ヴァンガードG外伝 「グレートグレード3」

 カードキャピタル2号店が誕生して以来、今まで1号店の店長を務めていた
新田シンはそちらにかかりきりとなっていた。
そのため1号店はカードキャピタルオーナーとなった戸倉ミサキが店の経営を行っている。
客層は近隣の学生がよく訪れる2号店とは打って変わって
高校生から大学生といった2号店よりも上の年代が連なっている。
長年の歴史を培ってきたカードキャピタル1号店には常連も多く、
顔を合わせた面々が久々と言わんばかりにファイトを楽しむ光景がよく見られる。
そしてこの男もまた、カードキャピタル1号店における古参の常連の一人である。
「ジャガーノート・マキシマムでアタック!!」
今1号店では二人の熱いファイトが繰り広げられていた。ショップ大会の1回戦である。
一方は小学生くらいの少年、もう一人は割れ頭が特徴の男。ファイトは終盤に差し掛かっていた。
「ガード!僕のターン、ストライドジェネレーション!!アトモスでアタックだ!!」
「がああああ!!手札が最強すぎてガード出来ねえ!!?ダメージチェック!」
「トリガーなし!僕の勝ちだー!!」
「ぬおおおおおおお!!!!」
少年は大きくガッツポーズをしてスコアカードの提出に行った。
「森川・・・・・・また一回戦負けだな。」
小学生に敗北した男、森川カツミを友人の井崎ユウタがなだめる。
「納得できん!なぜ俺の最強デッキが・・・・・・!」
「運が悪かったんだよ。な?」
「今日の俺の運勢は最強なんだよ!!なんで勝てないんだ!!!?」
森川は井崎に迫った。井崎もなだめるのに一苦労だった。
「あんたも進歩しないね。」
二人はレジの方から聞こえた声に反応した。声の主はオーナーの戸倉ミサキである。
「色んなお客を見てきたけど、あんたほど進歩しない奴も珍しいよ。」
ミサキはやれやれといった表情で森川を眺めた。
「うるさい!!俺の最強デッキをもってすれば進歩など必要ない!!」
「でもショップ大会49回連続一回戦負けだよな・・・・・・」
井崎は胸を張る森川に鋭いツッコミを入れた。無論、森川に迫られたわけだが。
「ぐぬぬ、俺のデッキの何が悪いってんだ?井崎、何か意見出せ。」
「い、言っていいのか?」
「俺がさらに強くなるためだ、苦行もこなさなければならんのだ!
さあ言え井崎!俺のデッキのどこが悪い?」
迫る森川に井崎は目線を浮かせながら言った。

『やっぱりグレードのバランスが悪いんじゃないか?』

二人の間にしばしの沈黙が流れた。その後すぐ、森川は井崎の胸ぐらをつかんだ。
「俺のデッキのバランスのどこが悪いというんだ!?」
「い、いや、えーと、いやま、待て森川・・・・・・」
森川に思い切り体を揺すられてしまい井崎は返答できなかった。
見かねたミサキは口を開いた。
「あんたのデッキのグレード3の枚数が多すぎる、って言いたいんだってさ。」
そう言ってミサキは井崎の方を見た。
「そうそう、そういうこと・・・・・・」
井崎はフォローに少しの笑みを見せた。が、その2秒後に顔は凍りついた。
森川が涙を流しながらとんでもない顔を自分に近付けてきたのである。
「なんだとおおおおおおおおおおおお!!!!!」
「ぎゃああああああああああああああ!!!!!」
井崎の体を揺さぶるスピードは一気に上がった。
井崎はもう微動しかしないほど虫の息になってしまった。

『俺のデッキにおいてグレード3は必要不可欠なんだよ!!』

確かに、ヴァンガードのデッキにグレード3は不可欠である。
パワーが高く、超越や双闘などの強力な力を使うことができる。
いわばヴァンガードにおける絶対的な切り札のカードである。
しかし、ヴァンガードはグレードを最初の0から
ターンをかけて徐々に上げていくことが必要になっている。
つまり切り札だからといって50枚のデッキに
可能な枚数グレード3を入れてもライドすることはできない。
そのため通常はグレード3の枚数はデッキに7~9枚。
多くても10枚までが通常のデッキにおける限度である。
しかし森川のデッキは常識のはるか上を行っていた。
グレード3のカードをなんとデッキに25枚投入。
ライド手順に必要なグレード1,2を4枚ずつしか入れていない。
そのためファイトを行うとライド事故を起こして敗北する。
または手札のガードが足りずに敗北するのがセオリーである。
井崎やミサキは長年その光景を見ているため、
森川が勝てない原因がそこにあることを分かっている。
しかし肝心の森川が自分のデッキのバランスを把握していない。
そのため森川は49回連続一回戦負けを喫する、
そしてファイトにおける全体の勝率も低いのである。
森川がもう動かなくなるまで井崎を振り回していると、
ショップ内に新たに客が入ってきた。
「いらっしゃい・・・・・・あ。」
ミサキは入ってきた客を見て軽く声を上げた。
入ってきたのは後ろで縛っている大柄な男。
「久しぶりだね。一人なんて珍しいじゃん。」
「まあ、コーテイも姉さんも忙しいですからね。」
入店してきた男は臼井ガイ。チーム・カエサルの一人であり、剣闘士の異名を持つ。
「うーん・・・・・・」
ガイは店の中を少し見まわした。そして森川たちを見て言った。
「相変わらず、にぎやかな店ですね。」
「まぁ、そうね。ついでだから止めてくれると助かるんだけど。」
「は、はは・・・・・・止めろって言ってるんですかね。」
ガイは苦笑いをしながらも森川と井崎に近づいた。
「こんにちは。」
「ん?あんたは確か・・・・・・」
「が・・い・・・・さん、ちーむ、かえ、さるの・・・・・・」
森川のせいで頭が回らないのか、井崎の言葉の妙なところにピリオドが入っている。
「どうも。君たちはアイチ君の友達、だったよね?」
「おう、俺は森川カツミだ。」
「い、井崎ユウタで、す。」
井崎の混乱は治りつつあるが、やはりまだ頭が回っていない。
「チーム・カエサルの臼井ガイです。よろしくお願いします。」
そう言ってガイは森川と井崎に手を差し出した。
二人は快く握手に応じた。
「ところで森川君たちは何をもめていたんですか?」
「こいつが俺の最強デッキにケチつけたんだよ。」
「が、ガイさん、森川のデッキ見てやってくれないかな?」
井崎はそう言って森川のデッキを差し出した。
「あ、井崎!お前俺のデッキを!」
「森川君、見せてもらってもいいですか?」
「うーむ、まぁ仕方ない。特別に見せてやろう。」
ガイは軽く微笑み、森川のデッキの中を一通り確認した。
「へえ、凄いデッキですね。グレード3が25枚ですか。」
「それが俺の最強デッキだ!」
「僕のデッキのグレード3も多いですが、これは敵わないな。」
「え?」
ガイの一言に井崎とミサキは反応した。
「ガイさん、デッキのグレード3が多いって・・・・・・?」
「僕が最近よく使ってるデッキはグレード3が20枚なんです。」
「20枚!?ガイさん、それでデッキって回るの・・・・・・?」
「ええ。ガードが少し足りなくなることもありますが、勝率は良いですよ。」
井崎は呆然とした。ミサキも少し驚いた表情を見せている。
「なんならファイトしてみますか?」
ガイはそう言って自分のデッキを取り出した。
「森川!ファイトしてもらえよ。何かつかめるかもしれないぞ!」
井崎はそう言って森川の背中を軽くたたいた。
「うーむ、修行のためだ。そのファイト受けて立つ!!」
「ではこっちのファイトテーブルでやりましょうか。」
そう言ってガイはテーブルにファーストヴァンガードを置いた。
森川もそれに続けてファーストヴァンガードを置く。
「では、行きますよ。」

『スタンドアップ・ヴァンガード!!』

「獄卵の封竜騎士!」
「イニグマン・フロー!」
「俺のターン!鎧の化身 バーにライド!!」
「ライド!イニグマン・リプル!スキルでイニグマン・ウェーブを回収!
そしてリプルでアタック!」
「俺のターン!ドラゴンナイト ネハーレンにライド!アタックだ!!」
「イニグマン・ウェーブにライド!アタック!」
「俺様の力に圧倒されるがいい、ボーテックス・ドラゴンにライド!!」
「今こそ次元ロボの力を見せる時!超次元ロボ ダイカイザーにライド!!」
互いのグレードが3になったところでダメージは4対3とガイがリードしている。
「グレード3の力を見せてやるぜ!ジャガーノート・マキシマム!
ヘル・スパイダー!さらに鎧の化身 バーをコールだ!!総攻撃!!」
「ダイバトルス、ゴルゴーンでガードします!これで受けるダメージは2点ですね。」
これでガイのダメージは5と追い詰められた。
「このまま俺のグレード3で勝利してやるぜ!!」
「どうでしょう。このままでは終わらせませんよ。僕のターン、スタンドアンドドロー!
シャドウカイザーをコール!スキル発動!」

『宇宙に、星が、友が呼ぶ!!スペリオルクロスブレイクライド!!
究極次元ロボ グレート・ダイカイザー!!』

「超次元ロボ ダイカイザーのブレイクライドスキル!
カウンターブラスト1枚でヴァンガードのパワーを+1万!クリティカルプラス1!
そしてドライブチェックでグレード3が出れば相手のガーディアンを退却させます!」
「何ぃ!?ガーディアンが退却するだと!!?」
「さらにグレート・ダイカイザーのアタック時、スキル発動!
このアタックで行うドライブチェックを1回追加します!
パワーは23000!クリティカル2!さぁ、どう守りますか?」
「ふっふっふ、臆することはない!トリガー4枚でガードだ!
これでボーテックスのパワーは50000!これで破れないぜ!」
「ええ、普通のデッキならそれを突破することはできませんね。
しかし、このデッキは違いますよ!ドライブチェック!
ゲット、グレード3!相手のガーディアンを退却!
セカンドチェック!再びゲット、グレード3!
もう1枚、相手のガーディアンを退却させます!
そして・・・・・・サードチェック!
ゲット、グレード3!もう1枚相手のガーディアンを退却!」
「んげ!ボーテックスのパワーが20000に!?」
「グレート・ダイカイザーのアタックはヒットです。
2ポイントのダメージを受けてもらいますよ。」
「ぐぬぬぬ、ダメージチェック!2枚目は!!?ぐおおおおおお!!」
「トリガーなし。僕の勝ちですね。」
「な、なるほど。デッキのグレード3を多くすることで
グレート・ダイカイザーのスキルを発動しやすくしたのか・・・・・・」
「そういうことです。どんな無茶な構築だとしても、
そこにコンボを生み出す可能性があれば試すべきなんですよ。
森川君、どうでしょう。グレード3の枚数を譲れないのなら
その枚数を活かしたデッキを作ってみる、というのは。」
「森川、やってみたらどうだ?」
「うーむ、まぁやってみるか。」
「じゃあ森川君のデッキに多いかげろうを使ったデッキを組みましょう。
まずどんなカードを入れるかですが・・・・・・」
3人はケースのカードを眺めながら話し合いを始めた。
そして約1時間をかけて森川の新たなデッキが完成したのである。
「ようやく出来たな森川!」
「くっくっく・・・・・・これが俺様の、新たな伝説の幕開けというわけだ!!」
森川は新しくできたデッキを手に取りにやりとした。
「早速この力を試すぞ!井崎!俺の相手をしろ!」
「分かった!やろう!」
勢いよくデッキを突き付けた森川に負けじと井崎もデッキを突き付けた。
「まだ新しく作ったばかりですから僕も助言しますよ。
デッキに慣れるためにはファイト中の助言も必要ですから。」
「この俺に助言が必要とは思わないが・・・・・・まぁ頼むぜ!」
「よし!いくぞ森川!」

『スタンドアップ・ヴァンガード!!』

「アンバー・ドラゴン“暁”!!」
「古代竜 ベビーレックス!」
「俺のターン!アンバー・ドラゴン“白石”にライド!
スキルでアンバー・ドラゴン“黄昏”を回収するぜ!」
「さっきガイさんがやってたイニグマン・フローと同じコンボか。」
「このコンボはメガコロニーの『ギラファ』や
ノヴァグラップラーの『ブラウ』でもできますよ。
これでグレード2を回収できるのでグレード2のカードを
デッキから削減することができるんです。」
「よし、俺は古代竜 イグアノゴーグにライド!
ベビーレックスのブーストでアタックだ!」
「俺のターン、さっき回収した“黄昏”にライド!
そのままアタックだ!!そしてクリティカルゲット!!」
「古代竜 クリオロフォールにライド!ディノクラウドをコール!
クリオロフォールとディノクラウドでヴァンガードにアタック!
ディノクラウドのスキルでベビーレックスを退却しパワー+5000!」
「ふんっ、その程度の攻撃はノーガードだ!」
「ベビーレックスが退却した時、デッキから古代竜 ティラノレジェンドを
リアガードにスペリオルコールすることができる!
ティラノレジェンドでもヴァンガードにアタックだ!!」
「な、なんだとおおお!?い、いきなり俺のダメージが4点になっただと!?」
「古代竜の退却とスペリオルコールのギミックですか。
このターンはまだティラノレジェンドが来ただけですが・・・・・・
ターンを伸ばすと展開量はこの比じゃなくなりますよ。」
「な、なら俺のターンで主導権を握るのみ!スタンドアンドドロー!」
『封印された俺様の力を、今ここで見せてやろう!
炎獄封竜 ウェザークロスにライド!』
「ウェザークロスか・・・・・・ブレイクライドで相手のリアガードを2枚焼き払う能力。
だけどブレイクライドなんてしてる余裕あるのか?」
「ふんっ、俺の力を見てから言うんだな!
ウェザークロスでヴァンガードにアタックだ!!」
「悪いがその攻撃は通さないぜ!タイタノカーゴ2枚とディノダイルでガード!」
「なにぃ!?これでは攻撃が通らねえ!?」
「ガードで3枚をドロップに、そして既にドロップにはベビーレックス。
次のターンですることはおそらく双闘でしょうね。」
「行くぜ!俺のターン!スタンドアンドドロー!」

『破滅へのプレリュードが鳴り響く時、古よりの力が目覚める!
ライド!古代竜 ティラノクエイク!!
そして、シークメイト!!
共に血肉を食らいあう戦友よ、今この地に現れろ!
古代竜 ティラノバイト!双闘!!』

「さらに古代竜 イグアノゴーグを2体コール!
そしてティラノレジェンドを退却しティラノバイトをコール!
さらに古代竜 ジオコンダをコールし、スキルでダメージを表に!」
「んん?グレード2の後ろにグレード2を置いたぞ?」
「これでいいんだ!ジオコンダのブーストしたティラノバイトでアタック!」
「アンバー・ドラゴン“白石”でガードだ!」
「続けてティラノクエイクの双闘アタック!同時にスキル発動!
リアガード1体を退却しパワー+5000!
これでティラノバイトを退却!さらに双闘スキル!
ヴァンガードサークルにいるユニットと同盟カードが退却した時、
さらにパワー+5000!クリティカル+1!!」
「ブースト込みで37000で2クリティカルだと!?」
「さらにティラノバイトは退却した時、
カウンターブラストを払うことでリアガードに復活する!」
「ぬぬぬ・・・・・・プロテクトオーブで完全ガードだ!!」
「ドライブトリガーチェック!って二枚とも外れだ。
イグアノゴーグのブーストしたディノクラウドでアタック!
ディノクラウドのスキルでもう1体のイグアノゴーグを退却!
さらにイグアノゴーグもティラノバイトと同じく、
リアガードに復活する能力を持っている!
ティラノバイトの後ろ、ジオコンダを退却し復活だ!!」
「上手いプレイングですね。これで戦線を整えましたか。
森川君、ここはガードをしない方がいいでしょう。
ダメージが同じでパワーに違いがあるユニットの場合、
パワーが小さいほうの攻撃を防いだ方が手札は保てます。」
「うーむ、ではノーガードでダメージ・・・・・・
ヒールトリガーゲットだ!これでダメージは回復!」
「やるな、森川!ティラノバイトでヴァンガードにアタック!」
「ノーガードだ!!ダメージトリガーはなし!」
「これで俺のターンは終了だ。」
「行くぞ、俺のターン!スタンドアンドドロー!」

『たぎる炎と、その情熱を見るがいい!
ブレイクライド!!チェーンブラスト・ドラゴン!』

「ウェザークロスのブレイクライドスキル!
相手リアガードを2体退却!その後相手はデッキの上4枚を確認し、
グレード2のカードを2枚までスペリオルコールできる!
ティラノバイトとディノクラウドを退却だ!!」
「じゃあデッキの上を確認・・・・・・
よし!ティラノバイトとディノクラウドをゲット!
再び2枚をスペリオルコールだ!!」
「何を喜んでいる井崎・・・・・・
チェーンブラストのリミットブレイクスキル発動!!
手札のグレード3を2枚捨て、相手リアガードを3体退却させる!!
ティラノバイト、ディノクラウド、イグアノゴーグ!!
それぞれを退却だ!!!」
「な、何!!?」
「さらに相手リアガードが退却したことにより、
このカードは手札からスペリオルライドできる!!
クルーエル・ドラゴン!!パワーは下がるがな!
だがクルーエルはアタックした時にカウンターブラストとソウルブラストで
相手リアガード1体を退却させることができる!!
これで残ったイグアノゴーグも退却だ!!」
「お、俺のリアガードが・・・・・・1ターンで全部退却した!?」
「お前の手札はたったの4枚!切り返しはできねえだろ?」
「て、展開するカードがない・・・・・・
ティラノクエイクの双闘アタック!」
「たちかぜも退却するリアガードがいなければ力は発揮できませんからね。
このデッキの際限ない退却には相性が悪いでしょう。」
「はっはっは!そんな攻撃、手札2枚でガード出来るぜ!
そして俺のターン!!行くぞ!」

『俺様最強伝説に、新たな歴史をここに刻む!
ストライド・・・・・・ジェネレーション!!』

「マフムード!!これでヴァンガードに攻撃だ!!」
「ぐっ、ノーガード・・・・・・」
「ドライブチェック!クリティカル2枚ゲットだぜ!!」
「だ、ダメージ・・・・・・だ、ダメだ。俺の負けだ。」
「どうだ!!これが俺の新たな伝説の幕開けだ!!」
森川はどうだと言わんばかりのキメ顔で井崎を見た。
「このデッキと共に、俺は最強を目指すのだ!!
このデッキがあれば俺に敗北の文字はない!!!」

「なら僕とファイトしませんか?」

高らかに宣言した森川の背後から声が聞こえた。
その声は井崎もガイもミサキも、そして森川も聞き覚えのある声。
その声の主は世界でも指折りのトップファイター。
「す、雀ヶ森レン!?」
「な、なんであんたがここに・・・・・・?」
「遊びに来たんですよ、ミサッキー!」
「ミサキ!!このやりとりいつまで繰り返すつもり?」
「だってー、楽しいじゃないですかー。」
飄々と現れたのは雀ヶ森レン。
先導アイチ、櫂トシキと並ぶ世界有数のファイター。
「ところで君、僕とファイトしませんか?」
レンは森川の方を見て言った。
「な、なんで森川と・・・・・・」
井崎の驚きの声と表情を見たレンはにこりと笑った。
「楽しそうだから、ですよ。相手になってくれますか?」
「ふっふっふ、いいだろう!俺様が胸を貸してやる!」
「な、なんでそんなに偉そうなんだよ・・・・・・」
レンの実力と森川の実力の両方を知っている井崎は困惑した。
普通に考えて森川がレンに勝てるはずがない。
井崎は深く認識していないがレンはPSYクオリアという
カードのユニットとつながる力を持っているファイター。
またPSYクオリアを差し引いてもファイターとしての実力は高い。
そんな雀ヶ森レンを相手に、森川が勝てるとは思えなかった。
だが森川とレンは井崎をよそに、ファイトテーブルについた。
「では、いきますよ。」
「おう!行くぜ!」

『スタンドアップ・(ザ)・ヴァンガード!』

「アンバー・ドラゴン“暁”!!」
「フルバウ・ブレイブ!!」
「アンバー・ドラゴン“白石”にライド!!
スキルでアンバー・ドラゴン“黄昏”を回収だぜ!!」
「ブラスター・ジャベリンにライド!
フルバウ・ブレイブを移動・・・・・・アタック!!」
「ぐっ!俺のターン!“黄昏”にライド!アタック!!」
「では、行きますよ。僕のターン、スタンドアンドドロー。」

『殲滅せよ、我が分身!ブラスター・ダーク!』

「さらに虚空の騎士 マスカレードをコール!
2体でヴァンガードにアタック!!」
「ちぃっ、2点ダメージか・・・・・・だが俺のターンだ!
行け!ウェザークロスにライド!!
さらにチェーンブラスト・ドラゴンとクルーエル・ドラゴン!
3体でヴァンガードにアタックだ!!」
「アビス・フリーザー2枚でガード。受けるダメージは1点ですね。」
「ちぃっ、ターンエンドだ!」
「僕のターン、スタンドアンドドロー。」

『呪われし竜よ、出でて邪悪な力を振るえ!ライド!
ファントム・ブラスター・ドラゴン!!』

「さらにマスカレード、カロンをコール。
マスカレード2体とファントム・ブラスター・ドラゴン!
3体でヴァンガードにアタック!!」
「ぐっ、守り切れねえ・・・・・・!ぐおおおっ!!?」
これで森川のダメージは5点となった。
対するレンは2点。力の差は歴然である。
「や、やっぱり森川の力じゃ・・・・・・」
体を震わせる井崎にガイは言った。
「ファイトは決着がつくまで何が起こるか分かりません。
彼が何をするか、僕にも分かりません。
まだ勝負を決定づけるのは早いんじゃないですか?」
「その通り!!俺の華麗なる逆転劇はここから始まる!!
行くぜ、ブレイクライド!!クルーエル・ドラゴン!!
これでマスカレード2体は退却だ!!」
「うーん、残念です。
ブラスター・ダーク1枚だけしかグレード2はありませんでした。
では、スペリオルコール。」
「クルーエルでアタック!!スキルによりブラスター・ダークは退却!!
さらにドライブチェック!クリティカルゲットだ!!
リアガードでヴァンガードにアタック!!」
「リアガードのアタックはガードします。」
「これでお前の手札は4枚だ。もう立て直せねえ!」
「それはどうでしょう?僕のターン、スタンドアンドドロー!」

『闇を纏いて再び現れよ、我が魂の分身!ライド!
ブラスター・ダーク “Diablo”!!』

「ぶ、ブラスター・ダーク・・・・・・ディアブロ・・・・・・?」
「まだ行きますよ。ジェネレーションゾーン、解放!!」

『我に続け!痛みを誇りとせん影の騎士よ!
ストライドジェネレーション!!!暗黒騎士 グリム・リクルーター!』

「コール、虚空の騎士 マスカレード!黒の賢者 カロン!
グリム・リクルーターでヴァンガードにアタック!!」
「り、リノクロスで完全ガードだ!!」
「トリプルドライブトリガー、チェック!!」
レンがドライブチェックで見せた3枚のカードは・・・・・・
「グリム・リーパー、デズフェザー・イーグル2枚で、トリプルクリティカル!?」
「効果はすべてマスカレードへ!マスカレードでヴァンガードにアタック!
マスカレードよ、決戦に終止符を打て!」
「ぐ、ぐぬぬぬぬ・・・・・・ノーガードで、ダメージ・・・・・・
と、トリガーゲットで、できねえ・・・・・・」
「僕の勝ちですね。中々楽しめましたよ。」
「そ、そんなバカな・・・・・・俺の最強デッキが・・・・・・」
「じゃあ、僕は帰りますねー。」
「あ、待・・」
森川の引きとめ空しく、レンはさっさと行ってしまった。
「くううう・・・・・・俺の今日の運勢とこの最強デッキがあれば、
雀ヶ森レンでも倒すことができるはずだったのに・・・・・・」
落ち込む森川にガイは声をかけた。
「森川君はまだまだ強くなれるはずですよ。
今日できたばかりのデッキ、戦い方も不慣れでしょう。
そのデッキを使いこなすことができれば、
君の世界有数のファイターの仲間入りができますよ!」
「うーむ、俺にも修業が必要なのか・・・・・・」
「森川、お前ならできると思うぜ。何度負けても立ち上がるその根性があればさ。」
森川はしばらく顔を落とした。
そして顔を上げると同時に井崎に腕をつかんだ。
「よし、俺も修行だ!今こそ鍛え直す時!!
井崎、お前も手伝え!俺様最強伝説を再び作り上げるのだ!!」
「い、いいけど、どこに行く気だよ!!」
「色んなショップに行って武者修行をする!!
もたもたしていられん!いくぞ井崎!!」
そう言って森川はカードキャピタルを後にした。
森川の最強伝説は、ここから始まると思われるのであった。

登場人物紹介(あとがきを兼ねて)

森川カツミ
主人公です。G3最強の森川君です。ダイカイザーのG3特化デッキが物を言わせているというのを思い出し、且つストライドによってG3が多ければコストが多いという森川君にとってフィーバータイムのようなG3祭りだったので森川君主人公の物語を書きました。まぁディメンジョンポリスを使うと変だったのでフルバウ系統の互換がいて同じG3特化が可能なかげろうを使わせました。ちなみに採用G3カードは「炎獄封竜 ウェザークロス」「クルーエル・ドラゴン」「チェーンブラスト・ドラゴン」「ドラゴニック・オーバーロード」「ドーントレスドライブ・ドラゴン」各4枚ずつです。G3特化にする理由はチェーンブラスト以外ないとか言ってはいけません。

井崎ユウタ
森川を出す以上は出さないわけにはいかない井崎君。ついでなんで双闘軸の古代竜を使わせてみようというのがファイトのきっかけです。当初はファイト予定なかったんですけどね。ただ今回はガイさんが登場したりレン様が登場したりで影が薄くなっちゃったかなと。

臼井ガイ
なんで彼を出したのは、私もよくわかりません。ただ森川に優しく接することができて且つデッキについてのアドバイスを送れる人が他に浮かばなかったんです。本当は27日発表のイニグマン・トルネードを使わせてみたかったのですが森川君にG3の魅力を伝えさせるために特化型次元ロボを使わせることになったのでした。

戸倉ミサキ
ヴァンガードGの人妻要素たっぷりのミサキさんです。森川君に放った言葉は結構グサリとくるものでしたね。その結果として井崎君が被害にあったわけですが。

雀ヶ森レン
レジェンドデッキ販促のために登場させました(笑)といってもブラスター・ダーク “Diablo”のスキルは未公開なのでライドしただけで終わらせ、レン様が新しいカード使ってるよー程度の感覚で使わせました。レジェンドデッキの発売が待ち遠しい限りですね。ちなみに作者は4つ予約しました。色んな形のレン様デッキを作ります!

ヴァンガードG外伝 「グレートグレード3」

ヴァンガードG外伝 「グレートグレード3」

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-02-26

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work