人間Tシャツ

二郎はアルファベットのTのカタチをしたシャツ いわゆる 「Tシャツ」 を買うため店のなかに入り、色々と商品を物 色していると、骨董品ばかりでTシャツがな い事に気付きました。

すると店の奥から店主が出てきたので尋ねま した。

「この店にTシャツはないのかい?」

すると店主はまるで聞こえてないかの様に、 店の奥に戻っていきました。

しばらくすると店主が一枚のTシャツを持っ てこっちにやってきました。

そのTシャツをよく見ると模様が変わってい て二郎自身の顔がプリントされていました。

二郎は店の主人に尋ねました。

「なんで、そのTシャツは俺の顔がプリント してあるんだ?」

すると店員はニコッと笑顔になりました。

すると気のせいかもしれないがTシャツにプ リントされた二郎の顔もニコッと笑ったよう に見えました。

勝手に自分の顔がプリントされたTシャツを 売って欲しくない

という少し怒りの感情があり、 二郎はそのTシャツを持ち帰りました。

ある雨の日のこと

ここ最近雨ばかりなので洗濯物がたまってし まい、タンスの引き出しをあけると 以前、変な店で買ったあのTシャツ…

二郎の顔がプリントされたTシャツしかあり ませんでした。

結局、他に着るものがなくそれを初めて着て みました。

恐る恐る鏡を見ると同じ顔が2つ。 しばらくその姿を眺めていると

Tシャツの顔がニヤッと笑った気がしまし た。

まるで生きているように感じたので

「お前、生きているのか?」と尋ねると やはりニコッと笑うばかりで、何も答えよう としません。

恐ろしくなり知り合いの生物学者にこのT シャツに生物反応があるか確認してもらいま した。

すると生物学者は生物反応はないと答え、こ のTシャツは温度によって表面の模様が変化 するようになっているとの事でした。

おわり

人間Tシャツ

人間Tシャツ

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-11

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