アカイイト

幼き日の淡い恋心 手を繋いで日が暮れるまで
確信のない感情だった 一緒にいると時さえも忘れて
これから先もこんな日々が続いていくと思っていたの

それは突然でまるで天変地異 私はただ従うしかなかった
いつも通りに遊び回って 夕陽に照らされ貴方の笑顔見つめていた
言の葉は選ぶほどヒラヒラ舞って 結局何も伝えられずに

この小指に結ばれた紅い紅い糸は 貴方の小指と確かに繋がっていた
運命の人と添い遂げられるものと信じて その行方を追う今宵
断ち切られた糸の先は無理矢理に違う指に縛り付けられていた

そして愛のない指の元に嫁いで 心の奥にそっと秘めた想い
時折見かける貴方の姿は 日を増すほど魅力的で想いが募る
ただ熱い視線を送り続けることしか出来なかったの

スレ違う時も目さえ合わせないのね 分かってる私が急に去ったから
本当は未だに貴方が忘れられず 想い綴った文をそっと送ります
返ることはないとあの日々も貴方からの文も想いも

だけど小指が疼くの切れた糸の先 今は違うけど確かに貴方だった
未だ貴方の小指に遺る切れた紅い糸の先 結ぶことはあるのでしょうか?
愛しい小指はがんじがらめになって赤黒く変わっていった

その日は私独り留守をしていた ふと屏風の隙間吹き抜ける風
夢にまで見た貴方が居た そっと断ち切られた糸を繋ぎ合わせ
手と手を取りあの頃のように走り抜け出した

衝動的で浅はかな私達はまだ若すぎた 罠だと気付いた頃には遅くて
飛び交う矢に倒れ血に染まる貴方 次こそ二人で…そう願ったのに
迷う事はない貴方と一緒なら怖くない 死ぬ事も嗚呼サヨナラ

あれから幾千年生まれ変わりまた終幕 繰り返し産まれた今の時代
この小指の疼きは忘れもしない紅い糸 その先を追って目と目が合う瞬間
雑踏の中やっと見つけた運命の人…貴方のことよ
指折り数え待ち続けていた 再び人と成って逢える日その時を
昔々のおとぎ話 運命って紅い糸って信じますか?
時を越えて今やっと結ばれる小指の先 本物の紅い糸と運命の貴方

アカイイト

アカイイト

  • 自由詩
  • 掌編
  • 成人向け
  • 強い言語・思想的表現
更新日
登録日
2015-03-20

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