遠い世界のよくある話

遠い昔、二つの国があった。
一つは魔術に特化した国、もう一つは武術に特化した国。
魔術の国の名前は「メルセンディス」
武術の国の名前は「バルディアン」
遠い昔は、このような国は沢山あり、当たり前のように戦争をしていた。
でもこの二つの国は珍しく争いごとは無く、協力し合い、普通の生活を過ごしていた。

だが、それは長く続かなかった。
ある時「メルセンディウス」に一人の若者が訪れた。
その若者は宿屋へ行き、店主にこう告げた。

「この国は、もうすぐ崩壊する」

それだけ言い残して、若者はいなくなってしまった。
それから一週間も経たないうちに、その言葉の意味を知ることになる。

「街が、燃えている・・・」

そう、街が強襲された。
そして、敵は「バルディアン」の者達だった。
どうして、何で、一体何があったのか・・・。
何も分からず、ただただ応戦するしかなかった。
戦いは長く続いた。
けれどやはり魔術の方が体術より優れていて、結果「メルセンディウス」の人々が勝った。
でも、それは喜ばしい勝利というわけでもなかった。
両国の関係は悪くなり、争いごとも多くなってしまった。

そんな時、あの若者がまた「メルセンディウス」に現れた。前にはいなかった若者もいる。

「やっぱり言った通り、崩壊したか・・・。向こうの国も馬鹿だなあ。」

「あんな言葉信じるなんて思わなかったけど、純粋ってことでいいんじゃない?」

向こうの国は恐らく「バルディアン」のことを指しているのだろう。
じゃあ、あんな言葉とは・・・?
でもそれについては触れずに二人の若者は話を続ける。

「でもさ、どうしてここの二つの国だけ仲が良かったんだろうねえ」

「確かに、他の国は争ってばかりだったのにそれだけが謎だな」

そんなたわいも無い話をしながら、二人は闇に消えた。
きっとあの若者達も魔術師なのかもしれない。

結局二つの国が争った理由も、何故「バルディアン」の人々が来たのかも、全て謎のまま。
全てを知っている若者達は何処かへいなくなってしまった。

これは遠い世界のよくある話。
誰も知らない、知る必要のないよくある話。
魔術と体術の国の話。

「もしかしたらあの二つの国は元から分かり合えていなかったのかもしれないね」

そんな若者の声も、遠い空へと吸い込まれていった。

遠い世界のよくある話

何となく考えていた話でした。
自分でも何を書きたかったか途中からこんがらがってましたが、何とか書ききりました。
もしかしたら若者達目線も書くかもしれません。(気が向いたらですが)
では、閲覧有難うございました!

遠い世界のよくある話

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-02-24

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