初恋

届かない

ずっと好きで、意外と長い間好きで、でも諦めた。
見込みがなくて、きっと、絶対私のことそんな風に思ってないと分かっていたから。
年上なあなたは、きっと、私のことを妹のように思っていると感じていたから。
「彼女出来た?」そう問い掛けることがむなしくなったから。
でも、傍にいたらまた、好きになってしまう。
でも、それと同時に私を意識してないことに気づいてしまう。
諦めると決心したとき、綺麗になる努力をしようと思った。
諦めると決めたのに、振り向いてくれるほど綺麗になろうと思った。
矛盾してるって今気づいたの。
諦められてないと気づかされてしまった。
心のなかであなたのことなんて、もうどうでもいい、と唱えたのに。
もう恋じゃないと何度も繰り返したのに。
それ自体おかしいことだったんだ。
自分にそう認めさせたかっただけ。
「君はそのままがいいよ」
なんて、聞きたくない。
そのままじゃ、振り向いてくれないの知ってるの。
さりげなく手に触れたら、私のことをそんな風には思えないんだと感じた。
何も言わないけど、きっとそうだと思ってしまう。
あなたのことだから、何をするにも怖いと感じてしまう。
どんなことをしたら嫌われてしまうだろうか。
こういうことを言ったら嫌だろうか。
選びすぎて結局言動には表せない。
行動できなくて、後悔することなんていくらでもある。
でも、あなたが離れていくのが一番嫌なの。
そんな後悔をするくらいなら何も言わない。
何もしない。できない。

こんなことを考えながらバスに乗っていたら、男の人に声をかけられた。
大丈夫ですか?
私、どんな顔してあなたのこと考えてたのかな。

初恋

かなりの短編になりました。

初恋

初恋は実らない、まさにその通りだろう。

  • 小説
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  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-21

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