はつこい

階段の5段目に腰を掛けて
仲間たちと笑って空を見てた
君はいつも光に照らされて
キラキラしていた
布を留めた洗濯ばさみに書いた少し癖のある字
誰もいない時に触れてみたら
涙こぼれた

君が笑うと
あの空は近くなって
君が寂しい目をすると
あの空は離れてしまう

落し物をしたなら
僕が見つけて届けるから
もし僕が強がりをして
傷つけてしまったら
ちゃんと嫌いになってよ
そうでもしないと一生
君を忘れられないよ
そんなの悲しすぎる

一人だけ違う上着
そのフードに
頭を入れて丸くなってる
可愛くて目が離せない
やめてなんて言いたくても言えない距離だから


困ったときは
すぐに来てくれる君は
まるでスーパーマンみたい
唯一無二のヒーローなんだ


自転車の横を歩く
君の歩くリズムで
今日の笑顔の数がわかる


私が笑っていたのは
涙をこらえるため
馬鹿にされても
僕のこと嫌いでも
君の視界に映っていられるならなんでもいいや
君に気づいて欲しかったの
それだけで幸せだったの

心を着飾って
綺麗になろうとするほど
君は悲しい顔をする
僕のことが嫌いな君が好き
君のことが好きな僕が好き
目の高さを合わせて話してくれる君の
わざとらしい優しさ
少し尖らせた唇
すごく嫌いで
すごくすごく好きだった



目を閉じたら
確かに君がいるんだけど
手を伸ばした消えちゃうんだ
夢で会う君も寂しい目をして通りすぎてゆく
永遠に変わらぬ距離でも
僕が君を想っていれば
1mが99cmになると
そう信じるから
生きている

イヤホンの向こうのメロディを
知ることの出来ない無力さに辛くなっても
笑っていようと思う
ちゃんと君の目を見て話ができるようになる日まで
僕は前を向いて行こうと思う


夏のオレンジの匂い
走り方
肌の色
そのうなじ
高い鼻の目立つ横顔
おかしくなりそうなくらい 
好きだった


こんなに気持ち悪い僕だから
嫌いになって
思い出したくなくても
思い出してしまうくらい
嫌いになって
そしたら僕はまた頑張れる

言葉と気持ちが
背中合わせにつっ立ってる
上手く言えなくて
失ってから大きさを知って
後戻りできなくなる


微かに触れ合った指は
もうすぐ離れてゆくのでしょう
僕はいつしか
そこにヒマワリの種を植える
花が咲いても
会えないでしょう
君の温度はいつまでも
僕の指から消えなくて
あの場所を通ると
思い出すんだ


君の手が握るのは
可愛いあの人の手
わかってるから大丈夫
何も怖くない
ただひとつ言えることは
君の好きな人は僕じゃない
僕の好きな人は君しかいない
それだけだから
だから時々
上手くゆかないときは
いつもみたいに
笑っていれないかもしれない
そのときだけは
泣くのを許してほしい

はつこい

はつこい

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-15

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