胸騒ぎ

切りそろえたうなじが
斜め前で揺れた
ピンの伸びた背筋は
一度も曲がることはなくて
まっすぐ前を見ていた

振り返っても
こちらを見ないけれど
僕はずっと見ているよ
綺麗な手のことも
右目の横の小さいほくろのことも
知っているよ

君の前では
浮かれて騒いでしまう
うるさい人はお嫌いですよね
ごめんなさい

聞こえないふりを
してくれてよかったのに
頷いてくれてありがとう

小さな噂が僕の心で
大きくなってしまった

既読のついたメッセージ
勇気をだして送信したのに
嫌になっちゃいそうだけど

音を立てて
笑うように
唇を結ぶ君がいれば
それだけでいいと思えるの

たぶんきっと
前の人と比べないくらい
好きになれると思うんだ
皮肉なものだけど
頭で理解するものじゃないらしい
考えることが多すぎて
おかしくなっちゃいそう