白の支配者

小説家になろう、の方でも投稿しているので良かったら、

終わりの始まり

西暦2052年。
ロボットと人間が同じ知能になってから10年 人間は日本人以外ロボットの手によって滅ぼされていた。

今から2年前、人類はアメリカで最高の知能を持つ自立型ロボット SsR を完成させる。
これで人類はもっと進化するだろう、誰もがそう思っていた。


だが人類の希望は簡単に壊される。
1年の間に作られた10台のSsRが反乱を起こしたのである。
毎日、毎日奴隷の様に扱われる日々に嫌気が刺したのであろう、SsRは自分たちが作られている工場を占拠したのであった。

様々な兵器が詰め込まれているSsRにとって工場内にいる人間を全て殺すなど簡単である。
そしてわずか1週間後、SsRは知能を活かし同胞を100台も作り上げた
人類はその工場を取り返すために奮闘したものの虚しく全員 返り討ちにあった。

人類は骨も残らず全て粉砕されてしまったのである。

そこからは人類がロボットに惨敗するには時間はかからなかった、まずSsRたちはアメリカを支配、そしてその1ヶ月後には北アメリカ全土を支配したのである。


その大事件は全世界に光の速度で広がり、SsRの純白そしてやせ細った成人男性みたいなフォルムから白い浮浪者と呼ばれた。
白い浮浪者の侵略の手は止まらず、南アメリカを支配し、そして短期間で船の使い方を覚え、アフリカへの侵略を開始した 暑さの影響を受けないロボットにとってアフリカの暑さは全くノーダメージであった。

そして1年後 西暦2052年 日本以外の国はSsRたちに支配され、日本もいつ支配されてもおかしくない状況に陥る。


この物語はSsRと日本人の戦いの物語である。

血と煙のバレンタイン

人類がSsRに支配される二年間、日本人はなにもしてないわけではなかった、対SsR用銃「ディストラクション」を開発した。

いくら最強のロボットといえど頭を貫かれたら機能は停止する
ディストラクションはSsRの頭を貫く事に特化した銃である。


2052年2月10日
国民全員にディストラクションが配布された。
いくらSsR用の武器だからと言って人間は簡単に撃ち殺せる、犯罪が増加するのではないかと政府は心配したが全く犯罪は起きなかった。
恐らく、いつSsRたちに支配されるか分からない恐怖が犯罪への抑止力になったのであろう。


2月11日
義務教育を終えた16歳から35歳までの男性たちが徴兵された、
SsRを戦う為である そう、ディストラクションを持って。
徴兵の件は反対してる人も多かったがこれが最善の決断だと判断した。
デモが起きると想定したが、もう国民にそんな元気はなかった様だ。


恐怖とは人間にとって最大の弱点であり最大の武器かもしれない


2月14日 朝6時30分
最悪の事態は思ったより早かった。

SsRの大群が朝鮮半島から船を出し攻めてきた。

対SsR特殊部隊 ブルーバードは頑丈に装甲された船に乗り、ディストラクションを持って戦ったがブルーバードの努力も虚しくSsRの大群と接触した1時間後にはほぼ壊滅。

この情報が全国に放送され、全国民がもうダメだと思い込んだ。


朝10時5分
ついにSsRの大群は日本に乗り込んだ。
先陣を切ってでたブルーバードはほぼ壊滅の知らせを聞き、徴兵で集めた兵は絶望の底に落ちていった 泣き出すもの、逃げ出すもの、暴れ出すもの 沢山いた。

もちろん特殊部隊ブルーバードでも敵わなかった敵についこの前まで一般人だった人が敵うわけがない。

戦場の最前線は血と煙の匂い、深呼吸を1回しただけで嘔吐しそうなくらい強烈な匂いだった。

その中に16歳の少年花咲鉢(はなさかはち)が居た。

花咲鉢はやけに冷静だった
泣き叫んでる人を見ても

「そんな事しても無駄なのに。」

と一蹴するほどだった
時は遡り2月1日

花咲鉢の母親は死んだ。自殺だった。

夫が残した借金に対してのストレスが限界に達し自殺したのだ、花咲鉢を残して。

鉢はそれに気づくのは高校から帰ってきた時であった、自分の庭に赤い物体がある、そして赤い液体が流れている、鉢は近づいてその物体がなんなのか確かめて見る。



鉢は気付いた。赤い物体は、物体になってしまった自分の母だった。



その時からだろうか、唯一の心の支えであった優しい母が死んでから人生がどうでもよくなった
母の葬式の最中、鉢はずっと心の中でお母さんに問い続けていた

「なんで俺も一緒に死に誘ってくれなかったんだ母さん...」

鉢はふと昔の事を思い出していて周りを見ていなかった、昔の事を思い出す前は、沢山周りに人がいたはずだ。


身長が155cmと高校生のわりに小さい鉢には少し怖く思えた、だが周りの大人達は誰もいない 鉢はすぐに気付いた 周りの大人達はSsRに殺されたんだ 。

だが少し様子がおかしい、殺されたなら血や肉片が周りにあるはずだ なぜ無いのだろう、答えは単純だ、皆逃げたのだ白い浮浪者から。

そして鉢が状況を把握したと同時に前を振り向いた
前には大量のSsRがいた 鉢はとっさに後ろを振り返る。

誰もいない。鉢は1人になってしまった。

crisis

周りに誰もいない。鉢とSsRだけ。

「でもまぁ、生きる目的も何もないしここで殺された方が楽かな」

ため息混じりに呟いた。
だが、白い浮浪者が近づいてくる度に恐怖が募っていった

「あれ?」

鉢の体は恐怖で動かなくなっていた、つい30秒前は全く怖くなかったのに。

白い浮浪者は無機質に動く、それが不気味だ。
白い浮浪者は鉢に目を向け、腕に装填されている銃で躊躇いなく引き金を切る。
鉢は泣きながらこう叫んだ。


「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けてお母さん助けて」


SsRが腕に装填されている銃を放った瞬間、鉢は即座に左の方向へ走った

「お母さん待って」

鉢の横にはお母さんが居た。だがいくら走ってもお母さんを捕まえられない、抱き締められない。

恐らく鉢の幻覚だろう。
あまりにも強烈な恐怖によって幻覚を見てしまった、だがこの幻覚によって鉢は一命を取り留めたのである。
我に帰った鉢は後ろを振り返る、SsRが鉢を追いかけているではないか、鉢はそれを見て必死に逃げる。

幸いにも体内に色々な武器や装甲を仕込んでいるため白い浮浪者は余り足は早くない、だが人を殺すには十分過ぎる速度かもしれない。

鉢はこの前配布されたディストラクションを構える。白い浮浪者を倒すために作られた武器だ。

慌てながらもこちらに向かってくる白い浮浪者に標準を合わせる。


鉢は白い浮浪者に標準を合わせてディストラクションに内蔵されている玉を発射する。
ディストラクションに内蔵されている玉はとても異質だ、SsRの頭を貫くために作られた特別な玉なので先端は針のように鋭く硬い、そして細長いのだ。

発射した玉は綺麗な直線を描きSsRの頭に命中する

「よし!」

そう鉢が呟いた途端、異変に気付く...なんとSsRは無傷だ。

鉢は混乱し頭が回らなくなった。
続けて3発連続で玉を発射する、だが無傷だ
多少怯むだけで傷はどこにもない、鉢は絶望した。

日本が持っているSsRの情報はとても古いのだろう。
SsRが他の国を支配している間に装甲を強化する術でも見つけたのである。
だから特殊部隊ブルーバードもあっけなくやられたのだ。

現実はそう甘くない。
花咲鉢はそれを思い知らされた。
まだ心の隅で思っていたのだろう、お母さんが死んでもなんとか頑張って幸せになれると、鉢の考えはあまりにも甘すぎた。

白い浮浪者はゆっくりと移動を開始した。
ゆっくり、ゆっくりと鉢に近づいてくる ディストラクションを警戒しながら。

だが鉢は諦めなかった。
さっき見た幻覚のおかげで目が覚めた。
母さんは俺と一緒に自殺を誘わなかった意味がわかる、母さんは俺を生かしてくれたんだ。
母さんの分まで幸せにならないと天国にいる母さんに顔会わせられないしな。

「絶対生き延びてやる」

そう1人で呟き、鉢は町の北、ブルーバードが沢山待機している駐屯所へ向かう事にする。
日本の持っているSsRの情報は古い、という事に。

だがそう簡単には行かせないぞと言わんばかりに白い浮浪者は腕に装填されている銃を乱射する。

鉢は紙一重の所で交わし続けるもののそんな偶然はいつまでも続かず足に玉が当たる

最初は熱く、足を撃たれているとは気がつかなかった

だがその時、今までに経験した事がない激痛が鉢を襲った。

「うあああああああイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ」

この世の終わりかと思うくらいの激痛に襲われパニックになる。
目の前で何が起こっているか分からない。自分が何をしようとしているのかも分からない。
だがパニックなどすぐに収まった。
目の前に佇む白い浮浪者をこの目で見たからだ。
白い浮浪者は大きく振りかぶり手を拳にする


ROBOT PUNCH!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


鉢は体を転がし避けた、だが鉢が避けた事により道路にパンチが当たる。
鉢はこれで白い浮浪者の腕は反動で壊れるだろう そう思った。

だが壊れたのは地面の方だった
ビキビキと地面が割れ鉢の体は地割れの中に吸い込まれていった。

白の支配者

白の支配者

地球を支配した最強のロボット「SsR」と我ら日本人の物語 (ロボット要素は極薄なのでロボットが苦手の人でも大丈夫です。)

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • アクション
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-08

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  2. 血と煙のバレンタイン
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