どうかみなさんお肌を大切に!

水滴が表面張力で肌からはなれず
まわりの人たちとその湿気を共有する

吸い込む息は森からの湿り気でやさしくうるおっていて
自然の中の生き物としてずっと感応してきた

呼吸は重いが
肺のなかが病原菌で侵されることはまれ
鼻腔や喉の粘膜はしっとりしていて
人も健全

肌の潤いが人のつながりをつくっている

雨多い豊潤な自然の中に神をみて
それを尊び暮らしていた記憶が
今よみがえる

都会のコンクリートに内在する水分では
人は癒やされない
化学変化のあとの残留物として固体に閉じ込められきたなくなった液体
ふれると肌が拒絶する

テレビやコンピュータの画面がいくら微細になって森を忠実に写しだしたとしても
肌からかんじるものはなにもない
視覚は満たされるが
感応性は格段に低下する

エアコンの吐き出した乾燥した空気に息がつまる
冬でも近所の林のなかを防寒着に身をまとってちょっと汗をかきながら歩く

寺や神社の境内に大きな木があったらそれを手でふれる
樹皮はちょっとカサカサしているが
なにかメッセージを感じるのではないかと集中する
自分の知らない時間の出来事が木からきこえるだろうか

石垣があったらそれにも手をふれて
何かつたわってこないか肌でかんじてみる
手から熱をうばわれ冷たいけれど
太古の石の記憶が共有できるかもしれない

立派な人と握手した時の熱い感覚
その人のもっている人間性が手を介してこちらにみたされるようなふしぎな体験
その後一日中ずっと体があったかくなってなにかすばらしいものをいただいた

どうかみなさんお肌を大切に!

どうかみなさんお肌を大切に!

どうかみなさんお肌を大切に!

どうかみなさんお肌をたいせつに! タイトルそのままです。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-06

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