたいな形で、自分の大切な部分をソファーの穴に差し込めるようになってるんや」
「その、ソファーの穴は、普段はわからないとこについてるんですか?」
「いや、空いとる。せやけど、そこは、普段はボールペンとか筆記用具を入れられる感じになってるから大丈夫や」
「普段、筆記用具入れてるとこに、夜中、筆記用具いったん出してから、やるんですか?めんどくさいし、イカくさくないですか?」
「は?なにゆうとんねん、筆記用具いったん全部だして、終わったあとは、ソファーごと丸洗いできるし、大丈夫や」
「ソファーごと丸洗い?」
「はっはっはっ。冗談ながな。ソファーごと丸洗いなんて商品、売れるわけないがな。あっはっはっはっ。ちょ、つ、ツボに入るわ、お前。あっはっはっはっ」
ジジイは息が苦しいほど笑いだした。
冗談って言うけど、今までの道のりを思い起こすと、冗談みたいな道しかなかったような気がするのだ。
「あーあ、おもろ。ソファーの穴だけ、カポっと外せて、それだけ洗えるようになってるよ」
「あ、あと、ソファーみたいなダッチワイフなんですよね?肝心のダッチワイフ的な顔とか、姿とかじゃないと興奮しないと思うんですけど」
「お前さあ、そこまでアホやとはな。情けない」
ジジイは情けなくて仕方ないことを眉毛を八の字にすることで表現した。
「百聞は一見に如かずや。これがその商品や」
ジジイが大きな赤い布をとると、まさおの前にダッチワイフみたいなソファーがあらわれた。
確かに文房具が入っている穴がある。ここに入れて、気持ちいいのかなあ。文房具が入っている穴としては不自然なぐらい小さな穴ではある。
「そのソファーの上に寝そべってみろ」
言われるがまんまにソファーに寝そべってみると、ちょうど顔あたりのところに妙なラクガキがあった。
ハダカの女のラクガキで、マンガのセリフのような吹き出しがあり、その女は「うっふーん」と言っている。
まさか。これをオカズにするのか?
まさおは、気がつけば泣いていた。
「こ、こんなもん、売れるわけないやろ!アホか!うわあーん、うわあーん!」
ジジイは笑いだした。
「冗談やがな!あっはっはっはっ」
だから、冗談かどうかわからんねん!クソジジイ!
ジジイは、笑い終えると、一本のDVDを持ってきた。
「これが、このソファー型ダッチワイフに付属品としてついてるやつや」
「俺が、このソファー型ダッチワイフの使い方、実際やってみせたるわ」
そう言うとジジイは、ソファーに座り、付属品のDVDを入れると、リモコンで再生をした。
画面には、ショートカットで黒髪の女の子が現れた。
「ここよ。わたしはここ。わたしに気づいて」
女の子の声を聴きながら画面を注視するジジイに、女の子は続けた。
「もう!画面じゃないわ!気づいて!ここよ!あなたが座っているのが、わ♡た♡し♡」
ジジイはキョロキョロしてから、わざとらしくのけぞった。
「ひゃ!ひゃあっ!そ、ソファーなのかい?」
「ソファーじゃないわ♡わたしは、桃尻きららよ♡わたしのあそこにぶちこんで!」
悪夢のような商品だ。まさおは、金をもらうから、もらってくれと言われても、いらないと思った。
「わたしのあそこがわからない場合は説明書の13ページを見て!遅れたけど、このたびは、本製品をお買い上げいただき、誠にありがとうございます」
なんという興ざめな商品なんだ!
こんなものをこれから売りつけるのか!帰りたい!でも、帰るなんて言ったら、また殴られる!
ジジイの小芝居は続いた。
「どこかなあ。どこかなあ」
「早くぅ。入れてぇ」
ジジイがその穴に、汚いジジイ自身をセッティングすると、画面の女の子があえぎだした。
最初はかわいいと思ったのに、だんだんとブスに見えてきた。くだらない演出のせいであることは言うまでもない。
ここからの詳細は割愛させてもらう。
とにかくジジイの腰の動きにあわせて画面の汚い女があえぐという商品であった。
「はあ、はあ、はあ。気持ちよかった。おい、これ、お前、洗っとけ」
まさおは、必ずこのジジイよりテレアポの技術がうまくなったら、殺すことを心で誓ったのであった。
まさおが、汚いものを手洗いしていると、遠くのほうでジジイの声がした。
「ちなみに、“嫁が来た!”と叫ぶと、画面は自動的に“ダイハード”に変わるようになってるから!」
まさおは水の音で聞こえないフリをした。
ダイハードを一体なんやと思ってるねん。
ジジイの課題その3後編
ガックリ来ているまさおに、ジジイは言った。
「大丈夫や。今回は、荷電するリストの客が、もともとエロいやつばっかりやとわかってるんや。大量にAVを借りる奴をレンタルビデオ店と結託して手に入れたリストや。だから、もともとダッチワイフに興味あるからな。教えたことを活かして、かけたらイチコロや!商品がええしな!値段は185000円や」
まさおは、開き直り、また頭の中で作戦を立てた。
小さなイエスを積み重ねること。
相手に選ばせること。
よし、あと、会社の名前はエヌチッチコーポレーションやけど、微妙に発音して、エヌチーチーコーポレーションと言うんやっけな。
まさおの三戦目の戦いの様子が下記である。
読者のみなさんも、自分ならどうセールスするか、考えながら、是非読んでほしい。
「もしもし、エヌチーチーコーポレーションの吉永と申します。おエロがしいところ、申し訳ございません」
「はい?えー、なんでしょうか?」
「実は、この度ですね、快適ソファーの件で、まずはお電話でのご案内をさせてもらってまして」
「ソファー?はあー、うち、ソファーちょっと、ボロボロになってきたんで、関心はあるけどね〜」
「あ、ちょうど良かったです。ソファーなんて、なんでも同じ、なんておっしゃる方も、がん患者の方を中心にいらっしゃるのですが、ご主人様はソファーについてどう思われますか?」
↑ソファーなんてなんでもいいと答えると、ガンかもしれないという恐怖から、イエスと答えさせるテクニック(^_^)
「いやー、やっぱり、家族のだんらんの中心になる家具やからね。なんやったらソファー決めてから、部屋のインテリアの色とかテイストとか、全て決めるのがええよね」
「お客様のおっしゃる通りです!今回の商品は、ソファーの真ん中に文房具を入れる便利なスペースもありまして、機能的にも充実しております」
「へえ、でも、実際に、物を見てからでないと、ねぇ」
「一応、後ほど、パンフレットをお届けいたしますのでそちらでも目で見て確認していただけるようになっております」
「値段は?」
「えー、185000円です」
「うーん、まあちょっと値段的にねえ」
「えー、今回ソファーだけではなくてですね、オプションがたくさんついてくるので、そちらで、今回のソファーの、正体を想像していただけるかと思います」
↑想像させることで、性欲をかきたてる作戦(^_^)
「なに?オプションって?」
「えー、今回ですね、ティッシュを、肌ざわりの良い、肌ざわりのそれはそれは良い、お客様の、たーいせつなモノを拭くのに肌ざわりが良くて良くて、はぁ、はぁ、肌ざわりが良くてたまらな〜いティッシュを一年分おつけしております」
↑官能的(^_^)
「ティッシュ一年分。それだけ?」
↑こいつ絶対S(^_^)
「それだけじゃありません、はぁはぁ、今回、ティッシュだけではなく、ティッシュだけではなく、はあ、はあ、アダルトビデオもぉ、ああっ!おつけしてーっ!」
「はあっ、はあっ!もう、俺、ズボンをずりおろしちゃってるよ!はあっはあっ!ティッシュとーっ!?アダルトビデオとーっ!?」
↑当たりの客GET(^_^)
「ティッシュとぉーっ!アダルトビデオとーっ!ローションをおつけしますーっ!」
「か、か、かっ!買いそう!買いそうだよおっ!もうすぐ!もうすぐ買いそう!ねえ?買ってもいい?買ってもいい?いっしょに買おう?」
「はあっ!売りそう、売りそう!売るよ!いっしょに売ろう!売ろう!売るよ!う!う!売るーっ!」
「はあっ!か、か、買うーっ!」
↑交渉成立(^_^)
「はあっ!はあっ!ありがとうございます。はあっ!はあっ!う、売れたあ。はあ、良かったです」
「いやあ、まあ、ちょっと考えるわ。ほ、ほな。ちょっと切るわ」
↑イッた途端急に冷たくなるパターン(≧∇≦)
まさおは愕然とした。
いっしょにイッた仲なのに!
その時、ジジイが頭上に浮かんでいることに気づきもしなかった。
ガシャーンと三台目のパソコンが壊れる音がして、ジジイは馬乗りになりながら、殴りに殴った。
「誰がテレホンセックスしろって言った!このロクデナシがぁっ!」
「痛い!痛い!やめろ!ジジイ!イッた途端に向こうが冷たくなったんじゃい!!」
さて、読者のみなさん、まさおは一体、どこがいけなかったのかな?
読者のみなさんは、まさおのようなコミュニケーションをとってないかな?
ジジイの見本
さて、みなさんなら、このソファー型ダッチワイフ。どうやって売るだろうか?
ジジイの見本を読む前に、必ず自分で考えてみよう。
パートナーのいる人は、パートナーとロールプレイしてみるのも良いかもしれない。
それでは、ジジイの見本である。
「もしもし、こちらエヌチーチーコーポレーションの山田です。お忙しいところ、申し訳ございません」
「はい、何か?」
「はあっ!売るよ!売るよ!いきなり売るよ!う、う、う、売るーっ!」
↑“いきなり”が興奮するお客さんということをもう見抜いてる(^_^)
「はあっ!いきなり何かわからないものを、はあっ!か、か、か、買うーっ!」
↑交渉成立(^_^)
「はあっ!はあっ!ほな。そういうことやから。185000円で、ソファー型ダッチワイフ、お買い上げありがとう。ほな、切るわな」
↑ピロートークなし(^_^)
まさおは、感動していた。
なんてすごい人なんだ。この人に一生ついていこうと。
ジジイの課題その4
ジジイの課題その4
死刑囚が牢獄の窓の格子の柵と柵の間から見る月と同じ美しさの月が見える望遠鏡を売る
「どういうことっすか?」
まさおは聞いた。
「どういうことってそのままやがな。お前、普段、月を観てて感動するか?感動したとしても、たかがしれてるやろ。ところが、死刑囚が窓の格子の柵と柵の間から見る月って、そりゃあ、もう、感動するやろ。こんな俺にも、月は照らしてくださるぅ、ってやつやで!外の世界に対する哀愁の全てが詰まっとるがな!」
「え?なんて?」
「お前、普段、月を観てて感動するか?感動したとしても、たかがしれてるやろ。ところが、死刑囚が窓の格子の柵と柵の間から見る月って、そりゃあ、もう、感動するやろ。こんな俺にも、月は照らしてくださるぅ、ってやつやで!」
「二回聞いてもわからないっす。わかるけど、そんなもん、望遠鏡で覗いてる時点で、望遠鏡あるやん、死刑囚ちゃうやんってなりません?大体、望遠鏡で月を見る死刑囚なんておらんでしょう?柵の間から見てるのがキレイなんでしょう?もうたとえと違いますやん」
「ほな、やめよ。変えるわ」
ジジイがあまりにもあっさりと撤回したことに、まさおは一瞬何が起こったのかわからなかった。
「変えよう。死刑囚が牢獄の中で窓の柵と柵の間から見える満月と同じ美しさのダイヤモンドを売ろう」
「いや、より難しなっとるがな!どう説明したらええねん!そんなもん、普通に、他のたとえのほうが説明しやすいし!ダイヤの美しさのたとえとして、それ、言う?」
「ほな、やめや。変えよう」
あまりにも、あっさりと撤回したジジイにまさおは二回目なのでむかついた。
「ほな、こうしよう。死刑囚が牢獄の中にいて柵と柵の間から見えるダッチワイフを売ろう」
「売れるか!そんなもん!なめてんのか、お前!ダッチワイフダッチワイフって言いやがって!なんで死刑囚が牢獄の中にいて、窓の格子からダッチワイフ覗くねん!ホラーやないか、そんなもん!」
その時、ジジイが飛びかかって来た。まさおに馬乗りになり、何度も何度も殴った。
まさおは、もう逆らう気持ちもなかった。
「わかりました。売ります」
さて、それでは、まさおの第四戦目である。
「もしもし、エヌチーチーコーポレーションの吉永です。お忙しいところ申し訳ありません」
「はい?なに?」
「お客様、死刑囚が牢獄の中で窓の格子の間から、見える月の美しさ、想像してほしいんですよ」
「ちょっと待て、何ゆうてるの?」
「想像してほしいんですよ。でないと、また殴られるんですよ!死刑囚が・・」
「多分、死刑囚、そんな、外とつながったところに入れられてへんと思うしなあ。大体、これは、なんの電話?」
「いや、殴られるから、話聞いてほしいんすよ。その、牢獄の窓から見える月の美しさを想像してもらって、そこから、月ではなくダッチワイフが見えると想像してほしいんすよ。そしたら、ヤリてぇって思いますよね!買えよ!買ってくれ!もう殴られたくないねん!あはーはーはーん。わあーん!」
電話はそこで切られた。
ジジイの見本
さて、まさおはどこがいけなかったのかな?読者のみなさんなら、果たして、どうやって、この“死刑囚が牢獄の窓から見えるダッチワイフぐらいヤりたくなるダッチワイフ”を売ることができるかな?
自分なら、どうするかなあなどと、考えたあとで、ジジイの見本を読んでいただきたい。
それでは、ジジイの見本のはじまりはじまり〜。
「もしもし、こちらエヌチーチーコーポレーションの山田です。お忙しいところ申し訳ございません」
「あー、はい、どのようなことでしょうか?」
「お客様、おめでとうございます」
↑おめでとうと言われて悪い気がする人はいない(^_^)
「えっ?何かあたったの?俺」
「今回ですね、本当に一部の人間にしかお売りできない商品を選ばれた殿方だけに購入の権利を無料で差し上げてるんです」
↑購入の権利を無料で差し上げるというごまかし方をしてるが、買わせるということ(^_^)
「へえ?無料?」
↑カモおつ(^_^)
「はい。購入の権利が無料でして。殿方には是非お持ちいただきたいですね」
↑“殿方”と呼ぶことによって、商品がアダルト向きであることを、拒否反応のないように少しずつ感じさせる(^_^)
「へぇ、それはそれは。どんな商品なの?」
「おエロがしいところ殿方だからこそ、やはりステータスとして持っていてもらいたいのです」
↑“お忙しい”の聞き間違いかな?と思う程度に“おエロがしい”と言うことによって、どんどん商品がアダルトであることを拒否反応なく感じさせる(^_^)
ステータスという言葉も相手の虚栄心をくすぐる(^_^)
「な、なんか、こ、こちょばいです」
↑“殿方”“ステータス”などの言葉が効いてる(^_^)
「殿方殿方殿方〜。こーちょこちょこちょーステータスステータスステータス〜、こーちょこちょこちょー」
↑とどめのラッシュ(^_^)
「わはは!あはは!ま、参った!こちょばい!か、買うよ!買う!買う!死刑囚の牢獄の窓から見えるダッチワイフを買う!買うよ!」
↑なんでまだ言ってないのに知ってるねん(^_^)
でも、交渉成立(^_^)
さて、みなさんは、ジジイのやり方とくらべて、どうだったかな?
コミュニケーションの基本は、ひとりよがりになってはいけないということ。必ず相手の反応を見ながらということを忘れずに(^_^)
新しいテクニックの伝授
ジジイの営業電話のかけ方に、とても自分はできないと落ち込んでいるまさおの気持ちを見抜くかのように、ジジイは丸い背中に声をかけた。
「さて、新しいテクニックを教えよかな。そろそろええやろ」
新しいテクニック
“デメリットを言うことで信頼を得る”
まさおは、暗い気持ちに少しの光が射すのを感じた。
「デメリットを言う?」
「そうや。お前さ、たとえばな、急に電話かかってくるわけや。ほんで、安くなりますだの、あなたのために、だの、言われたら、まず怪しいと思うやろ?」
確かにそうだ。うまい話ほど、罠がある、と考えるのが普通である。
「ワケあり商品って最近流行ってるやろ?ロールケーキの切れ端とかさ。安い値段で売るやろ?ああいうことやがな」
ジジイの話はまたも明快だった。
メリットとデメリットはコインの表裏。
表だけ見せて、このコインを買え、なんて、言われたら裏も見せてよ!と警戒するのが普通だ。
「ここでな、もうひとつのポイントはな、デメリットを正直に言うという誠実さを見せて、この人の言うことなら、安心できるなあと感じてもらうことが大切なわけや。あと、デメリットやけど、一番大きいデメリットを見せたらあかんで。それは隠すんや」
「えっ?そうなんですか?」
「当たり前やがな。一番大きいデメリットは、見せたら、嫌になるがな。小さいデメリットを誠実に謝ることによって、お客さんはどう思う?」
聞かれて、まさおは考えた。
そうか。なるほど。
“この程度の小さなデメリットなのに、誠実に謝ってくれている。この人なら信頼できる”と思わせたら、話がしやすい。
ワケあり商品か。
確かにワケあり商品として、ケーキがつぶれていても、味は変わらないわけだから、正直、買う側からしたら、“たいしたデメリットではない”わけだ。
「よし、分かったら、具体的にどう使うかを教えてやろう!俺がいきなり見本を見せるから電話対応を見ておけ」
そう言って、ジジイが取り扱う商材は、またもや、驚くべきものだった。
“九九ができないし、冷蔵庫の中の食べ物を勝手に食べる家政婦を派遣する”
「ええか?この場合、九九ができないことをめちゃくちゃ申し訳なさそうに謝れ。ほんで、さらっと、冷蔵庫の食べ物を勝手に食べることを言うんや」
まさおは思った。
冷蔵庫の食べ物を勝手に食べないように教育したらええやろ、クソジジイ。
「そ、そんな家政婦、雇いますかねえ」
「大丈夫や。九九ができないことを謝りまくれば、もう信頼関係できるから、冷蔵庫の中の食べ物を勝手に食べることと、寝てる間に主人の髪の毛を切ろうとしてくることぐらい、許されるよ」
まさおは、耳を疑った。
なんか、えげつないやつ、足されてるやん。
ジジイの見本
さて、それでは、今回の商材である。
“九九ができないし、冷蔵庫の中の食べ物を勝手に食べるし、寝てる間に主人の髪の毛を切ろうとしてくるけど、料理、洗濯など完璧な家政婦を派遣する”
である。
なお、電話をかけるリストは、金持ちの豪邸で、家政婦がいない家ばかりとする。
さて、読者のみなさんなら、どのようにこの家政婦を派遣するかな?
必ず考えた上で、ジジイの見本を読むようにしてもらいたい。
それでは、ジジイの見本のはじまりはじまり〜。
「もしもし、こちらエヌチーチーコーポレーションの山田と申します。お忙しいところ申し訳ございません」
「はい?何でしょうか?」
「あのー、わたくしどもは、優秀な家政婦を派遣している会社でございまして。今回はそのご紹介でお電話でのご案内をしておりました」
「そうなんや。まあ、今のところ、嫁がやってるからなあ、掃除とか」
「お客様、奥様のご負担などを考えるとですね、お屋敷のお掃除は大変かと思われます」
↑“お屋敷”という言葉で家が広いことをくすぐる(^_^)
「いやいや、お屋敷なんて言うほどじゃないよ。はっはっはっ」
↑気を良くしている(^_^)
「いえいえ、お客様、お電話とっていただくまで、長かったですもの。やっぱりお家が広いとお電話とるまでに歩く時間が必要ですもんね」
↑さらに優越感を与える(^_^)
「いやいや、歩くのがとろいだけやわ。わっはっは」
↑“あっはっは”から、“わっはっは”に笑い方が変わった。気をよくしている証拠(^_^)
「お客様のお屋敷に比べたら、私の家なんて、犬小屋ですよ」
↑とどめだ(^_^)
「きょーっきょっきょっきょっ!犬から電話かかってきたぜーっ!きょーっきょっきょっきょっ!」
↑“きょーっきょっきょっきょっ!”という笑い声になった。もうチューリップ開いた状態(^_^)
「さて、お客様、わたくしどもの家政婦なんですが、元FBIの工作員でして、本当になんでもできる家政婦なんです。その家政婦を今回一ヶ月50万円で派遣してるんだワン!ワンワン!」
↑犬と思わせ警戒心を解かせる(^_^)
「きょーっきょっきょっきょっ!そんなに優秀でそんなに安いなんて、何か怪しいから、お前を保健所に連れて行く!きょーっきょっきょっきょっ!」
↑残忍な資本主義のブタの本性があらわに(^_^)
「いえいえ、お客様!じつは、そ、その、しょ、正直に申し上げますね。」
「な、なんや?」
「実は、う、うちの家政婦は、九九が、九九ができません!も、も、も!申し訳ございません!七の段が、難しいよってにーっ!うわあはあはあーん!あはーはーん」
↑泣きわめく(^_^)
「そ、そんなに謝ってくれるなんて、お前、ええやつやなあ」
「私の家政婦は、九九ができないばっかりにFBIをクビになりました。そして、今やその有り余る能力を、家政婦として発揮しておるのです」
「ほな、うちに来てよ!九九がでけへんぐらいかまへんがな」
↑思うツボ(^_^)
アホ(^_^)
親もアホ(^_^)
交渉成立(^_^)
「ありがとうございます。それでは、このたびは、九九ができないし、冷蔵庫の中の食べ物を勝手に食べるし、ご主人様が寝ている間に髪の毛を切ろうとしてくるし、余命一ヶ月の家政婦の派遣のご契約ありがとうございます」
↑後半は早口で言う(^_^)
「そんなきしょい家政婦いらん!」
↑たまたま客が人間不信のクソ野郎だったパターン(≧∇≦)
ジジイの提案する様々な商品
まさおは、その後も、様々な商材を、テレアポでジジイにやらされていた。そして、その全てに撃沈していた。
“未亡人にオーダーメイド旦那型抱き枕を売りつけろ”
まさおの敗戦記録
「もしもし、えーと、お客様おめでとうございます」
「なに?」
「今回亡くなった旦那様の顔を様々な角度から写真で撮らせていただいておりまして、それにより、立体的な、それはもう、大変立体的な、もしかしたら、生きていた旦那様本人よりも立体的な抱き枕が完成しました!」
「からかってるのね!死ね!ガチャン!」
↑怒りの余りに、“ガチャン”を口で言ってしまってる(^_^)
ジジイの見本
「奥様、突然のお電話、大変失礼いたします。実は、私は、生前、旦那様に大変お世話になった者です。これは、ご主人には、絶対に奥様には言うなと言われていたことなのですが・・・」
↑この出だしで電話を切れるやつなど、この世にいない(^_^)
「な、なにかしら?あ、あなた、どなた?」
↑気になっている(^_^)
「わたしは、旦那様と、いや、もういつもの呼び方で言わせてもらいますね、プニョーンとは親友でした」
↑こいつしか呼ばないような謎のあだ名をちらつかせることによって、関係性もそれだけ深いと思わせるテクニック(^_^)
「そ、そうなんですか。それはそれはお世話になりました」
「実は、実は、プニョーンから奥様のことを愛していた自慢話をたくさんたくさん聞かせてもらってまして、プニョーンは自らの命がもう長くないことを知ると、旦那様ご自身の姿だけでも、そっくりにこの世に残すことを考えたのです」
「え?どういうことですか?」
「プニョーンは、旦那型抱き枕を提案し、わたしは、その抱き枕をわたしの経営しているパン工場で完成させておりました。普段はパンが並んでくるベルトコンベアにダッチワイフが、あ、抱き枕が並んでくるものですから、従業員は、びっくりしていました」
↑苦労したことを恩にきせる(^_^)
抱き枕をわざと、一回ダッチワイフと間違うことによって、夜の淋しさも埋められるということをこのエロ女に意識させる(^_^)
「開発費は150万ほどかかりましたが、今回、プニョーンから頼まれたので、奥様に、50万円でお届けしたいと思います」
「か、か、か、イクーっ!じゃなかった!買うーっ!」
↑交渉成立(^_^)
他にも商材はあった。
“オナニーしてる時の手の動きで電気を発生させるエコ発電機”
“一人暮らしの女性宅で大きい方がつまった時に、修理業者を呼ぶことすら恥ずかしい人のために、代わりに自分がやったことにするサービス”
“柔道耳”
使い方は簡単。耳につけるだけ。これで、無用な喧嘩を避けることができます。今なら、拳ダコ手袋もセットで85000円
胸に七つの傷を持つ男の人なら割引きしますよというテレアポ。探しだして「妹のかたきーっ!」と叫びながら殺すテレアポ
“目が悪くないとメガネをかけてはいけないみたいな空気があると思うんですけど、そういう空気を変える空気清浄機を扱っておりまして〜”
フレッツ光からフリーメイソン光にかえさせるテレアポ
まさおはどれも失敗したが、ジジイはどれも成功させた。
第二章 心理カウンセラーへの道
まさおは、落ち込んでいた。もう、わけのわからない商材を売りたくない。
そんな、まさおの心を見透かすように、ジジイは、こう言った。
「よし、そろそろやな!お前には、これから、営業電話から、いったん離れてもらう。これからは、優しくて気の弱いお前に、ある意味向いてることをしてもらう」
第二章 心理カウンセラーへの道
「心理カウンセラー?それは、なんのためにやるんすか?」
まさおは聞いた。
「ええか?コミュニケーションは、剛と柔にわかれる。お前は、剛にはかなり苦しめられたな。これから体験してもらうのは、柔や。色んな人が相談で、電話がかかってくる。それに対して相談に乗るだけや」
ジジイは、快活にこう言ったのち、まさおの肩をバシバシと叩き、さらにつけたした。
「自信なくしとるがな!大丈夫!お前ならいけるよ!」
まさおは、もう、やるしかなかった。
どの道、やらないと殴られるからだ。
「最初にテクニックを教える。細かいテクニックは、ちょこちょこ教えるとして、最初に意識してほしいのは、次の二つや!」
テクニック1
相手の意見を絶対に否定しないで、相手が自分で間違いに気づくようにしむける
テクニック2
自分の失敗談などを話して、スキを見せる
二つのテクニックの意味
まさおは、内心の興奮を隠せなかった。
今までテレアポでは、全然とれなかった。進化していないと感じていた。
しかし、師匠は、ちゃんと自分の長所を見てくれていたのだ。
お前に、向いてる世界がある、と。
こんなに嬉しいことはない。
心理カウンセラー?
悩める人間、弱っている人間の相談に乗る。
テレアポというものは、結局、嫌がってる人にどうやって、振り向かせるかというところがあった。
こちらから攻撃を仕掛けるのだ。
それに対して、心理カウンセラーというものは、向こうを攻撃しなくてよいのだ。
まさおは、どんなにめんどくさい相談でも、親身になって、優しく、全て受け入れようと、そう決意を新たにしたのであった。
「師匠!二つのテクニックの意味を詳しく教えてください!」
テクニック1
相手の意見を絶対に否定しないで、相手が自分で間違いに気づくようにしむける
「これは簡単や。人に意見を否定されるとな、人間ってのは、私の意見を否定された、イコール私を否定されたって感じるもんなんや。普通の人でもそうや。精神病の人、弱ってる人なんて、もっと、そう感じるやろ?」
ジジイの話は明快だった。
まさおもテレビのドキュメントで観たことがある。
変な新興宗教に入ってる信者の洗脳をとく専門家は、絶対にその人の宗教を否定しない。
そして、他の様々な新興宗教のやり方を見せていっしょにバカにするらしいのだ。
「不思議なもんでな。そいつは、自分は変な宗教に入ってるくせに、他のインチキ宗教の映像とか観せたら、馬鹿馬鹿しいと言って見下しよるねん。で、ここがおかしよね、こんなことありえへんよね?って話をすると、ちゃんと常識人の返し方をするねん」
まさおは聞いた?で、最後はどうするんですか?
「おかしいよね?って、言い続けるだけ。『うちの宗教はそれにくらべて、まともで、良かった』なんて平気で言ってるけど、だんだん、気がつくねん。うちの宗教と共通点めっちゃ多くないかな?ってな。そこまで我慢して、優しくもっていくのが、心理カウンセラーの仕事でもあるんや」
なるほど。ジジイの話は、明快である。
そして、何より嬉しいのは、まさおにとって、それが向いていそうなことである。
テクニック2
自分の失敗談などを話して、スキを見せる
「これはわかるやろ?」
「はい!多分!プライドが高い人間にとって、上から目線でモノを言われるのは屈辱なので、スキを見せることによって、人に教えながら、“あれ?俺もそれをできてないんじゃないのか?”と自然に思わせるわけですよね?」
ジジイは、まさおの肩をもみながら、答えた。
「その通りすぎて、補足もいらんぐらいや!お前は向いてる!!最高やな!」
ジジイに褒められてまさおは嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
期待と希望
まさおは、期待と希望と嬉しさでいっぱいだった。
少しの不安はあるけれど、とにかくルンルン気分だった。
今までの道のりを振り返ってみると、本当にロクなことがなかった。
ダッチワイフを売りつけさせられたり、ダッチワイフを売りつけさせられたり、時にはダッチワイフを売りつけさせられたり。
でも、これからは、心理カウンセラーとしての訓練、自分に向いていそうな訓練ができるのだ。
小さな子供が、買ってもらったばかりの長靴を履きたくて仕方ないので、用事もないのに、晴れていても長靴で歩き回るような、そんな気分である。
そして、大人たちに、聞かれてもないのに、「これ、買ってもらったの!」と言いふらすような、のどかでかわいい子供。
そんな気分になるのは、まさおは久しぶりだった。
まさおは、近所の商店街を鼻歌まじりで歩いた。
「コロッケ屋さん、こんにちは。僕、心理カウンセラーになるの」
「あら、そうかい。それは良かったねえ。コロッケひとつサービスしてあげるよ」
「ありがとう」
「ここ、もう営業してますか?」
「あ、あと10分したらなんだけど、もういいですよ。コーヒー飲んでゆっくりしてください」
「喫茶店のマスター、僕、心理カウンセラーになるの」
「あら、そうなんですか。それは良かったですねえ」
「うん、さよなら」
「あらら、帰っちゃったよ」
「パン屋さん、こんにちは。僕、心理カウンセラーになるの」
「あら、まさおちゃん、久しぶり。良かったねえ。パン一個サービスだよ」
「ありがとう」
「おじさん、おじさん」
「あら、かわいいお嬢ちゃんだねえ。でも、おじさんじゃないよ。心理カウンセラーだよ」
「おじさん、この長靴、お母さんに買ってもらったの!」
「あら、そんなことより、僕、心理カウンセラーになるの」
「ふーん。えっとね、えっとねー。この傘も、お母さんに買ってもらったの」
「そんなことより、僕は心理カウンセラーだよ。すごいね!会いたいね!」
「アンパンマン、これ」
「何が?」
「この長靴、アンパンマン。これ」
「アンパンマンより心理カウンセラーのほうが会いたいねー。良かったねー」
女の子は、身の危険を感じたのか、去ろうとした。
その時である。
「待て!今までのここの商店街の人は、みんな、俺が心理カウンセラーだと言うと、必ず何かくれた!お前からは、その、アンパンマンの長靴と傘をいただこう。きえーっ!」
まさおは女の子に飛びかかり、傘と長靴を奪った。
そして、泣き叫ぶ女の子を丸呑みにして食べてしまったのだ。
それぐらい嬉しかったのだ(^_^)
実戦その1
まさおは、電話の前で緊張していた。
いつもは、こちらがこちらのタイミングでかけているが、今回は、かけられるのを待っているのだ。
ドキドキする。とりあえず、ジジイの教えてくれた二つのテクニックを思い出していた。
テクニック1
相手の意見を絶対に否定しないで、相手が自分で間違いに気づくようにしむける
テクニック2
自分の失敗談などを話して、スキを見せる
いっぺんに二つのことは、できない。
まずは、ひたすら相手を否定しないことに集中しよう。と、思っていたら、電話がなった。
「も、もしもし!エヌチーチー相談センターです」
「あ、あの、ここは、なんでも相談してよいのでしょうか?」
「はい。こんなことで、相談したら、迷惑なのかな、とか、ご遠慮される方もいらっしゃいますが、ささいなことでも、ご本人にとっては、大きい悩みなんだと思いますよ。なんでも相談してください」
「えーと、私の娘が食べられたんですよ」
「え?だ、誰に?」
↑“誰に?”っていうのがもう怪しい(^_^)
人間が食べられると聞いて、誰に?って、聞き返すかね、フツー。
「誰かはわからないんですが、新しい長靴と傘を自慢したくて、ルンルン気分で娘は商店街を歩いていたんですよぉ」
「お、お、俺じゃ、ねえ」
「え?」
「ちがう、俺じゃねえ」
「ど、どうしました?」
「俺じゃねえよーっ!俺じゃねーよーっ!俺じゃねーよーっ!」
「も!もしもし!だ、大丈夫ですか?」
「俺じゃねーよーっ!俺じゃねーしーっ!」
電話は切られた。
まさおはなおも、取り乱し、叫び続けた。
「俺じゃねーよーっ!あの子が!あの子が悪いんだーっ!あはーはーはーん!俺の、心理カウンセラーの話が先だったのに、そこに、アンパンマンの長靴の話をねじこんできたんだーっ!俺は悪くないしーっ!」
ジジイの度重なる暴力により、まさおは、自分自身がカウンセラーを必要とする、化け物になっていたのだった。
こうして、まさおの実戦一発目は、敗戦に終わったのだ。
実戦その2
まさおの実戦その2である。
読者のみなさんも、受け身ではなく、できる限り、自分ならどう相談にのるか?などと考えながら、読んでもらいたい。
「もしもし。あのー、こんなこと、誰にも言えなくて」
「言えないでしょうねー」
↑相手の発言を否定しないテクニック(^_^)
「は、はい、言いにくいことなんですが」
「言わない方向で行きましょう!」
↑否定しない作戦をひたすら使う(^_^)
「あ、でも、そ、相談があって、聴いてほしいんです」
↑自分で気づいてきた!本当は相談したい自分に!(^_^)
「本当は相談したい自分に出会えて良かったですね。もうあなたは、さっきまでの相談したい自分に気づいてなかった弱いあなたではありません!おめでとう!ハッピーバースデー!」
「今日、誕生日じゃないですし、ま!まだ相談してないんですけど」
↑堅物クソババア(≧∇≦)
「なんですか?相談って」
「あの、主人が最近、買ってきたソファーが、なんだか、気持ち悪くて、それ以来、主人が寝言で、ダッチワイフィー!と叫んだり、中学二年生の息子もダッチワイフィーと叫んだりするんです」
「俺じゃねえ」
「え?」
「俺じゃねえ。お、お、俺じゃねえ」
「え?な、なにを?」
「俺じゃねえよーっ!俺は、雇われてやっただけなんだ!俺だって、あんなもの、売りつけたくなかった!俺だって!俺だって!」
この時、電話は切られた。
まさおは、メンタルが崩壊してしまったようだね。
読者諸君なら、どうやって、相談に乗っただろうか。
考えてみよう。
実戦その3
それでは、まさおの三戦目である。
陥りやすいダメな例で、重要なので、反面教師として、見ていこう(^_^)
「もしもし」
「はい。こちらはエヌチーチーコーポレーションです」
「えーと、えーと、えーと」
↑すぐには、率直な相談に入りにくい相談者は多い。みなさんも、電話に出ていきなり、「もしもし、何?」と言ってないだろうか?それを言うと相手にプレッシャーになる。
「な、なにっていうか、ど、どないしてるかなあって、思っただけやで」となって、気まずい空気になったりもするのだ。
「もしもし、何?もしもし、何?もしもし、何?」
↑やっちゃった(≧∇≦)
「え、いや、そ、その、何してるかなあって、思っただけやで。何って、そ、そんな、言われても・・・」
↑ホラ、気まずい(≧∇≦)!
「そ、そうなんや。せ、せ、セックスする?」
↑相談者と男女の関係が出来てしまうのがカウンセラーとして一番最悪のパターン(≧∇≦)
「し、します」
↑なんでやねん(≧∇≦)
「お前は、そんな安っぽい女やないやろ!もう、そういう関係は、俺で最後にしろ!」
↑お前はやるんかーい(*`へ´*)!
「最後に!します!」
↑最後の聖戦(^_^)
「い、いつにしましょか?」
↑急に敬語になることで、相手のムードが逆に壊れるパターン。タメ口ならタメ口で通さないと!(≧∇≦)
「いそいそ!いそいそ!」
↑ほら、いそいそと、パンツをはきなおしている!(≧∇≦)
いかがだったろうか?
まさおは、一体どこがいけなかったのだろうか?
読者のみなさんは、この本を読みながら、できれば、家族で意見を出し合いながら、お鍋をつついたり、コミュニケーションの一助にしてもらいたい。
お鍋は、味噌鍋が合うと思う。
別に他の鍋でもいいけど、この本には味噌鍋が合うかな。
お酒は、日本酒でも、なんでもいいかな。
日本酒かな、やっぱり。
ジジイの見本
さて、それでは、ジジイの見本を見ていこう。
色んなテクニックを駆使しながら、いつの間にか相談者の心理をハダカにする、その超絶テクニックには、ワインが合うので、是非とも、読者のみなさんには、ワインを飲みながらこの本を読んでもらいたい。
「もしもし?」
「はい、こちらはエヌチーチー相談所です。おかえりなさい!」
↑おかえりなさいということによって、あなたの居場所は、ここですよ、と優しく思わせる(^_^)
「た、ただいま」
↑変な奴(≧∇≦)
「えー、お電話くれて、嬉しいよ。声、かわいいですね」
↑本題を無理に聞き出そうとしないで、たわいない会話で、さりげなく褒める(^_^)
「え?そ、そうですか?お会いしたらガッカリするかも」
「いやいや、はっはっはっは!」
↑コメントしづらいことを言われた時は、とにかく、このイヤイヤハッハッハ作戦を使う(^_^)
「えーと、実は、相談がありまして。しゅ、主人の、ことなんですけど、そ、その、す、砂を触った手で、手を洗わずに、すぐ、わたしのおっぱいを触ってくるんです」
「手を洗わずに?」
「はい。砂を触った手で、すぐにわたしのおっぱいを触ってくるんです。それが、悔しくて悔しくて」
「ご主人に、その悔しい気持ちを伝えましたか?」
「は、はい!手を洗ってほしい、と」
「そしたら、ご主人は?」
「主人は、『いやいや、はっはっは』と笑って、取りあってくれませんでした」
↑イヤイヤハッハッハの使い手出現!(≧∇≦)
強敵の可能性あり!
「そうですか。砂を触った手で、触るっていうのは、ご主人は、一体どこにいるのですか?公園とかですか?砂場とか?」
「公園というか、砂場というか、砂を触った手で、わたしのおっぱいを触ってくるんです。それが、ウッ、ウッ、つらくて、つらくて。ふえーん。ふえーん」
↑泣きだした。こういう時は相手が泣きやむまで優しく待つ(^_^)
5分後、落ち着いてきた。
「うっ、うっ、うっ。す、すいません!あ、あの、その、砂を触ってから、手を洗ってほしいのに、手を洗わずにすぐ、わたしのおっぱいを触ってくるんです」
「えーと、では、ご主人は、どこにいるのですか?あと、奥さんも」
「どこっていうか、砂を触ってから、手を洗わずに、わたしのおっぱいを触ってくるんです」
「奥さん、その砂は、どこから、来た砂ですか?」
↑答えない時は、質問の仕方を変えてみる(^_^)
「公園の砂場です」
↑質問の仕方を変えただけで、このザマ(^_^)
「てことは、ご主人は、砂を触ってから、家に帰ってきて、奥さんのおっぱいを触るんですね?」
「いや、もう、そんなんじゃないんですよ!もう、わたしが『手を洗って!』って言う暇もないんですよ!砂を触ってから、わたしのおっぱいを触るまで、もう1秒もかかってないんじゃないかしら!」
「じゃあ、奥さんも砂場にいるんですかね?」
「わたし、わたし、わたし、うっうっ、悔しいーっ!ウエーン!ウエーン!あはーはーん!」
↑泣きだしたときは、泣きやむまで優しく待つ(^_^)
5分後、依頼者は泣き止んだ。
「うっ、うっ、すいません」
「いえ、いいんですよ。それで、ご主人は公園の砂場にいて、その砂場の砂を触ってからすぐ、奥さんのおっぱいを触るんですね?」
「はい!そうなんです」
「手を洗って!っていうセリフも言えないぐらいにすぐ?」
「そうですね。そのセリフだと、“てを”ぐらいで、もう触られてますね。で、あとから、『さっき、テオって言ってたけど、なに?』って聞かれるパターンです」
「えーと、そんなに早く触られるってことは、奥さんはその時、公園の砂場にいっしょにいるんですかね?」
「ていうか、その、わたし、手を洗ってほしいんです!主人は、『お前がおっぱいを後で洗ったらええねん。どっちが洗うかの問題やからな』と言ってきます!ウエーン!ウエーン!」
この依頼者はこの後、一時間泣き続けた。
みなさんなら、どう対処するかな?
後編に続く。
「うっ、うっ、す、すいません!泣いたりして」
「いえいえ、あの、整理しますと、ご主人が砂を触った手で、おっぱいを触ってくるのが嫌だと。ここまであってますね?」
「うーん、嫌っていうか!もう、もっと最悪な気分なんです」
↑そこは、ハイって言えばええやろ!ボケ、いちいち言いかえてくる奴、めんどくさい!(*`へ´*)
でも、カウンセラーたるもの我慢(^_^)
「えーと、そうでしたね。最悪だと。主人は砂場にいるんですよね。公園の」
「はい。公園って言っても、最近の公園なんで、小さな公園ですよ。昔は、大きい公園がいっぱいあったんですけどね」
ここから、公園が少なくなってる話を五時間される。こういう時も決して否定せずに、聞いてあげる(^_^)
「子供たちの遊び場がなくなってしまうと、そういう遊んでない子供たちが将来、変な奴になると思うんですよ。わたしみたいにね!」
「イヤイヤハッハッハ」
↑コメントしづらい時は、とにかくイヤイヤハッハッハを使おう(^_^)
「えーと、その、公園の砂場に、奥さんは、いるんですか?ご主人と一緒に」
「うーん、とにかく、砂を触ってからわたしのおっぱい、までが早いんです!もう、とめる暇がないんですよ!『手を洗ってほしい』のセリフが、もう全部入らないんですよ!“テオアラ”ぐらいまでしか言えないんです。それで、後から、主人に『お前、さっき何か言いかけてなかったっけ?テオアラって何?』って聞かれるパターンです!」
↑なんやねん、こいつ。お前がどこにおるか、早よ言え!(*`へ´*)
「えーと、さっきは、“テオ”ぐらいまでしか、言えないっておっしゃってたと思うんですが、“テオアラ”まで、言える時もあるんですかね?」
「いやいや、そこは、芸人やから、話をちょっとぐらい盛るがな!はっはっは!」
↑芸人なんかーい!
「芸人なんですか?」
「はい!芸人ですよ。ネタ書いてるほうやのに、ギャラいっしょなんですよ。もう、わたしは、そこはあきらめたけどね!」
「イヤイヤハッハッハ。えーと、砂の話に戻るんですけど、奥さんは、どこにいるのですか?ご主人が砂を触った手で、おっぱいを触ってくる時は?」
「わたしは、砂を触るな、とは言いません!でも、砂を触った手で、おっぱいを触られるのは、嫌なんです!わたしが、あとから、おっぱいを洗うより、主人が手を洗ったほうが早いと思うんです!なのに!主人は言うことを聞いてくれないんです!私が上岡龍太郎です」
「えっ?お、奥さん、今、なんと?上岡龍太郎なんですか?」
「そうです。私が上岡龍太郎です」
↑ヤバイ奴(≧∇≦)
「女性ですよね?奥さん?」
「わたしが上岡龍太郎です。あなたも上岡龍太郎です。で、わたしとあなたの二人を意味するグループ名も上岡龍太郎なんで、ちょっとややこしい部分は、あると、いうことを、本物の上岡龍太郎は言いそうですね」
「イヤイヤハッハッハ。今日はこのへんにしましょう」
↑ここまでのヤバイ奴は、もう電話を切るしかない(^_^)
みなさんは、いかがだったろうか?
人の相談に乗る時の参考にしてほしい。
ジジイの見本その2
それでは、ジジイの見本その2である。読者のみなさんは、自分ならどうカウンセリングを行うのか、想像しながら読んでもらいたい。
「もしもし?」
「おかえりなさい」
「あ、えーと、電話、まぁ、その、かけなくても良かったんやけど、一応、まあ、かけてみました。今も、ちょっと切ろうかなと思ってますけどね。はっはっはっ」
↑プライド高いやつ(≧∇≦)
でも、プライドを傷つけないように接するのがポイント(^_^)
「わあ、そんなに迷ってたのに、電話をかけてくれて、気まぐれとしても嬉しいです。何かの縁かもです〜」
↑下の立場に立ってあげる(^_^)
「いや、でも、すぐ切るけどね。はっはっは。実はさー、まあ、俺、世の中で成功するための方法を発見したんやけどさ、その発見のすごさをわかる奴が周りにおらんのよ。で、まあ、こういう相談を受ける窓口の人も、やっぱりアホなんかなあとか、ちょっと試す感じではあるんよね。いやいや、気を悪くしたらごめんやで」
↑救う価値なし。でも救うのが心理カウンセラーなのさ(^_^)
「そ、その大発見、聞かせてほしいです!世の中で成功するための大発見?」
「そうやね。聞くけどさ、君は、今までの人生でパンツを脱いだ回数と履いた回数、どちらが多いと思う?」
「パンツを脱いだ回数と履いた回数?えー、脱ぐと履くでワンセットやから、同じじゃないんですか?」
「違うがな!はっはっは!君はノーパンで電話しとんかいな!アホやな!はっはっはっ!ええか?生まれた時は、裸やわな。そこから、履くと脱ぐがワンセットや。で、今はお前、履いてる状態やがな。てことは、履いた回数のほうが一回だけ多いねん!」
↑なにゆーてんねん、こいつ(^_^)
「そ!そうですね!言われてみれば!わあ、友達にめっちゃ言いたくなるやつっすねー、これ!」
↑プライドを傷つけない(^_^)
「それが、なにを意味するか、わかるか?ええか、俺みたいな芸人の世界はな、売れるやつなんて、ほんの一握りなんや。俺みたいに才能があって、天才でも、埋れてしまうわけよ」
↑また芸人か(≧∇≦)。きしょい(≧∇≦)
「なるほど、そうですよね」
「そうや。で、考えたわけや。パンツを脱いでる回数と履いてる回数が一個ズレてるのは、お客さんに対して失礼やと」
「失礼?」
「そうや。パンツを脱いでる回数と履いてる回数が全く同じ芸人が舞台にあがってるほうが、お客さんは、やっぱり、気持ちええと思うんや。一個ズレてるより」
「イヤイヤハッハッハッ」
↑コメントしようのない時に使うやつ(^_^)
「そこで、売れるために考えたんや。同じにさせる方法をな!パンツを脱いでる回数と履いてる回数を!」
わざわざ倒置法を使ってるあたり、かなり自信を持っているポイント(^_^)
「ご、ごくり」
↑もう、口で、ごくりって言ってあげる(^_^)
「パンツを、腰のあたりで、布を巻きつけて、その状態で、布を切ったり、縫合したり、して、腰のあたりで作ってもらうねん。そしたら、“履く”という行動を一切せずに、パンツを履いてる状態が?」
「誕生するという、ことですね。ご、ごくり」
↑語尾をひきとってあげる(^_^)
「そうやがな!腰のあたりでいきなりパンツを作ってもらったら、パンツを脱いでる回数と履いてる回数が同じ芸人の誕生や!」
さて、読者のみなさんは、こいつに、自分の間違いをどうやって気づかせるだろう?
必ず想像しながら読んでほしい。
「パンツを脱いできた回数と履いてきた回数が同じ芸人が誕生したら、有利になるんですか?」
「当たり前やがな!パンツを脱いできた回数と履いてきた回数が一個ズレてる芸人なんて、山ほどおるのに、その中で、売れる人間なんて、一握りや!ところが、パンツを脱いできた回数と履いてきた回数が同じ芸人は?」
「あ、あなた、一人だけ・・。ご、ごくり」
↑あくまでプライドを傷つけない(^_^)
「そうや!だから、売れる!そうやから、俺は、嫁に、言うたんや!俺らの夫婦漫才が、コンビとして、売れるために、俺の腰に布を巻きつけて、その状態でパンツを作ってくれって!そしたらな!どうなったと思う?」
「ど、どうなったんですか?」
「嫌がりよるねん!」
↑当たり前やろ!(*`へ´*)
「そ、そうなんですね」
「そうや!それさえできたら売れるのに!『わたしのほうがネタ書いてる』だの、『砂を触った手でおっぱいを触ってくるな』だの、言ってくるねん!」
↑さっきのやつの旦那かーい
「えーと、ちょっと質問いいですか?あの、僕、昔、心理カウンセラーとして、一流になろうと、右目を手でおさえて、左目だけで、まばたきをしまくって、“左目のまばたきの回数が右目の二倍ぐらいある心理カウンセラー”という、今までにないカテゴリーを作ったつもりやったんですよ。でも、失敗しちゃったんです。なんでなんですかねぇ?」
↑下手に出ながら、聞く、ソクラテスのようなテクニック(^_^)
「そんなもん、心理カウンセラーと関係ないもん。アホちゃう」
「関係ないんですかねえ」
「そらそうやろ。まばたきの回数が左目のほうが圧倒的に多い心理カウンセラーなら、信頼できる、とか、ないもん!意味のない努力をしとるだけやがな」
「なるほど!そうですね!いやあ、スッキリしました!それにくらべて、芸人さんは、やっぱりパンツを脱いできた回数と履いてきた回数、同じ人のほうが、説得力ありますもんね」
「そうやがな!回数が同じほうがええがな。芸人たるもの!」
「そうですよね!パンツを履いてきた回数と脱いできた回数が同じ芸人が出てきたら、もう舞台に登場してきただけで、オーラが違うから、わかりますもんね!」
「う、うん」
「パンツを履いてきた回数と脱いできた回数が同じという意味では、我々の祖先のサルは、パンツを履いてきた回数も脱いできた回数も0で、同じやから、サルのほうが面白いですもんね!動物園でも人気者ですし!」
「う、うん、ま、まあ」
↑ひいてきてる(^_^)
「うおーっ!パンツを脱いできた回数と履いてきた回数が同じになって、おばあちゃんに、生きてるうちに、報告したかったーっ!生きてるうちにーっ!」
「や、め、ろ」
「生きてるうちにーっ!今は、お墓に報告にいくしかない!その前に、パンツを腰のあたりでいきなり作ってもらわないと!そのためには、まだ生きてるほうのおばあちゃんに頼もう!裁縫が得意やし!うおーっ!おばあちゃんーっ!待ってろよーっ!おばあちゃんーっ!もう一人のほうのおばあちゃんに、パンツの回数を同じにしてもらって、そこから、報告に墓参りするからなーっ!」
その時だった。
「やめろーっ!気が狂いそうやーっ!そ、そんなことして、なんになる!パンツを脱いできた回数と履いてきた回数?一致させる?させんでええわーっ!そんなことして、なんになる!売れてないのは、おもろくないからや!それだけの話や!毎日ネタを書く!お客さんの反応をみて、あかんかったところを相方と相談しながら、なおす!それだけやーっ!うっ、うっ、うっ」
男はこの後、一時間泣き続けた。
そして、こう言った。
「あ、ありがとう」
この一言で、カウンセラーは、救われるのさ。
ジジイの見本その3
ジジイの見本その3である。
これを読んでる読者の中で、この段階で、もう営業マンはいなくなってしまってるのではないかと、不安もあるが、そこは作者の強すぎるメンタルを持ってして、補っていくつもりである。
作者の鋼のメンタルについては、拙著“中高帰宅部だった男がプロボクサーを目指す奇跡の軌跡”を読んでほしい。
ちくま書房から出版されてないので注意をしてもらいたい。
ちくま書房に関しては、僕の著書を全く出版していないので、注意してもらいたい。
出版してくれると、ちくま書房側が言ってきた場合は、“ちくま書房”から“ちくま書房さん”になること受けあいである。
受けあいという日本語の使い方が、多分間違えていること受けあいである。
とにもかくにも、ジジイの見本その3である。読者は、必ず、電話を受けている気持ちになって、読んでほしいと、僕とちくま書房は思っているのである。
「もしもし、こちら、エヌチーチー相談センターです」
「あの、すいません。ちょっと、聞いてほしいんですが」
「はい?どのようなことでもどうぞ」
「あの、僕ね、誤解されてて、すごくつらいんですよ」
「誤解されるってのは、つらいですよねえ」
↑オウム返しすることによって、安心感を与える(^_^)
「あの、僕、高校生で、クラブ活動をしてるんですけど、そのクラブがね、みんな野球部だと思ってるんですけどね。野球部じゃないんですよ」
「へえ、野球部とみんなが思ってる?」
「そうなんです。野球部じゃないんですよ。“坊主部”なんですよ」
↑なにゆーとんねん、こいつ(≧∇≦)
「でも、周りは、野球部と思ってる?」
「そうなんですよ。もともと、坊主部ってのは、坊主が集まって、何か好きなことをするっていうだけのクラブ活動なんです。ややこしいのが、たまたま、坊主部のみんな、野球が好きやったから、野球してるんですよ。坊主が野球してたら、野球部と思いますよねえ。でも坊主部なんです」
↑
マジでなにゆーてんねん、こいつ。殺すしかない。でも、救ってしまうのがカウンセラー(^_^)
「マジでなにゆーてんねん、お前。殺すしかないところやけど、救ってしまうなあ」
↑
言っちゃう(^_^)
「いや、でも、坊主部なんですよ。ややこしいのは、ややこしいんですよ。でも、本来は、坊主が集まって、好きなことをするっていう部活なので、野球部ちゃうんすよ」
「なるほど、わかるよ、わかるよ」
↑
共感してあげる(^_^)
「でも、坊主が集まって野球してたら、野球部だと思うっていうのが、普通だという感覚もわかります。でね、僕がやばいと思ってるのは、坊主部の一年の中にも、野球部やと思ってる奴がいるんです。どうしたらいいんでしょう」
「言ったら、どうなん?野球部ちゃうで、坊主部やでって」
「言ったら辞めるんですよ。なんじゃ、そりゃってなって」
↑
そりゃ、なるわい(*`へ´*)
「ていうか、野球部はないの?」
「ないですよ!うちの学校には、野球部はなくて、坊主部しかないんですよ!あったら、野球部入りますよ!僕だって!」
↑
ほな、野球部でええやんけ(*`へ´*)
なんでこんなテンションやねん。こんな奴、殺すしかない。
でも、救うのがカウンセラーなのさ(^_^)
「えーと、とにかく整理させてもらうと、坊主部やけど、野球部やと思われてるんやね。それがつらいと」
「そうです。野球部があったらいいのに」
「それが、一番なにゆーてるのかわからんねんけど、野球部に入りたい気持ちあるんやね」
「ありますよ!坊主部しかないんですもん」
「でも、野球部に入りたいって気持ちがあるってことは、君の中で、野球部のほうが坊主部より、イメージ上じゃないの?ほな野球部やと思われてもええやん。なんなら、そのほうがええやん」
「や、や、め、ろ」
↑
核心を突かれすぎてる(^_^)
「いや、でも、そうやん。野球部のほうが入りたいって気持ちがあるんやろ?で、坊主部が野球部やと思われてるんやろ?しかも、一年のやつは野球部やと思ってるやつもおるんやろ?ほなもう野球部やん」
「や、や、め、ろ。や、や・・・やめてくれ・・」
「いや、やめへんよ。つらいかもしれへんけど必要なことやからさ」
「お、お!俺はなーっ!坊主部のために、みんなが野球してるのに、坊主部の本来の趣旨!坊主が集まって、何かするクラブ活動ってのをみんなに再認識させるために、一人だけサッカーボールでリフティングしたりしてるねんぞーっ!こ、こ、こんな気持ち、お前に!わかるかーっ!坊主部のために!坊主部のためにーっ!あはーはーん!そしたら、お、俺が!この俺がいじめられたんだ!サッカーしてんじゃねえって!坊主部のために尽くしているこの俺がーっ!あはーはーん!」
↑
泣き崩れた。こういう時は泣きやむまで話しかけない(^_^)
30分後、少年は落ち着いてきた。
「う、う、う、すいません」
「いやいや、かまへんよ。も、もう、わかったね?現実がみえてきたね?」
「はい。僕がいるのは、野球部です。坊主部なんか、ありません。野球部がなくて坊主部がある高校なんて、あるわけがないんです。僕は、練習についていけなくて、サボったり、サッカーのほうが好きやって発言をした時に、り、リンチをされて、それで、変な妄想が出来上がってしまっていたんですよ」
「そうやな。君がやるべきことは、なんやと思う?」
↑常に自分から答えを出させる(^_^)
「はい!僕がやるべきことは、マンガ部を作ることです」
↑
なんでやねん(≧∇≦)
でも、本人が言うんやから、やればいいだけ(^_^)
今回もジジイは救ってしまったのさ。
新まさお誕生
まさおのメンタルは、女の子を丸のみにしてから、いや、そのだいぶ前からおかしかった。
そのことを見抜いたジジイは、まさおを呼び、前に座らせた。
そして、目をつぶらせた。
「いいと言うまで目をつぶってるんやで。俺が、よし!って言ったらあけるんやで」
「は、はい」
素直に従うまさお。
「よし!」
合図のその時は来た!
まさおが目を開けた瞬間のその映像が、まさおがこの世で見る最後のものとなった。
変な刃物を持ってるジジイの姿だった。
まさおは、両目をつぶされたのだ。
「いいか、お前に電話の声に集中して、敏感になってもらうために、退路を断つという覚悟を持ってもらうために、やったことや」
ジジイの話は明確だった。
目が見えない人は、音の感覚が鋭敏になると言う。そして、それにより、わずかな空気感の違いなどで、まるで見えているかのように、スタスタと建物の中を歩く人もいるのだ。
まさおは、これから、クライエントの声のわずかなトーンの違いをとらえ、心を見抜く、名カウンセラーになるだろう。
そして、名カウンセラーを経て、営業電話の達人となるのだ!
新まさおのスーパーカウンセリング
まさおは、視覚を奪われ、不退転の決意で、カウンセリングをしていくことになる。
その新まさおのスーパーカウンセリングが以下のようなものである。
読者のみなさんも、参考にする、などという消極的な姿勢ではなく、実際にまさおになったつもりで、自らの目を、目隠し、というか、まぁ、あの、できれば、えーと、まあ、退路を断つほうがいいと思います。
なんか、特別なことをしてくれってわけじゃなくて、退路を断つっていう意味でね。
まあ、この本の続きがそうなってくると、読めなくなるかもですが、正直、こんな本、読む必要ある?
これを読んでた絶滅危惧種の読者が、もう本当に絶滅してしまって、今は誰も読んでいないのに、書いているのではないかという恐怖が全身を包みこんでいる作者なのであった。
さて、前置きが長くなってしまったが、以下が、ニューまさおの戦いである。
「もしもし、あの、相談したいことがありまして」
「目が痛え。目が痛えよぉ」
「あの、わたしは、会社のために働いて、働いて、働いてきたのに、突然、理不尽にも解雇されてしまったんです」
「目が痛え。俺は、もう目が見えねえんだ。そのかわり、聴覚が発達すると言われてたんだが、今は、まだそんな時期じゃねえ。とにかく目が痛えんだ。お前は仕事をなくしたかもしれねえが、俺は、目が見えねえんだ。だから、このテレアポや、電話でのカウンセリングをするか、あるいは、目が見えなくてもできる仕事で、按摩さんになるとか、そんなことばかり考えてるんだ」
その時、電話は切られた。
そりゃ、そうである。
相談をしたくて電話をしているのに。相談をされているわけなのだから。
そして、読者のみなさんの予想どおり、このあと、まさおは、按摩さんになる可能性についての不用意な発言により、ジジイに両手の指をつぶされるのであった。
まさおの悲劇
まさおは、目と指をつぶされた後も、電話がかかってくるたびに、“目と指が痛い”と相談客に言ってしまうので、ジジイは、まさおのために考えた。
口があるから、いけないのだと。
そして、まさおは、ジジイに舌も抜かれた。
なおも、痛がるまさお。
ジジイは慈悲を与えることにした。
肉体があるから、痛いのである。
詳細は省くが、まさおは、とうとう、脳だけにされたのだ。
ネオまさおの誕生である。
それを不憫に思ったジジイの嫁が、まさおに新しい肉体を与えた。
売れ残ったダッチワイフに、まさおの脳を入れたのだ。
新しい生命の誕生である。
次回からは、新展開、“ダッチワイフィーまさおの冒険”がはじまる。
もはや、これは、営業電話の達人への道、という書物ではない。
営業電話なんて、とれなくていい。
人とのコミニケーションが多少下手くそでもいい!
どんな形でもいい!まさおが、まさおが生きてさえいてくれれば!
これは、命の尊さを訴えかける魂の著書なのだ!
最終章 ダッチワイフィーまさおの冒険
ダッチワイフィーまさおは、久しぶりに家に帰ろうとした。
奥さんと娘に会うのは、久しぶりだ。
嫁の好きなケーキと、4歳の娘が大好きなアンパンマンの絵本を買って、ウキウキした気分で家路を歩く。
その足取りは、弾むようであった。
「ただーいま」
見慣れてはいるが、今は懐かしくも感じるチョコレート色の玄関を開けた時に待っていたのは、娘と嫁の見たこともない形相と悲鳴だった。
ぎゃあーっ!
ば!ば!ばけものーっ!
ダッチワイフィーまさおは、何がいけなかったのだろうか?
どうコミュニケーションをとれば、娘も嫁も驚かないですんだだろうか?
読者のみなさんが、ダッチワイフィーまさおの立場なら、どうしただろうか?
必ず、考えてみてほしい。
ダッチワイフィーまさおは、自分の嫁と娘によって、無残にも殺されてしまったが、死んだわけではなく、読者の心の中に生きているのだ。
もしも、読者が、ダッチワイフィーまさおのことを忘れてしまったら、その時、ダッチワイフィーまさおは、本当に死んだことになるのかもしれない。
だから、時々でいい。
ダッチワイフィーまさおのことを思い出してほしい。
命は、宝物だ。
(完)
Q&A
さて、この魂の著書、“営業電話の達人への道”に対して、たくさんのコメントが届いております。
ここでは、その一部を紹介し、コメントを返させてもらおう。
Q 営業電話のことで、悩んでいたので、読みはじめたのですが、ダッチワイフが出てきたあたりで読むのをやめてしまいました。
もう一度続きから、読もうか迷ってるのですが、ダッチワイフの話はもう出てきませんか?
A
もうダッチワイフは出てきませんよ。安心して読んでくださいね(^_^)
Q ハッピーエンドとバッドエンドでは、わたしは基本的にはハッピーエンドが好きなのですが、たまに、意味のある、バッドエンドがあると思います。
この本は、その意味のあるバッドエンドだなあと思いました。ダッチワイフィーまさおは、私の心の中で生きてますよね?
A 生きてませんよ。
Q どうせ死ぬのに、どうして生まれてくるのだろう、僕の人生のテーマでした。わからないまま生きてきて、この本で衝撃を受けました。
命そのものに価値があるんですね!命そのものに感謝して生きればいいだけなんだと、目から熱いものがこぼれました。
A あなたは気持ちが悪いです。
Q ダッチワイフィーまさおの最終章の短さ、なんなんですか?やる気あるんですか?
A ほな、お前が書けや。
Q まさおがなんであんな目にあったのか、全く意味がわかりませんし、全体的に描写が雑です。
詳細は省くが、脳だけになりました、とか、なんやねん!
A ほな、お前が書けや。
Q 俺が続き書こうかな
A ほな、お前が書けや。
Q ダッチワイフィーまさおは、家に帰る前に、まずケーキ屋さんで普通にケーキを買えないと思うのですが、そのあたりを説明してください。
A じゃあ、もうお前、ケーキ食うなよ。
終わりに
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
書き終えたという達成感も特になく、こんなものを書くために生まれてきたわけではないし、こんなものを書くために義務教育を受けたわけじゃないし、みなさんもこんなものを読むために生まれてきたわけじゃないし、こんなものを読むために、字を学んだわけじゃないし、意味わからんし。
はっはっはっはっ。
ざまあみやがれ。
営業電話の達人への道
書き終えた今、涙がとまりません。
これを読んでるみなさんにとって、たかが営業電話、ではなく、“命についての青春讃歌”と思ってほしいです。