君と僕
君との出会い
桜が舞い散る、春。
新しい環境、心情、制服、空気に包まれて私たちは今日から高校生になる。
桜並木の道のりを自転車で進むこと10分。
ようやく、今日から私が通う『平山高等学校』に到着する。
平山とは言っても、高台の上にあるのだけれど。
駐輪場に自転車を止めていると、ふと視線を感じる。
勿論、この高校に知り合いなんていない。
知り合いがいかなさそうな、いや絶対行かないであろう高校を選んだんだから。
いたら逆にこまるんだ。
中学の失態はもう封印するんだから。
え、まだ?
まだ視線が消えない・・・。
恐る恐る振り返ってみると、とある男の子と目が合った。
「・・・・・・・・」
沈黙。
きっと今の私の顔は引きつっているだろう。
なんせ小学校、中学校共に女子校で過ごし、父は単身赴任。
兄弟もいない。近所にも男の人はいるのだろうが、あったことはない。
そんな私が、男の子に『じー』っと見つめられていて、対処ができるだろうか。
答えは否か。無理ゲーである。
「女子高は嫌だ」と、親の反対を押し切ってやってきた共学。
しかし、これは想定外だった。
しかも、男の子の方もただただ見つめているだけだから、余計どうすればいいのかがわからない。
最善策が見つからない。
成績優秀だったこの私が、こんなことで悩まされなくてはいけないとは_________!
『_____えー、全校生徒の皆様は体育館に移動してください』
しまった。入学式が始まってしまう。
しかも全校生徒ってことは、この人も行かなければならないはず。
これはチャンスだ。
「あ、あの。入学式始まりますよ・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
なんでこの人なんも言わないの!?
その口はなんの為についてるの!?
食べ物消化するためだけについてるわけじゃないでしょう!!?
「・・・・・・・・・・お前」
あ、やっと喋った・・・・・・
「・・・・・・・・・・可愛いな」
___________________________!!?
「・・・は、、?」
え、ちょっとまってよ。
あってからまだ5分くらいしか経ってない人に向かって、か、『可愛い』だなんて・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・ちょっとこいよ」
「ハ、ハイ;」
逆らったら殺されそう。
「ここ座れ、ここ」
そういって、ポンポン、と自分の膝の上を指し示す。
やばい、命のきけんをかんじる。
でも、逆らったらもうこの学校には来れないだろう。
ごくり、と息を飲んで膝の上に座る。
すると、頭の上に柔らかい感触が残った。
頭撫でられてる・・・・?
「あ、あの・・・・・・・・・」
「ちょっと黙ってろ」
「は、はい」
ひぇぇぇぇえええええええええっ
怖ッ!
高校・・・・いや共学って・・・・・・男子ってこんなに怖いの!!?
「・・・・・・・・お前、怖くないのか?」
「へ?」
いや、めちゃくちゃ怖いですよ、と言ってやりたかったが、
この男の子があまりにも悲しそう顔をするから、だから、そんなこと言えなかった。
何かあったんだろうか・・・?
「いや、大丈夫ですよ」
無理やり貼り付けた笑顔で笑ってみせると、彼は嬉しそうに「へへっ///」っと笑った。
か、かわいい・・・・・・・・じゃなくてっ!
「お前名前は?」
「美華・・・・・・・神崎美華です。」
「美華か・・・。可愛い名前だな。俺は友(ゆう)、城島友だ。」
「よ、宜しくお願いします・・・・・・・・・・?」
_____________ぎゅっ
今、私城島さんに抱きしめられてる・・・・・・・・・?
「あ、顔真っ赤w可愛い」
「う、うるさいです・・・・・・・・・・!!」
これが私、【神崎美華】と彼、【城島友】との出会いだった。
君と僕