ゴルフバッグ

ゴルフバッグ


私がまだ戸棚のお菓子を椅子に登って取っていた頃、父がゴルフバッグを持って出て行ったまま帰ってこなくなった。

幼い頃の記憶が曖昧になっているせいかあれはゴルフバッグではなく大きな荷物だったのではないかと思い始めてきた


そんなことを考えつつ音楽を聴きながらの通勤中の電車の中から窓の外を見ていた。


よく決められたレールの上を歩くのは嫌だと言っている人がいる


電車のように決まったレールの上を歩くのは嫌だと言うがレールの外に出てまでしたいことがあるのだろうか

またレールからはみ出てまですることに意味があるのだろうか


ふと窓の外を見ると古い家の前にゴルフバッグが置かれているのが見えた


もしかしたら父はこのレールの上からはみ出してまでしたいことがあったのかもしれない
それがどんなことか知りたいと思ったのだが私には知る術がなかった。


私も父のように今乗っている電車のレールから飛び出してまでしたいことが見つかるかもしれないと思った



もうすぐ駅に着くという時だった
ちょうどアルバムの最後の曲が終わった



なぜか飛び出してみたくなった。

ゴルフバッグ

ゴルフバッグ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-07

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