真っ白なうさぎさん

入来 文也

真っ白なうさぎさん


むかしむかしのお話です。

真っ白い雪が積もる雪国で、

そこに住むうさぎさんは

雪と一緒で、真っ白でした。


お耳も、 お鼻も、

お手々も、 尻尾も、

どこもかしこも真っ白でした。


うさぎさんは

真っ白な雪の中を

真っ白な姿で遊ぶのが

だーい好きだったのです。


ある日のことです。

うさぎさんが真っ白な雪の中で

遊びまわっていると、

おかしな雪を見つけました。

その雪は柔らかくて、

とても暖かいのです。



「なんて素敵な雪でしょう。」

うさぎさんは大喜びで飛び跳ねました。


 ぴょん  ぴょん

   ぴょん  ぴょん


すると、 

『痛いっ!!』

なんと、雪が喋ったのです。



「まぁ、なんて不思議な雪でしょう。」

その雪は

柔らかくて、

暖かくて、

そして、おしゃべりもするのです。


『雪じゃないよ。』

そう言って顔を覗かせたのは、

真っ白な姿のうさぎくんでした。


うさぎさんはお目々をパチクリさせました。

「あら、そうだったの。」

「踏んづけてしまってごめんなさい。」



それから

うさぎさんとうさぎくんは

お友達になりました。


真っ白な雪の中で

真っ白なふたりは

毎日、毎日、遊びました。


そして、また ある日のことです。

今日は、お外で雪が降っています。


 しん  しん

   しん  しん

風も吹いてきました。


 びゅう  びゅう

   びゅう  びゅう



それでも、

うさぎさんは今日も

真っ白な雪の中で

真っ白なうさぎくんと

遊ぼうと思っていました。


でも、約束の時間になっても

うさぎくんは来てくれません。


仕方ない。

うさぎくんが来るまで

ひとりで遊んでいよう。

と、うさぎさんは思いました。


   ぴょん  ぴょん

  しん  しん

     びゅう  びゅう


「おーい、うさぎくん。」

「一緒に遊ぼう。」

『いいよ、一緒に遊ぼう。』

どうやら

うさぎくんが来たようです。



でも、うさぎくんの姿は見えません。

「おーい、どこにいるの?」

『君こそ、どこにいるんだい?』


   ぴょん  ぴょん

  しん  しん

     びゅう  びゅう


「おーい、ここにいるよ。」

『こっちだよ。』


   ぴょん  ぴょん

  しん  しん

     びゅう  びゅう


真っ白な雪の中で、

真っ白なうさぎさんと

真っ白なうさぎくんの姿は

見えません。

声が聞こえるだけです。



すると、

うさぎさんは

寂しくなって、

泣き出してしまいました。


   ぴょん  ぴょん

  しん  しん

     びゅう  びゅう

「えーん、 えーん。」



『大丈夫だよ。』

うさぎくんが はげまします。

それでも、うさぎさんは

泣き止みません。


   ぴょん  ぴょん

  しん  しん

     びゅう  びゅう

「えーん、 えーん。」



『泣かないで。』

うさぎくんが なぐさめます。

やっぱり、うさぎさんは

泣き止みません。


   ぴょん  ぴょん

  しん  しん

     びゅう  びゅう

「えーん、 えーん。」



いっぱい、いっぱい

泣きました。


そうしていると、

風が止んできました。

   ぴょん  ぴょん

  しん  しん

「えーん、 えーん。」


うさぎさんは

まだ、泣いています。


そうしていると、

雪もおさまってきました。


   ぴょん  ぴょん

「えーん、 えーん。」


まだまだ、

泣き止みそうにありません。


そうしていると、

『うさぎさん、みーつけた!!』

うさぎくんは言いました。



うさぎさんはびっくりして、

目をパチクリとさせました。


なんと、うさぎくんが

目の前まで来ていたのです。


「どうして私の居場所が」

「わかったの?」

うさぎさんは問いかけます。


すると うさぎくんは

笑って、言いました。

『うさぎさんが泣いたからだよ。』

うさぎさんは目をパチクリとさせました。


真っ白な雪の中で、

真っ白な姿のうさぎさんは

真っ赤なお目々をしていたのでした。


                         おしまい。

真っ白なうさぎさん

真っ白なうさぎさん

  • 自由詩
  • 掌編
  • 児童向け
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