お父さん、頭 かたすぎ

お父さん、頭 かたすぎ

「お父さん、頭 堅すぎ!
知らないの? 今はみんな使ってるよ。
漢字を書くより楽だし、早いし、
ちゃんと気持ちも伝わるし、別にいいじゃない!」

「気持ちが伝わればいいというものではない。
この国が培ってきた豊かな表現、語彙が失われる。
もっと漢字を使って書きなさい。」

「別に漢字つかわなくても、豊かな表現はできるし。
っていうか、自分が使えないから否定してるだけでしょ。
今じゃ、私が自作した物語を絵にしてくれる絵師だっているのよ。」

「絵師? あ、こら、どこへいく、待ちなさい。
…どうも、すみません、お恥ずかしいところをお見せしました。」

「いえいえ、気になさらず。
しかし、為時殿。
ご息女が書かれた源氏物語。
平仮名だけで書かれてはおりますが、
宮中でも、かなりの評判ですぞ」

「だからこそ漢文で書いてほしいのだ。
女子供が使う俗な平仮名など、いずれ廃れる。
漢文で書けばいつまでも読み継がれる物語になるであろうに。」

お父さん、頭 かたすぎ

お父さん、頭 かたすぎ

スマホ時代を風刺した小噺です。

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-14

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