アイマイ

アイマイ

一目惚れ、したんです

二年から三年に上がるのに何故か
クラス替えがあって、そのクラスに
入ってすぐ、目があった。

「お、おはよ」
「おはよう」

全く知らない、切れ長で鋭い目と。
目があって、挨拶して、その、
挨拶してくれた声と、ほんの少しの
笑みに、すぐに惚れた。
いや、きっと目があった瞬間から惚れてた。

「名前聞いてもいい?」
「……夏目理人」
「りひと、」
「うん。………そっちは?」
「俺は宇月駿」
「駿………」
「おう、よろしくな」
「あぁ、うん。こちらこそ」

女子が一目惚れ〜!とか言ってるのが
全く意味わかんなかったけど、
確かに一目惚れってあるんだな……!
なんか妙に恥ずかしくなって
自分の席で机に顔を伏せた。


***

「……なぁー、しゅーんー」
「何さ、うるさいんだけど」
「ねーえー」
「なに」
「作品、合作しようよー」
「……なにやるの?」
「おっきな版画」
「!!全部俺が削っていいの!?」
「俺は下書きと色ぬりだなー」
「やろ」
「やーりー!」

さっき、急に挨拶してきた
技美合同部の宇月駿。
不思議な人だな、っていうのが最初の印象。
二つ目の印象は彫刻刀が絡むと元気になる。
それくらい。
でも、あの人懐っこい笑顔とか、
意外と真面目なところとかには好感を持った。
………これって、一目惚れってこと?
一目惚れなんて本の中の世界だけだと
思ってた………。

アイマイ

アイマイ

  • 小説
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2015-03-30

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