通学路に関する条例
通学路とは児童が安全に、安心して学校へ登校出来る道であるべきである。この観念に基づいて各都道府県の地方自治体が通学路に関する条例を発表した。
・居眠り運転やドラッグ使用の危険運転による自動車やその他の乗り物の児童達の通学に対する妨害、及び生命の危険を脅かす行為はあってはならないものであり、よって通学路への児童及び学校関係者以外の人間、自転車、バイク、自動車、全ての乗り物の通行を禁止する。
・通学路は見通しが良く、児童達が万が一、迷子になる事を防ぐ為に道路は直線とし、児童達以外の人間や乗り物の通行禁止の為信号機の設置も不要であり、児童が寄り道する事無く一直線に学校へ通学出来る様にする。
・通学途中に児童の勉学への妨げになるコンビニエンスストア、公園、等の建築はもちろんの事、一般住宅への連れ込みを予防する為に通学路の半径5m以内に於いて一切の建物の建設を禁止する。
・通学路への野良猫の侵入も児童達の好奇心の刺激となるので野良猫の駆除に努め、通学路の美化の為にも卑猥な雑誌等が決して落ちていない様に細心の注意をはらう事とする。
・万が一の不審者の侵入に対抗する為に、一児童に対し一通学路補佐を配置する。通学路補佐はニート等の若者は不可。人生経験豊富な老人が望ましい。
通学路に関する条例により児童達は安全で安心な通学路を確保する事が出来た。児童の保護者も安心して児童達を学校へ送り出す事ができ、学校関係者達も面倒な事故や事件に児童達が巻き込まれる事が無くなり、安堵した。
しかし当の本人である児童達は、安心で安全な事は喜ぶべき事ではあるが、帰り道に友人達と公園で寄り道をしたり知らない道を探検したり、等の楽しみが奪われ、通学路に居る野良猫を可愛がったり落ちている卑猥な雑誌に胸がときめいたり、等の学校では教えて貰えない、大切な何かを学習出来なくなってしまっていた。
通学路補佐Aさんの証言。
「児童達にとって通学路が安全な事はとても良い事だと思います。昔の様に惨い犯罪に巻き込まれる事も無くなりましたし…けれど私が担当している児童が先日言っていました。刑務所に連れて行かれているみたいで楽しくないと。それは私も感じます。昔の様に、私達が子供だった時の様にもっと自由で、のびのびと子供らしく通学させてあげても良いのではないのでしょうか?」
通学路評論家B氏の見解。
「安全である事はもちろん大切です。今の通学路に関する条例により通学時に児童達が犯罪に巻き込まれるケースは格段に減少しました。しかし…幼少期に体験しておくべき事までも奪われてしまっている現状により、今の児童達の目には輝きがありません。児童達を犯罪から遠ざける事は出来ましたが、逆に犯罪者を産み出してしまう、つまり児童達が犯罪者になってしまう可能性も否定出来ません。この条例には見直しが必要だと私は考えます」
通学路に関する条例