Facebookを消しなさい

Facebookを消しなさい

「すぐにFacebookを消しなさい!」
「何? いきなり。」
「さっき、お前が面接受けた会社から電話があった。
残念ながら…不採用だそうだ。
父さん、納得いかなくてなぜ不採用なのか聞いてみたんだよ」
「恥ずかし!やめてよ、そういうの」
「理由を聞いて驚いたよ。Facebookだそうだ。
最近はどの企業も面接相手をネットで調べるらしい。
私もお前のを見たが、あれはなんだ。
毎日毎日『うざい、だるい』の繰り返し
最近は『就活、マジめんどい』
あれじゃ父さんでも不採用にするよ」
「ああ、あれね。あれ私じゃないし」
「…名前も学校も、歳もお前だったぞ」
「知らないよ。私を知ってる誰かが勝手に作ったんでしょ」
「だったら、すぐに消してもらいなさい」
「いちおうFacebookに削除依頼は出したよ。
でも、Facebookのアカウントの名前、ローマ字じゃん?
私のふりをしていると断言できるほど決定的ではないし、
書いている内容も、うざいとかだるいとか
言ってるだけで犯罪とも言えないってことで、強制的には消せないみたい」
「じゃあ、どうやったら消せるんだ?」
「そのアカウントを作った本人に警告?っていうか
『他人になりすましているならやめて』的なメッセージを
送ってくれたみたい。まあ、いまだに消えてないところをみると、
消す気はないのかもね」
「よしわかった。父さんの知り合いに弁護士がいるんだ。すぐに相談してみよう」
「ちょっと、やめてよ!大げさにしないで。
私はいい試金石だと思っているの。
ネットの情報を鵜呑みにして事を決める証券会社なんて、こっちから願い下げよ。」

Facebookを消しなさい

Facebookを消しなさい

スマホ時代を風刺した小噺です。

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-14

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