ボートを操る男(達)

26歳で不動産会社に勤める愛場孝信、彼には捨てきれない夢があった。そう、競艇選手になること。

あ~なんで俺が~安田英二は思った。数日前友人の孝信が6度目の競艇の試験を受けるという話を聞いていたところ、隣にいた太田部長の「愛場は減量大変だろ?安田とか何もしなくても軽そうだからいいんじゃないか?」という一言で何故か孝信と一緒に試験をうけることになり、試験会場の端っこでタバコをふかしている。
「試験受験者の皆様は会場におはいりください。」スタッフのアナウンスだ。やばいわくわくしてきたね。愛場はいった。それはそうだろうな、競艇選手のために50万もの大金を払い目を手術した(競艇選手は裸眼で視力が1.0以上いる)くらいだからな。俺は興味ないっつーの・・・・・・

試験は1次~3次まであり、300名ほどの受験者の中から合格者は10名足らずで、超難関である。
1次試験は筆記試験だった。孝信100点中80点 英二100点中90点 75点以上の筆記試験は無事にくりあした。英二90点とか凄い!ほくそ笑みながら孝信はいった。俺だって昔消防士目指しとったっちゃけんこれくらい楽勝よ。英二はめんどくさそうに、そう言い放った。
二次試験の体力テストも通過し、面接試験になった。面接試験になると30名ほどにしぼられていた。英二はよくここまでとおったな~と思っていた。29番!!まず先に孝信がよばれた。英二は次の番号のため、ドアの前にすわっていた。壁に耳を当てればぎりぎり聞こえた。君は何故競艇選手になりたいの?小さい頃からお父さんに競艇に連れて行ってもらいかっこいいと思いました。自分もやってみたい!と・・・・・二秒くらい間をあけて孝信は続けた。夢をみたんです。自分がターンマークをみて旋回する夢をみたんです!何度も何度も!僕は競艇選手になるために生まれてきたんではないかと思いました。   英二は心をうたれた・・・・・・・・・・
無事試験もおわり2週間がたった。試験の結果の報告があった。結果は英二のみが合格していた。
英二はへ?と思った。実は最後の面接試験でも孝信を競艇選手にしてくださいと頼みこんで自分はなりたいとおもっていないという旨を伝えたのだった。なのに自分だけが合格?英二は混乱した。英二!!英二!!おめでとう!!!先にいっててくれ!孝信はいった。英二は複雑な気持ちだったが競艇選手になった。
そのまま1年間が過ぎ、英二は競艇学校を卒業しデビューしていた。孝信は8度目の試験にも落ちて少し落ちこんでいたが、俺は絶対に競艇選手になれる!といい、内心は不安だったが自分になれる!なれる!と言い聞かせていた。
不憫に思った英二は、孝信にペアボートをしないかと提案した。ペアボートとは操縦士以外にもう一人のせて移動する自転車のニケツみたいなものである。孝信は即答でお願いします!と伝えた。
当日、久しぶりの英二の背中は大きく見えた。ボートは加速していく。凄い早さだ。水上バイクとはレベルが違う。激しい。そんな俺に英二は行くよ!!といった。少しずつ曲がるポイントにちかずいていく。凄く怖いし凄い衝撃だった。だけどそのとき俺はそんなことはどうでもよかった。わかってしまったんだ。俺の夢はこれだったんだって

ボートを操る男(達)

これから、英二の競艇生活を描いていきます

ボートを操る男(達)

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 成人向け
  • 強い言語・思想的表現
更新日
登録日
2015-03-19

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