センチメンタルラプソディ

Seen．18

ぼくのなかの　僕を押し殺して　見せかけの自分を　守っていたあの頃
ニセモノを守るために　必死で　ホンモノを閉じ込めていたんだ
いまを　そうだね　ちっぽけな今を維持していくことに　なんの疑問もなくて
ためらいもなく　捨てることが出来た　過去の　過ぎ去った時間のこと
そのあとのこと　それからのこと　ヒトは　それを見ようとはしない
僕であるために　なにができる？　何をしたらいいんだろう？

誰かの背中を　追うことが苦痛になったのは　いつだっただろう？
その先を　一番に見たくて　いつもそばで　眺めていたかった
大切なものは　見えづらくて　神様が全部　隠してしまった
気づいてほしいとき　誰もそばにいないこと　
見えるものだけがすべてじゃないって？　だけど　そんなの偽善でしかない
だって　いま　きみはここにはいない　カタチがないと　不安なんだ

かなわない夢なら　どうか　なかったことに出来ないかな？
誰かを　否定しないと　保てない自分なんて　ほしくないよ
迷いのないヒトなんて　いないって思いたいんだ　でも迷うばかりじゃいられない
きみの　願いなら　叶うようにと
心から祈ることが出来るのに　

僕自身を本当の意味でなくすこと、どれほど怖いかなんて知らなかった。幼すぎたんだね。
ニセモノの鎧を信じていたのさ、スーパーマンとか、正義の味方とか、それはきっと完璧だって。
八秒の今を、過ぎていくいまを、生きるためといいながら。
抜け殻のように捨ててきた、八秒前の僕たちを……
拾い集めるのに、いまからでも、遅くないかな？

どうして僕は二番目なんだろう？　君にとっての一番じゃないと意味がないのに。
いつも君の隣には、あいつがいて、君の笑顔をすぐにさらっていく。それでも、君に憧れてた。
思いは目に見えない、大切なものは感じることすら難しい。
気づいてほしくて、気づいてほしくなくて。どっちつかず。
こっちを見て、振り向いて、僕にだけその笑顔をちょうだい。

薔薇色

夏、だったと思う。
ドラマチックを聞きながら、
ステキな始まりを夢に見ていた。
知らない街角、トルコの旗。
赤に白の月と星でね、
君がすごいネと笑った。
登り坂、コンビ二、巻きついたツタのアパート。
始まりは上々だったの、
ドラマのワンシーンみたいに。
台無しにしたのは　多分　あたし、
上出来すぎた出会いが怖かったんだ……。

５月、だったと思う。
ちょっと遅すぎた春の嵐、
積もりつもったこの気持ちも
どこかへ飛ばされてしまった。
蕾を遠くに感じながら、
どうすればいい?!　って、答えを探してる。
見慣れたこの場所、
でも　あたしの居場所じゃないの。
始まりは上々だったの、
すぎるくらいに世界はバラ色で……
台無しにしたのは　多分　あたし、
上出来すぎて信じることができなかったんだ。

冬、だったと思う。
君を待つあいだは四角い空を見てた。
久しぶりなんて笑うきみが、
今も時どき　あたしのなかで　手を振る。

今思えば　食べ物のことばかり。
他愛もない　そんなことばかり。
チキンライスを作りながら、
ハヤシライスが好きなきみのことを考えてる。
身体の弱いきみのことだから、
こんな寒い日は少し心配になるよ。
疲れたように　笑う　きみが好きだった。
お説教だって　声が　聞けるだけでよかった。
きみが好きだ。

始まりは上々だったの、
まるでドラマのワンシーンみたいで。
ひとめぼれ　きっと　今でも好きだ。
この先ずっと好きだ。
だけどあたしは　あたしで生きていかなくちゃ。

だからもう　終わりにしないとだめだ。
このまま引きずっていちゃだめだ。

しいたけが嫌いなきみでも、
タバコがやめられないきみでも、
いろんなことを教えてくれたのは
まぎれもない　きみだったってこと。
嘘つきでも　偽善者でも　悪い人でも、
この年月、
ふと思うのは、きみのことだった。
愛しくて　愛しくて、
本当は毎日声が聞きたかった。
本当に大好きだった。

さようなら、愛しい人。
もう二度と会うことのない、
愛しい人。
さようなら、過ぎていく人。
本当にありがとう。

始まりは上々だったの、　
どうして　ハッピーエンドは遠いのかな？
本当は　ずっとこのままでいたいよ。
だけど　それじゃぁ　だめなんだよ。

この年月、ふと思うのは、きみのことだった。
本当は毎日きみの側にいたくて、
だけど　本当の気持ちなんて伝えられなかったんだ。