消えた目(短編集)

まだまだ未熟かもしれませんがよろしくお願いします。随時訂正していきたいと思いますが更新頻度低いので・・・。

なんかすいません

空白の電車

この電車には誰もいない

いつ電車に乗ったのかもわからない、気が付いたら電車の中にいた

いるのは私だけ(だったはず)。私はスマートフォンを弄り呟こうとしたが電波が届かない。

私には友達がいない(友達は消えた)。5日前何故かわからないけど仲のいい友人が消えてしまった。

それ以降友達からは嫌われてしまった。(軽蔑の眼)

私はなんで嫌われたのかわからない。電車の中ではいつも一人になってしまった。

一昨日、私は嫌われ、あだ名をつけられた「ゴミ女」や「糞女」なんて・・・。

まったくひどい連中だ・・・。こんなのは人権侵害だな・・・

隣に座っているのは小さい女の子、ずっとリカちゃん人形で遊んでいる。

そのリカちゃん人形は微笑みもせず笑いもせず女の子を見ている、女の子は少し寂しそうな顔で遊んでいる

窓の外を見るとなぜか川が見える。きれいだなぁ・・・夕焼けがバックに移っているせいかすこしオレンジ色だ

ふと視界を巡らせると一人の少年が、気づかないうちに誰か来てたんだ

その少年はずっと泣いている、「なんでないているの?」と聞く気にもなれないのはなんでだろう。というか涙が赤い気がする大丈夫かな

きっと目の上に怪我をしたんだろう。でも、応急処理できる道具もないしこの電車は止まってくれない

少年は何故か母じゃなくて「おばあちゃん」と呼んでいる。よく見ると脚や手、顔に無数の打撲や痣がある。可哀想に

虐待で思い出したけど私の背中には火傷の跡がある。3歳ぐらいの時前の親にDVを受けてできた傷だ。

湯気が出るほどあついお湯をかけられた私は体が弱いせいがあってか生死の境を彷徨った

当然親は刑務所に旅立った。なぜか安心した

そんな回想をしていて気付かなかったが正面にお年寄りがいた

ずっと何かをさすって泣いている。何かを祈っているのだろう

お年寄りの手から何かが落ちた。小さい子供の写真、おそらく孫だろう。その瞬間おばあさんは慌ててそれをとり大事そうに握りしめた

よく見るとおばあさんの眼が可笑しい。盲目だろう

チラッと時計を見るともう23:29分。家にはまだつかない。本当なら17:00にはもうついてないとおかしいのに

今迄の思い出を振り返ろうとしても振り返れない。思い出せない。思い出そうとするたび頭がずきんとする

私はどこにいるのかわからない。だって今どこにいるかを教えてくれないんだもの

ドアが開いた。中にズラズラと人が来た。疲れたサラリーマンや手がない子供、乞食いろいろ来てしまった

一人が寂しかったかもしれない。私は少し笑ってしまった。

刹那、ギョロッと視線が私に向けられた。私は「やってしまったのか?」と思い少し申し訳なさそうな顔をした。

そのギョロッとした視線を向けている人々の中に芸能人がいた。

もう死んでいるはずなのになんでだろうなんでここにいるんだろうなんで誰もしゃべらないのだろうなんで02:30分になっているんだろうなんでここはくらいのだろうなんでここに疲れたサラリーマンがいるのだろうなんでここに家事をやっているはずの母がいるの?

母は「会えたね」と言わんばかりに近付いてくる。

母がなんでここにいるの?家事は?弟は?お父さんの世話は?やることあるでしょ

なんでここにいるの?と聞いてみたら追いかけてきたといった。

いつどこで乗り込んだの?と聞いたら駅でと答えた。

話が合わない。

お母さんがここにいるのには何か理由があるはずだ思い出せ

思い出せない。

誰かに肩を叩かれた。振り向くと消えた友人が。でもその友人には顔がなかった。なんでだろう友人はなんでそんな恰好なんだろう

だれがこんな風にしたんだろう。許さないだれがやったんだ?

首のない友人を2分ほど見つめて思い出したあの日の記憶。ぐちゃぐちゃにされ脳味噌みたいになった給食。上履きの中に入れられた剣山と画鋲、机に書かれた「死ね」、「犯罪者」の文字、そして苛められた原因

私が友人を殺してしまったからだ。あの夜友人から「○○くん(私の好きな人」と付き合ってるんだ」とカミングアウトされ逆上し手に持っていた鉈で首を撥ねてしまったからだ。ばれるのが怖くて逃げた(捕まりはしなかった)が元友人にはばれていた。あぁだから嫌われたんだな。

そしてもう一つフラッシュバックでやってきた写真

電車に飛び込む私の顔

ああ、私は死んでるんだ。そして二番目の母も死んだのか。友人も

マネポリ街の珈琲店

『2764年に人体兵器を造っていた研究所内の567人、付近の町の323人を殺害するという事件が発生した。不死身の体を持ち、高い知能、高い運動神経で計890人以上の人を殺した「人体兵器クアトロ」は今もなお逃亡中。今日はその日から501年目。研究所のある2区では09;30分に黙祷がささげられました。』

テレビの中のキャスターは「もうこんなのいねぇだろ」とも言わんばかりの顔でそう話す。正直私もいないとこの時思っていた。もう501年だ。事故じゃなくても死んでるだろう。とも思っていた。
そんな私は今日、カメラマンの仕事で2区に行く。もちろんクアトロの被害者たちに涙ながら黙祷をささげる人を撮るためだ。正直最低な行為だと思う。だけどそれのおかげで私はお金をもらえるからある程度「しょうがない」なんて思ったりもしている。そして2区には「マネポリ街」という町があり、物価も安く、なのに品質が高いため乞食から上流階級にも人気で、私も行きたいと思っていた。この仕事を受けた理由の80%はそれが占めているだろう。
早速、一日目の黙祷している人を撮る仕事が終えたので行ってみた。予想道理だった。右を向けば魚屋が「へい、いらっしゃい!」と活気のいい声を出して注目を浴びている。左を向けば洋服屋さんがあり、ウールのコートが3万円で売っていた。(私のところだと12万円ぐらいする)とにかくすごいと思った。
その日だけで13万円使ってしまった。

次の日、遺族への取材を続けているとこんな情報を遺族から聞いた。「マネポリ街にはあのクアトロがいる」と。私は、そんなの嘘だろと、その時は話を全く聞かず「はいはい」と軽い返事をし、遺族の想いを聞いた。今となってはここでもう少し考えるべきだと後悔している。その日もマネポリ街に行った。今日は昨日とは違うルートでいくと小さな小道があった。「なんだろう」と不思議な好奇心を覚えた私は本能のままにそこに入った。入ってみるとふんわりと珈琲の匂いがした。どうやらここはカフェのようだ、都合よく誰もいない。小腹がすいたしブレンドコーヒーとサンドウィッチでも頼もうと思い私は、店員さんに注文した。その時に気づいたのだがどうやらここにいるのは私だけのようだ。すこし気がかりだったが、そんなのはやってきたブレンドコーヒーとサンドウィッチで消えてしまった。ブレンドコーヒーを飲んでいると店長がやってきた。
「いやぁ意外ですね、こんなところにこんな美味しいカフェがあるなんて」と、私が言うと店長は
「恐縮です・・・。私もまだまだ未熟者なので美味しいと言われるその言葉にとても感謝します」と答えた。
「お仕事は何をなさってるんですか?パッと見スーツじゃないので気になりまして」
「ああ、カメラマンをやっています。あ、そういえば店長さん、890人も殺したクアトロについて知っていますか?」と聞くと店長は顔を渋らせて
「はい、知っています・・・。私の息子もそのクアトロに殺されてしまったのです」と答えた。そして店長はその日の出来事を話した。
「あれは、雨が降る夜のことでしょうか。私と私の息子は病院にいる妻に手紙を届けるために、近くの郵便局まで行きました。私は珈琲豆を買うので息子に先に行くよう指示しました。しばらくして、私が帰路を歩いていると赤く染まった息子の姿があったのです。私は後悔と自負の念に包まれました」
「私は許しません。殺した犯人も」
そういって店長はニコッと笑い「あまりいい話じゃありませんね、お口直しにもう一杯飲みますか?」と聞いてきた。正直あまりスクープにはできない話だろう。私はおかわりの珈琲を貰いその店を出た。

次の日、何も今日は取材がないという事で私は暇つぶしも兼ね、あのカフェに行った。扉を開けるとともに聞こえてくるベルの音と珈琲の匂い。相変わらず人は一人もいない。今日もブレンドコーヒーとサンドウィッチを頼んだ。その日は店長と話すのが少し気まずく、話しかけにくかったので無言で珈琲をいただいた。宿屋にもどり寝ていると一本の電話が入った。「クアトロが現れた」と。
私はすぐさまスーツに着替え現場に行く車に乗った。現地に行ってみたら途轍もなく悲惨な光景が眼球に焼づけた。いたるところに血、血、無数の死体、赤く染まった百合。でもなぜか私は美しいと感じてしまった。撮影も終わったので車で帰って、自宅まで残り5kmとなったあたりの崖で私の車はスリップしてしまい、崖から落ちる。「死ぬ」と覚悟した瞬間体がふわっと軽くなった
――奴がいた。
奴は仮面をかぶっていた。だが私にはわかった、あの珈琲店の匂い。奴はあの珈琲店の店長だったのだ。

次の日。開店前に私はそこを尋ねた。無論閉店。奴め、気付いて逃げおったな。私は憤慨していたが、それより「クアトロの正体が分かった」という大きな満足感に身を浮かせていたのだろう。すぐに近くの風俗に行って用を足す。正体が分かったんだ、問題はいつ聞くかだ・・・。マネポリ街にも行き12万をつぎ込む。どうせその何倍もの収入がはいるんだ・・・問題ない・・・。けらけらと笑いながら乞食たちを嘲笑うかのように1ドル札をばら撒くと乞食たちはこっちをジッと見つめニタニタ笑っている。
「なんだ薄気味悪い、何か用か乞食。金が欲しいのか?」
挑発すると乞食の中の一人が薄ら笑いを浮かべながら、まるで頬を舐めるように言った
「どうしてそんなに醜いのかい?」
予想すらしていないその言葉に2秒弱固まった後、私は自分でも予想していない言葉を口にした
「私に醜いだなんて面白いこと言うじゃないか、お前らに醜いだなんて言われるだなんて私も落ちたな」
乞食は相変わらず薄ら笑いを浮かべながら言う
「お前からはあの『噂の店長』の喫茶店の匂いがする。注意するんだな」
「どういうことだ」
「つまりは、お前はもうお前じゃない」
「意味が分からない」
「考えればわかるさ」
不毛な話だと私は思ったのと時間が時間なので
「くだらない。乞食の戯言にしかすぎん」
と言いその場を去った

次の日。クアトロのいる喫茶店が開店していたので私は真相を聞こうとそこに出向いた。店長を呼ぶ。店長は「昨日用事がありまして」とニコニコ笑いながら言う、それに返すかのように私は「貴方はクアトロですね?」と聞く。店長は焦りすら見せず冷淡にかつ平然と「そうです、よくわかりましたね。息子も自分が殺しました。とっても煩かったので」と話す。私は「貴方について聞きたいことがある」と持ちかける。その瞬間変なことに気が付く。手が老けている。目の前の若い男性は誰だ?俺だ。なんで俺が目の前に・・・。冷静さを取り戻した瞬間に脳裏に過ってくる「人が入れ替わった?」という信号。そして店長が話す


「あなたがクアトロです」と。

無罪と愉快犯

消えた目(短編集)

消えた目(短編集)

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-27

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 空白の電車
  2. マネポリ街の珈琲店
  3. 無罪と愉快犯