行き止まり

行き止まり

『行き止まり』

この道はずっと続いていくはずでした。
思いがけない行き止まりで立ち止まった時に初めて
貴方と繋いでいたはずの指が離れいたことに気づきました。
私は驚いて振り返り貴方の姿を探しました。
私の背中にはるかに続いている道の風景が
いつからかすっかり変わっていて
前ばかりを見つめ歩き続けていた私は
二人で歩いていこうと言った貴方に
優しい微笑みをかけることさえ忘れていました。

そして貴方が足を止めたことにも気付かず
脇道にそれていくのにも気付かず
周りの荒んだ風景にも気付かず
一人きりで歩いていることにも気づかずにいました。

あなたと二人 この道を歩き始めた頃は
道端に咲く小さな花にも気を止めながら
小鳥と一緒に歌いながら
あなたと一緒に笑いながら歩いていました。

それなのにいつからか私の視界は狭くなり
景色ばかりか貴方さえも見失い
ここに来るまで指先の感触さえも確かめずにいました。

貴方と二人で歩いていくことに意味があった道なのに
今 私はひとりで立ち尽くす

気づくのが少し遅すぎました。
貴方を失った今となっては
何処に向かって歩いていたのかももう解りません。

この道はずっと続いていくはずでした。
貴方と二人で歩いている限り ずっと。

行き止まり

行き止まり

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-25

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