亡くなった忘れ物

亡くなった忘れ物

月華 作

「死ぬ」って何?
君はそう言っていなくなった
最期まで笑ってたね「これでやっと分かる」って
忘れっぽい私をずっと支えてくれてた
もしかして
私に疲れちゃったのかな

ふと下の水溜まりに目を落とす
映っていたのは君だった

いつも一緒にいられるね
ずっ見守る事ができるね
あの時の様に君は笑っていた
目から涙が落ちた
水溜まりが揺らいで
また君が消えた

私が亡くした忘れものは記憶(わたし)から綺麗に無くなってしまうから
還ってきて

踏切の向こうに立つ
君の事が思い出せなくて
「君は誰?」と聞いても
首を振って答えない

いつしか私は君を忘れていた
思い出なんか もう無くて
普通に日々を過ごしてた

ふと踏切の前に立つ
誰かに肩を叩かれた
振り向くと
「これ、忘れ物ですよ」
青年が言った
その手には淡い光
光に触れる
彼は笑って消えていった

私は全て思い出した
君が届けてくれた「忘れ物」
忘れっぽい私にわざわざ来てくれた
でも君がいなくなるのは寂しいよ
ずっと一緒にいられてもすぐ隣にいてほしいから
同じ世界で「生きたい」から

工事で開いてるマンホールの中を覗いた
ここが君の世界の入り口なんだ
君に会いに
穴に飛び込んだ

亡くなった忘れ物

私のお友達、月華さんの第二弾です(笑)

亡くなった忘れ物

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-02-21

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted