Valentine that slows a little
2月18日
雪が積もって真っ白な町の中をわたしは走る。
あの人に今年こそ思いを伝えるために・・・。
あの人めがけて全速力でわたしは走った。
彼のことが好きになったと気が付いたのは去年である。
私がマラソン大会で体調が悪かったけれど無理やり走っていた時だった。
だんだん体がきつくなり視界がぼやけてきていた。
寒くて寒くて体はがくがく震えていた。
もう走れそうにない。
でもここにいるのは自分だけで他の人はずっと前のほうにいた。
「小野さん!?大丈夫!?」
駆け寄ってきたのは写真部の波多野くんだった。
波多野君はクラスでもそんなにぱっとしない男の子で会話したのはこれが初めてだった。
「うん・・・。ちょっと具合が悪いだけだ・・・か・・・・ら・・・。」
気が付くとわたしは保健室にいた。
体を起こすと保険の先生がきた。
「小野さん!!無理しちゃ駄目でしょ~?」
「うっ・・・すいません・・・。」
「全く波多野君が運んでくれなかったら今頃どうなっていたかしらね~。先生ちょっと出るからちゃんと寝とくのよ?」
えっ?
波多野君が私を運んでくれたの?
そんな・・・波多野君は一番だったのに・・・。
そんな事を考えていると波多野君が入ってきた。
「小野さん体調大丈夫なの?」
彼はしゃがむと私のおでこをさわった。
「うん。有難う!!波多野君一番だったのに良かったの?私なんかのために・・・。」
私がそういうと彼はそっぽを向いて保健室を出て行ってしまった。
なんだか怒っていたみたいだけどいったいどうしたのだろう?
その後はやっぱり波多野君とは話さなかった。
そのうち波多野くんを目で追っている自分に気が付くと妙に恥ずかしくなった。
そのときにわたしは生まれた初めて恋をしているという事に気が付いたのである。
だから今年こそはふられてもいいから告白しようと思って今波多野君を追いかけている。
「はっ・・・波多野君!!」
私が大きな声で呼ぶと彼はびっくりした様子で後ろを向いた。
「おっ・・・小野さん?どうかした?」
私は波多野君の近くまで行くと決心をして言った。
「私は・・・・あの日からずっとずっと波多野君の事が好きです!!っだ・・・大好きです!!
だから良かったら付き合ってください!」
波多野君はとても驚いていた。
それから顔を真っ赤にしてうつむいた。
耐え切れなくなった私が
「返事・・・いつでもいいから・・・」
といって立ち去ろうとした時だった
「待って。返事は今するから・・・。」
それから彼は息をいっぱい吸い込むと真面目な顔でこういった。
「はぁ・・・。一回しか言わないから良く聞いて。
僕も君の事が好きだ。」
「マラソン大会のときからずっと好きだったんだ。
だいたい好きでもない人を僕は助けるほど優しくない。
君だから助けたんだ。」
すごく驚いた。でも嬉しかった。
「ありがとう。波多野君!!」
彼は恥ずかしそうにうつむくと手を私の前に差し出して
「さぁ・・・風邪引くから帰ろう?」
「うんっ!!」
私たちのところに訪れた少し遅いバレンタイン。
Valentine that slows a little...
Valentine that slows a little
ええっとこれは中学1年生の頃に友達からリクエストされて書いた短編小説ですね・・・。
告白以上に恥ずかしいです。
乱暴で速い展開でしたが楽しんでいただけたでしょうか・・・?
それでもこのお話がなにか皆さんの心に残る話であることを願って・・・。