青春かんづめ。

青春は、私を楽しませる。

青春は、私を笑顔にする。

青春は、私を悩ませる。

青春は、私を泣かせる。

でも 青春は、私を決して裏切らない。

ひとりのターゲット

「え、次はマリナがハブられてんの?」

お弁当の匂いが充満した、騒がしい教室の隅の席でサエが呟くように言う。

「そうみたいだね」

マリナが一人弁当をしているのに、だれも近づこうとしない。

見てもすぐ目をそらして、自分の仲のいい友達と会話をする。

毎日ビクビクしながら友達とやり過ごし、くだらない悪口にも付き合い、トイレに付き添うのにも断ることができない暗黙のルール。
それを破った者が、明日から仲間外れにされる。

自分じゃなくてよかった。


結局思うのはそれだけだった。

「まぁ、別にうちらには関係ないからよくね?」
「それな」
どこからか聞こえる話し声。

私はボーッとしながらクラスを眺めた。

マリナはどう思っているんだろう。



そんなのどうでもいいか。



結局は自分さえ不幸にならなければいいのだから。

青春かんづめ。

青春かんづめ。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 青年向け
更新日
登録日
2015-02-20

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