近未来小説「 Neo Border - The near future -」

近未来小説「 Neo Border - The near future -」

The near future <仮想地球とラグナロク>008

世界中に広がった"Ragnarok Crisis・ラグナロククライシス(ネットパニック)"に対し、 現実の各国家は早急に対応しなければなりません。
とはいえ、巨像は小回りが利きませんし、初めての事態に多くが後手に回るのは当然です。
また、過去の歴史からも、最高決定権を持つ者が必ずしも即座に最良な対応ができるわけでは無く、 多くの人々もパニックのなかでは理性はきかない。

パブリックフィールドでのインフラなどは母親を失った赤子となり、 ネット制御や、ネット管理システムなどはウイルスの攻撃に機能麻痺。
それは、航空機や船舶は自分を見失いニヴルヘイム(Niflheimr)へいざなわれ、
鉄道や、自動制御交通手段はヘルヘイム(Helheim)に導かれ始めます。


ネットに介在するあらゆるもの全てが悲劇のドラマの幕を上げ始め、人類の崩壊が始まりかけたその時、
二つの英雄史が始まりました。


一つは最悪な事態を少しでも回避するためにわが命を顧みず奔走した現場サイドの英雄たちです。

それは現場での機転や独自の決断で、有事作戦行動や、緊急遮断システムなどの無許可実行、 命令無視など、多くの法令違反、犯罪行為、そして命の危険を犯しながら自分の持ち合わせていた権限や、 行動実行により、自分の守れる、一人でも多くの人々の命を死守していきました。


そしてもう一つは、 オーナーを守るために全力を尽くして飛び回った”守護妖精”たちとそのコアにいる人工知能たちです。

”守護妖精”が誕生してから数年たった今では、その能力はミュータント化しています。
”守護妖精”のクラスによって能力は様々ですが、多くのオーナーはこの妖精たちのおかげによって、 命が守もられました。

特に、AIS (Artificial Intelligence System)のうち、ワルキューレ (Valkyrie)系の”守護妖精”たちは "Ragnarok Crisis・ラグナロククライシス(ネットパニック)"発生の数時間後には事態を察知し、 独自判断によって感染経路を遮断し、オーナーをひそかに守り始めます。

「なぜ?ひそかに・・」

それは、
この数時間後のお昼にやっと世界中に「巨大なウイルスが発生した」と発表があったからです。
はじめは、各関連機関は急速に拡散した異常なバグか、ネットコアシステムの障害だと思っていました。
無理はありません。
なんといっても

想定を超えていたのですから・・・


また、この発表から1時間後には、この時代のIT技術のトップであり、世界最大のネット系集合体 "Neo Border Company" が緊急対応マニュアルを、 世界各国関連機関、企業、関連施設等にホットライン等で、各セキュアを突破し、ダイレクトに無許可配信しました。

かつて世界が経験したことの無い世界規模の緊急事態に正規の手続きに沿えるほどの時間があるわけは無い。

またその1時間後、 "Neo Border Company" は、 全世界の電子頭脳ブレーンの "Neo Border Company" 情報管理中枢センターへの招集を各国に要請します。
"Ragnarok・ラグナロク(人工知能型ウイルス)"への地球規模の緊急対策本部を立ち上げるためです。

これによる超法規的措置によって、世界中のITブレーンや関係人物やアイテムなどが全くのフリーで、 ジェット機や、ヘリコプターなどを使い、直接、航空施設を持つ同センターに続々と乗り込んできました。


それはまるで地球上に住む地球外生物の総合会議が始まった如く、 様々な恰好をした人間や芸術作品のようなマシンが持ち込まれてきました。

「やはりお前も来たか・・・」 そんな会話があちこちで聞かれます

- ネットが寸断されている以上、"Neo Border Company"系ネットワークに力を結集し、 "Ragnarok・ラグナロク(人工知能型ウイルス)"に立ち向かうしかない -

誰もがこのたった一つの目的のために、ここに集まってきました。


こうして全人類のための国家を超えた、世界の本気の協力体制が今生まれたのです。


しかし当然"Ragnarok・ラグナロク(人工知能型ウイルス)"は瞬時に世界中のフリーなネット、サーバー、クラウドを駆逐し、 現在もその猛威に陰りはありませんでした。
一般のモバイルや、システムはすでに侵略され セキュリティの堅固な領域への進行を進めています。
ただしこの領域の進行には時間を要しています。

緊急対策本部のブレーンたちによって、この鈍化した進行から進行パターンなどの解析が始まり、対抗プログラムを構築していきました。
そして約一週間で対Ragnarokワクチンやファイヤーウォールを作製、速攻投入などにより、徐々に進行に陰りが見え始めました。

また2,3週間後には総力を上げて完成させた "Savior・セィヴィアー(人工知能型セキュリティ)"を分刻みでバージョンアップしながら投入したため、 沈静化が一気にすすみ、わずか一ヵ月後には"Ragnarok・ラグナロク(人工知能型ウイルス)"はネット上から消えました。

当初まったく先の見えない解決時期が、世界のブレーンチームの寝る間を見ない超人的な努力により 驚くべきスピードで訪れました。
もちろん消失した膨大なデータや、ソフト、ハードのダメージは散々であったし、 失われた多大な人命やインフラの混乱などわずか一ヶ月の間に世界中で発生した多大な被害は やはりネット依存社会の脆弱さを裏付けた。というにはあまりにひどい結果でした。

そして一休みするにはまだ早く、ウイルスを消滅させたら、今度は早急に復旧しないといけません。
もちろん誰もが数年はかかるし、消えてしまったデータの多くは元には戻らないと思っていました。
これもまた、まったく先の見えない復旧時期でしたが、 ネット系集合体トップの "Neo Border Company" のシステムによってわずか数ヶ月でその多くが復旧してきます。
まさにこのミラクルの連続は神のご加護がないとありえません。

また、やがて事態が収束に向かうにつれて被害が明確になっていきましたが、 いくつもの深刻なダメージの中で、紛争地域、軍事施設での、 核兵器、生物化学兵器等の作動が偶然の幸運によって停止していたことは、やはり神の奇跡が本当にあったと確信するのです。

やがて、事態がひとまず沈静化すると当然次は原因究明です。

早急に原因を調べ迅速な対策が急務である。
今,再度起きれば今度こそネットワーク社会の崩壊となります。
"Ragnarok・ラグナロク(人工知能型ウイルス)"への緊急対策本部は、 データ、ネットワーク復旧作業にめどが付いたころ、原因究明本部となり調査を開始しました。
そして1ヶ月あまりという異例の速さで原因を断定し、結果を各現実の国家と国際連合へ報告、承認されます。
それをもとに数日後、国連総会は世界に向けて発表。

今回の一連に関する原因が "仮想地球(Globe of Virtual Reality)" にあると。

近未来小説「 Neo Border - The near future -」

近未来小説「 Neo Border - The near future -」

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • アクション
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-26

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted