なにかの塊

強力な磁石が意表をついてまわりの鉄板に吸いつくように
それはおこる

心の琴線にふれたからか
誰かに洗脳されたからか
ずっとそんなことを思い考えていたからか
それともただなんとなく今いるところがいやになったからか

衝動がとまらない
とめられない
全神経と体の全部が一点に集中し
心身が凍結する

トンカチをもってきて叩こうにも砕けない
友達や親や先生たちがどんなに言葉をかけても溶解しない
おもいっきり明るい陽光をかざしてみてもダメ

相手からは
なにもみえないしなにもわからない
時空の一点に凝固した
ブラックホール的ななにかの塊

時間がしばらくたったら夢をみてたかのようにまたもとの状態にもどるのか
それとも日がたつにつれてさらに硬く冷たく大きくなるのか
他のおなじような塊どうしが集まってさらに巨大な集合体になるのか

遠いあっちのほうにある塊がこちらに近づき一瞬溶け合ったとおもうと
なにごともなかったかのように突然バラバラになり飛散する

塊はうまくその姿を変え本来あるべきもののようにみえるが
過去の記憶と履歴は消し去ることはできない

自分が興味をもったこと
心がおもわずおどり元気になれるピアノの旋律
本を読んだ時になるほどと何回も反芻したフレーズ
あまりないけど優しい言葉をかけてもらったこと
大切にしてくれた人への感謝

そういうものが糊になって
バラバラになった欠片をくっつけて
またもとどおりの光を放ってみんなにみえる自分になれる

なにかの塊

なにかの塊

やりなおしって、いつでもどこでもだれでもできるものです。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-03-05

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