僕と神様と君と

物語が呼ぶ物語
君がいないと始まらない
小説だってそうだ。
読む人がいなければ、それはただの文字の羅列

僕の物語1

「君って何ができるの?取り柄ないよね」
これが僕に対する他人の印象
特徴もなく、特技もなく、取り柄もない、何をしても上手くいった試しはない
無難には出来ているはずだけれど、他人からの評価は何もできないクズそんな評価しか受けてこなかった。
今日だって今から憂鬱なテストだ。
平均点を取れるくらいには勉強はして来たつもりだ、平均点なんて学校の勉強をしていれば大体取れる。
平均点を取ってもどうせ「もう少し頑張れただろ?次はもっと頑張れ」なんて言われるんだろう…テストが憂鬱なのは内容が難しいとか、勉強が出来ないからじゃなくてうるさいからだ。
100点を取らなければ満足しない奴らがうるさい、100点だろうが50点だろうがなんだって構わないこの世界で奴らは何を求めているんだ。
赤点じゃなければ日常は何も変わらない

テスト開始



テスト終了
今回だって無難にテストは終わった。
分からないところは考えずに、知っているところだけを埋める単純作業だった。
テスト日は学校が早く終わるのは学生時代を経験している人たちは知っているだろう、まあ、早く終わったからと言って何もない。
数少ない友達に笑顔でバイバイしたら家路につく、家まではおよそ35分かかるもちろん歩いて帰る。
こんな僕だって帰り道に妄想をする。
この何億人も住む日本、何か日常が変わる出来事が起きる妄想
「痛っ」歩いていると背中に痛みが走る。
「ごっ…ごめんなさい!私ストーカーじゃないです」
目の前には綺麗な長い黒い髪に血のように赤いリボン、そして手にはカニのハサミ
非日常が訪れたことよりもカニのハサミを刺し続ける彼女に何かしらの狂気を感じた。

僕の物語2

「あの…やめていただけませんか?」
これ以上かける言葉は見つからなかった。
彼女はあたふたと言う言葉がぴったり合うくらい慌てて距離をとった。
「わ、わ、私はカニです!だから無実です!」
カニ…無実…やばい多分僕は幻覚を見るくらい疲れてしまっているようだ、帰って寝よう、いつもよりご飯を食べて、いつもより早く寝よう。
彼女に背を向けて帰ろうとした瞬間
「おい、何やってる!」
警察さんの登場だ。
近頃物騒な事件が頻繁に起きているから警察もパトロールを欠かさないようだ。
「何でカニのハサミを持っているんだ!」
えっ!僕の幻覚じゃなかったのか…捕まるのかな…かわいそうだな、可愛いし
そう思った瞬間にはもう動いていた。
「あの…僕の妹なんですよ…ちょっと頭がおかしくてカニのハサミを手放さないだけで普通の女の子何です」
「そうでしたか、最近物騒なので気をつけてくださいね」
以外と物分りよく警察は帰っていった。
しかし助けてあげたのに彼女は不服そうな顔をしている…理由は大体分かっている。
誰だっていきなり見ず知らずの人に頭のおかしいカニのハサミを手放さない奴なんて言われたら嫌な気分にでもなる。
「あ、あの…私あなたの妹だったなんて知らなくて…実の兄をカニのハサミで殺そうとしてたなんて…」
はっ!えっ!なんか話を間に受けてしまっている。
しかも、やっぱり殺す気だったのか…カニのハサミで人を殺そうとする何てちょっと可愛らしいなんて思ったり…
「いや、あれは君が警察に連れて行かれないようにするために助けたというか…あんまり間に受けないでください」
すると彼女は泣き出した。
「お兄様…優しいですね…うぇえん…今更実の兄だと知らせても私が苦しむだけと知って嘘だなんて、あなたのような優しいお兄様の妹で私は幸せです」
やばい、彼女はやばいやつだ。

必死に否定を続けた結果

「あの…どうもすみません、私昔から早とちりが酷くて人を信じやすくて、カニのハサミが大好きで…あっ!違います!カニのハサミが好きなのは食べ物としてであって、決して武器としてでは無いですから」
「いや、わかってくれたらいいんだけど…何で僕を殺そうとしたの?」
一番気になっていた事だった。
逆にこれ以外は気になってなかったくらい
「殺そうとした理由は…非日常です!」
理由はよくわからなかったが、気持ちはよく分かった気がする。
殺人鬼になる事で非日常に身を置くことができる…僕と似ている人なのかもしれない

私の物語

私はカニが好き、食べにくさを差し引いてもダントツ一位なくらいカニが好き
食べ物の中でだけじゃなくもちろん武器としても好き
いつかはこの日本で魚介類を武器に戦っていきたい
なんて妄想も叶わない…
世の中は残酷にも法律がある。
どんなに悪い人でも殺してはいけない、手を先に出したら負け
そんなくだらないルールなくなってしまえばいいのに、戦地に生まれていたら私には英雄になる自信があったのに…
昔から私には特別な能力が備わっていた。
それは、息を止めている間だけ人の考えていることが分かる能力、誰も信じてくれないけれど事実なんです。
だけどそんな能力は何の役にも立ちませんでした。
私は英雄になりたい、力が欲しい、仲間が欲しい
中卒のコンビニアルバイターで終わりたくない…
「いらっしゃいませ」
「ありがとうございます」
こんな日常にさよならをしたい
ああ、神様いるなら私を連れて行ってください、この世界の非日常の先まで、私はそこで非日常を戦い抜きたい…私のこの力を使って
何て事を思いながら日常を過ごしていました。
アルバイトも終わり家路につく私は、たまたま見つけてしまったのです。
非日常を求める彼を
日常に飽きている彼を
そして私はカバンに潜ませていたカニのハサミで彼を殺そうとした。

しかし私のカニのハサミは彼の身体を貫く事は出来なかった。
戦場では少しの迷いが命取りになる。
私は理解していたつもりだったのに、本気で刺すことを躊躇してしまった。
結果的に私は彼を殺すことができずに、殺されるのを待つだけだ。
しかし、彼は私に優しい言葉をかけ、国の力からも救ってくれた。
非日常を求めるもの同士少しだけでも通じるものがあったのかもしれない…

「私は中島藍です」
「僕は中津新」
中津新(なかつあらた)君か…
私はこの世界で初めて非日常を感じた。

私の物語2

中津新くんを私は知っていた。
それはすごく昔だった、小学生の時に私は彼に救われていた。
まだ一年生になったばかりだったあの時に私はいじめにあっていた、あの時はまだ自分の能力は特別なものじゃなく、誰でも使えるものだと思って友達の前でも使っていた。
みるみる減って行く友達、すべての人が距離を置いていく、私は一人になった。

考えている事は分かる。
気持ち悪い
そんなくだらないことだ。
それからは一人になることが好きになった、心を持たないものを愛するようになった。
無機質なものを愛し続けた。
そんな私に彼、中津新くんは話をかけてきた。
「おい、お前人の心が読めるんだろ?」
態度でかいし、生意気だなと思ったけれど、久しぶりに話をかけてくれて嬉しかった。
「分かるよ…君が何を考えているかだってすぐに分かる」

「そうか、なら今僕が頭に何を浮かべているか当ててみろ!出来たら仲間にしてやる」

どうせ気持ち悪がって彼も逃げていくだろうと思いながらも息を止めて心覗く

「タカアシガニ…?なにそれ…」

「お前…まさか本当に心を読んだのか…」

ああ、また彼も居なくなるんだ。
そう思った瞬間

「まぐれかもしれないからもう一度だ」

カニの名前をまぐれで当てたと思ってるなんて、彼はもしかしたら大物なのかと思いながらも、もう一度息を止めて心を覗く
正直私は嫌気がさした。

「タラバガニ…」

「本当に分かるんだな…」

「分かるよ…気持ち悪いでしょ?帰りなよ家に」

私はそう言うと、もう一度彼の心を覗いてみた。

「ぷっ…ぷあはははは!何それ!」

「な、なにを笑ってる!僕は気持ち悪いなんて思ってないぞ!」

「分かってる、分かってる、今日から仲間に入れてくれるんだよね?」

「当たり前だ!男に二言はない!今日から僕はお前の友達だ!」

なんて昔の話
彼は覚えてないだろうけど、私はしっかり覚えてたんだよ
いつだって彼はそうだった。

彼の頭の中は私なんかじゃ分からない、考えていることは分かっても理解が全くできないんだよ。
私を怖がらずに居てくれただけじゃなくて、私にカニのハサミをプレゼントしてくれた彼のこと

神様の物語

はーい、どうも皆さんが人生の至る所で祈る相手こと神様です。
神様って言ってもあんまりたいしたことない神様なんですけどね、今回突如として出てきた理由はただ一つ、間違いを正しに来たんだよ
人には才能がある。
野球、サッカーなどスポーツの才能
勉学の才能、とか数えたらきりがないくらいの才能がある。
俺はその才能を自由に作り出し、自由に操ることができる。

間違いを正しに来たと言ったんだけど、その間違いっていうのがまた大変な事にちょっと寝ている間に、ちょっと才能を与え過ぎてしまって…
まあ、簡単に言うと才能を与える才能を作り上げて渡してしまった。

バカだというなら言えばいいさ、実際にやっちゃった感MAXなんだから…
そして今俺は日本という国にやって来た。
と言うか、やって来てからもはや五年も経つけれどまだ手がかりすら掴めずに毎日をダラダラ過ごしていた。

ピロピロリーピロピロリー
携帯が鳴った。
この日本は便利なもので溢れている。
携帯もそうだが冷蔵庫や電子レンジそれに金という概念
この程度のものは神には必要無いにしても、はじめに作り出したものは凄い、これこそがまさに才能だ。

「もしもしーこちら神様でーす」

「神様くん?あれ…番号間違えたかな…?」

「間違えてないと思うよーやっと見つけたよ…返してもらおうか?」

「…ガチャ…つーつーつー」

「ちっ…切られちゃったか…」

「てめぇ!切られちゃったじゃねぇだろ!」

後ろから丸めた新聞紙で頭を殴られる。
そう、俺は今アルバイトをしている。
闇金の電話受けと言う、ブラックな世界のかっこいいアルバイトだ。
しかし未だに電話受けは上手くできない…
才能がないのかな…

神様の物語2

なぜ神様が闇金でアルバイトをしているのかというと、悪いやつと言えば金に踊らされている憐れな人間だという勝手な思い込みで働いてみたものの…

「首か…世知辛い世の中になったもんだよ…」

公園で猫に餌をやりながら独り言
完璧に落ちぶれた神様だな、なんて自分で思いながらシャルロット(野良猫)に別れを告げて家路につく
すると遠くの方から男女のいざこざが聞こえてくる。

「子供の喧嘩?」

声は明らかに少年と少女の若く張りのある声しかし、話している内容は子供の会話ではなさそうだった。

「お前、心が読めるんだろ?」

俺の体に衝撃が走った。
心が読める少女
心当たりがあった。

僕と神様と君と

僕と神様と君と

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-29

Copyrighted
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  1. 僕の物語1
  2. 僕の物語2
  3. 私の物語
  4. 私の物語2
  5. 神様の物語
  6. 神様の物語2