アビリティーパーソンズ2

村を焼き尽くされ恋人を失った主人公、山東猛が村を出て中央郡に向かう途中である町に立ち寄った・・・

第2話 人質

この若者の目には復讐の焔が宿っている。

「あ~腹減った・・・中央って遠いな・・・暇だし次の街で降りるかな・・・」
独り言を言いながら車窓から外の景色を眺めているこの若者は山東猛18歳生まれ故郷を焼かれ恋人を殺された。犯人は捕まえたが首謀者ではなかった。真の首謀者でPUCDという闇の組織を捜しだすため、旅を始めた。
『次は中北郡西県町~西県町です。お荷物のお忘れにご注意ください。』
改札を出ると賑やかな商店や雑貨屋が並んでいた。 装飾が綺麗な店が目に入り立ち寄ると
「いらっしゃいませ~。」
店に入って直ぐに深々と頭を下げ出迎えてくれた。いい店だな~と思い辺りを見渡していると
「金を出せ!!!死にたくなかったら騒ぐな!!!」
突然銃を店員に突き付けると大きなバッグを出して早くしろとせかしている。
「なぁなぁ、やめときな?逃げられないよ?」
俺がそういうと
「うるさい!騒ぐな!」
と俺にも銃を向けた。
「いや、騒いでないし(笑)」
笑いながら言うと強盗犯は俺の首元に銃を突き付け睨みつけてきた。
「黙ってろ!手を上に上げてじっとしていろ!殺すぞ!!!」
俺にそう指示をして少し離れた。言われたまま手を頭の上にあげ、じっとしている。黙っていろという指示以外は
「フレイムスペルガー」
強盗を睨みつけながら唱えると
ドォーン!!!
強盗が外に吹っ飛ばされた。
「簡単に殺すとかいってんじゃねぇ!」
そう一喝すると強盗は逃げて行った。すると
「すみません・・・ありがとうございます!!何とお礼を言ったらいいのか・・・でも本当にありがとうございます!!」
先程店に入ったときに深々と頭を下げた女性が言う。
「なんて事は無いですよ。それより怪我はありませんか?」
そう聞くと
「はい!おかげさまで大丈夫です。あの、お礼といっては何ですがおいしいレストランがあるので今夜お食事どうですか?いえ、お願いします!!」
「あの・・・そんな・・・」
「いえ!私の気持ちが収まらないので御一緒してください!ダメでも無理矢理連れていきます!」
この町の人々は強引な性格なのだろうか?
「で、ではお言葉に甘えて・・・よろしくお願いします。」



夜、月が上りはじめた頃店の前で待ち合わせの為向かうともう女性は来ていた。
「あ!こっちです!!・・・ってお名前お互い聞いてませんでしたね・・・すみません私せっかちで・・・私の名前は西氏美鈴です。22歳よろしくお願いします。」
「僕は山東猛18歳です。よろしくお願いします。では行きますか?」
挨拶もそこそこにして美鈴のお気に入りの店に行き、席につくと
「今昼間はは本当にありがとうございました。でもあの後店長が来ていきなり怒ったんですよ!ドアを壊しやがって!!っておかしくないですか?お金を取られずに済んだのは誰のおかげだって話ですよ!!全く!・・・って私のおかげじゃ無いんですけどね・・・」
俺は何とか作り笑いをしながら話半分で聞きながら出されたご飯を食べていると
「そういえば山東さんってまだ若いですよね?お仕事でこちらに来たんですか?」
突然先程の話を止め聞いてきた。
「何でですか?まぁ、ちょっと中央に用があってその間にこの町に寄ったんです。」
PUCD等の事は言う必要が無いので言わない。
「そうなんですか~。でもこの町何にもないんですよ?中央は大都会だから見るところいっぱいありますけどね!そんなことより聞いてくださいよ~・・・・」



俺は何故こんな話を聞いているのだろうか?確かお礼で食事に連れて来てもらったはずなんだか・・・何故ずっと愚痴を聞いているんだ?
「あ!もうこんな時間!こんな遅くまですみません!しかもずっと私の話で・・・でも今日は本当にありがとうございました!」
「こちらこそありがとうございました!楽しかったですよ。」
「ではまた何かあったらお店に来てください!!失礼します。」
もう遅いな・・・今日はどこかで泊まるか。


駅の方へ歩いていくとホテルを見つけた。
「いらっしゃいませ。ご宿泊でよろしいですか?」
ロビーへ行くとロビーマンが尋ねてきた。
「とりあえず一泊お願いします。」
「畏まりました。ご用意いたしますので御席にてお待ちくださいませ。」
ロビーの椅子で座って待っていると前に座っている客が話してるのが聞こえた。
「・・・PUCD?この町に?なんだそれ?なんかの名前?」
ちょっと待て・・・PUCDだと・・・・話を聞かなきゃ!
「お客様お待たせいたしました。805号室をご用意いたしました。ごゆっくりとおくつろぎください。」
急いでるんだよ!ふと気づくとさっきまで話していた声が聞こえない。振り向いてみるとさっきの客はもう居なくなっていた。
明日美鈴さんの店に行って聞いてみよう。


朝10時頃ホテルを出て美鈴の店に着き
「美鈴さん!!居ませんか?」
すると店の奥から美鈴が出てきた。
「山東君!おはようございます!どうしたんですか?」
「ちょっと聞きたいことがありまして・・・」
と言うと
「じゃあ仕事夕方に終わるので5時頃に来てください!」
「分かりました。ではまた後で。失礼します。」
店を出て空を見ると曇って今にも雨が降りそうな感じだった。
「夕方まで時間つぶそうかな・・・」
しばらく歩いていると小さな人気の無い河原を見つけた。
ここで一休みしよう・・・


いきなり人の気配がし、振り向こうとすると
「動くな。貴様、美鈴に何をしようとしてる・・・何を企んでる。答えろ。」
首筋にナイフを当てられた。
こ、こいつ本気だ・・・
「俺は何でもない!ただの客だ。」
「嘘を付くな。ただの客が二日連続で個人的に会うか?命が惜しければ正直に言え。」
ラチがあかん!
「話しが分からない奴だ!フレイムスペルガー!!」
呪いの炎が敵を襲う・・・が
「グランドハンズ!!」
無数の腕が俺を囲み身動きが取れなくなった。
こいつグランドハンドラーかよ!勘弁しろよ!
「美鈴に近づくものは排除する。グランドガンヅ!!」
ドでかい拳が飛んでくる。
身動きが取れない!くそ!直撃する・・・
ドォーン!!
まともに喰らっちまった・・・
「な、何故俺を・・・狙う・・・んだ」
美鈴さんの何なんだこいつは・・・
「美鈴に近づくものは排除する。そういったはずだグラベルギガント!!」
何だよ今度は!!
ゴォー!!
な、何だこれ・・・
大きな何かが俺の目の前に・・・
「最後の忠告だ、美鈴から手を引け」
冷たい目を向けて言う。
「ま、待て・・・俺はただPUCDという組織のことが知りたいだけなんだ・・・」
「何故PUCDを知っている。どういう関係だ」
冷たい目が一層冷たく見える
「俺の住んでた村が焼かれ、恋人も殺された!あんたこそ知ってるのか?」
すると突然
「そんな・・・申し訳なかった!!てっきりお前が奴らの仲間だと思って・・・すまない!」
と頭を下げた。
「あ・・・あの・・えっと・・・意味がよく分からないんですが・・・」
呆気に取られている俺に説明をし始めた。



「えっと、要点をまとめると・・・あなたが美鈴さんのお父さんで、PUCDに奥さんを殺されてしまい、復讐のために奴らに近づいたが、近づきすぎて美鈴さんが奴らに見張られている・・・そして昨日今日近づいた俺が奴らの仲間だと勘違いしたっていう事ですか?」
「まぁ、そういう事だ。本当に申し訳ない!!」
今度は土下座をし始めた。
「いや、もう良いですって!!勘弁してください!!頭を上げて!」
「すまない・・・ただ、美鈴へ本当に見張られている。だから美鈴には今は近づかないでもらえるか?俺が近くに居ることも知らないんだ。」
それならば仕方がない・・・
「じゃあ奴らの事を少しでも教えてください。」
そのために美鈴さんに会おうとしたのだ。
「闇に紛れるもの。その略称がPUCDだ・・・奴らは能力者を何故か毛嫌いし、能力者をこの世から消そうとしている。奴らはありとあらゆる所に潜伏している。警察、軍、学校教師、タクシーの運転手、殆どが下っ端だが奴らの情報網はすごい。君一人で潰そうなんて無理だ・・・少しでも信用できる人間を側に置いておくんだ!力を付けて、徐々に奴らの尻尾を掴んで行くしかないんだ・・・おっと!もうじき列車が来るぞ!元気でな!」
いつの間にか一番星が見えていた・・・

アビリティーパーソンズ2

第2話読んでいただきありがとうございます!!
今後の展開にご期待よろしくお願いします!!

では第3話も是非読んでください!!

アビリティーパーソンズ2

村を焼き尽くされ恋人を失った主人公が復讐のために都会に行く途中で立ち寄った町である出来事に巻き込まれてしまう・・・

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-02-28

CC BY-SA
原著作者の表示・CCライセンス継承の条件で、作品の利用を許可します。

CC BY-SA