きみ攻略マニュアル

リクエスト*国見夢

1


『あ、金田一君おはよう!』

「おー大鹿、おは…」

『なあんだ、国見君は一緒じゃないのか』

「なんだってなんだよ、せっかくいい話持ってきたのに」

『なになに!?』

「…んっとに現金なやつだよなお前って」



コロコロと表情が変わる浩菜に、金田一はため息を吐きながらも少し嬉しそうな顔をする



「今日の練習試合、国見スタメンだから見に『行くっ!』…おう」


ぱあぁっと顔を輝かせる彼女の頭の中はすでに国見英でいっぱいなのだろう、ふんふーんと楽しげに鼻歌を歌っている。

同じクラスの大鹿浩菜は、どうやら国見英に恋をしているらしい。
…らしいというか、どこからどう見てもそうだ。

本人曰く、部活中に一目惚れしたらしい



「(まぁ及川さん同様黙ってればイケメンらしいしな…)」


中学の時のバレンタインはかなりの数をもらっていたが、なぜか彼女がいたという話は全く聞かなかった。
モテるはずなんだけどな…


と、いうわけで。
チームメイトの恋を応援しないわけにも、クラスメイトの恋を応援しないわけにもいかないので(実は面白半分だったりするが)
彼女に情報を流したりしている



**



「…に、したってよ」


『国見君今日もかっこいい!』

「集中できないから黙ってて」

「国見お前無愛想すぎるだろ!?」

「だってホントのことだし…」

「大鹿もめげねぇなおい」

『そんな国見くんも好きだし』

「……」


ぷいっとそっぽを向く国見、もしかして照れてんのか?
にしても本当、こいつの無愛想さには困ったもんだ…

…と、及川さんがこちらに気づきひょこひょこっと近寄ってくる


「なぁにー?国見ちゃん、今日もツンデレボーイ?」

「意味わからないこと言わないでください」

「国見ちゃんがそういう態度なら~………」

「ッ!?」


ぼそぼそと何かを耳打ちする。
するといつもの眠そうな顔が一変し、目を見開いて及川さんを見上げた


「…と、いうわけで、浩菜ちゃん、及川さんと…」

「大鹿」

『ん?え?な、何?…っちょ、国見君?』

「うるさい、いいからこっち」

『え?えぇ?』

にへら、と人の良さそうな笑みを浮かべ大鹿に近寄る及川さん。
しかし国見がそれを遮って大鹿の手を取り、やや強引にその場を後にした。




「…及川さん、何言ったんすか?」

「ん、べっつにー?
…あんまり見ないふりしてると、及川さんがさらっちゃうゾ☆って言っただけ」

「?」

「金田一はまだまだおこちゃまだなぁ」

「…何かわかんねっすけど、うまくいくといいっスね」

「ま、国見ちゃんなら大丈夫でしょ」



 


「…ここまでくればいいか。」

『え、えぇと、国見君?』

「あのさ、大鹿」

『は、はいっ』


手を繋がれたままずんずんと歩いて、やってきたのは体育館裏。
遠くで他の部活をしている声が聞こえる


「そんなに俺のこと好きなの?」

『へ?』

「俺のこと好きでしょ?」

『うん、す、好き…だよ…』


今までこんな真正面から話したことがないから、なんかすごく緊張する

好きだよ、と伝えると国見くんは安心したように微笑んで…え、微笑んでる!?


「最初はうっとおしかったけど」

『?』

「さっき及川さんに言われて気づいた。
俺大鹿のこと好きみたい」

『………え?』


さらっと
おはようの挨拶をするように
告白をされた。


「だから及川さんにあんまり近づかないで。」

『?うん?』

「あの人に近づくと危ないから」

『…よくわからないけど、国見君以外を好きになる気はないよ?』

「…そう、ならよかった」



そして握ったままの手。その指先に、ちゅ、とキスをされる


『!?!?』

「何驚いてるの、付き合うんだからキスくらいするでしょ
……い、嫌じゃなければ、だけど」

『い、嫌じゃないよ?』

「…ん。よかった」


そういってにわかに頬が赤くなる。


無気力?いいえ、彼はこんなに表情豊かで素敵。



これにて、攻略完了…?


 
End

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  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-07

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二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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