現実逃避

衝動に任せて書いたものだけ

私の中のヨシノさん

人嫌いの 男嫌いの 恋愛嫌い
私は人との関わりは好きません
最小限に抑えます

寂しくは無いわ
私の中にはね 小さなヨシノさんが居るんですもの

ヨシノさんは私の友達 相談相手 恋人
何を聞いても応えてくれる

ねえ、お夕飯は何にする?
そうだな、オムライスがいいな とヨシノさん

オムライスの卵の味付けは どのようにしますか?
どのように、とは? とヨシノさん

私はとびきり甘くするのが大好き ヨシノさんは?
甘く? 驚くヨシノさん

私はね 卵はおかずにならないと考えています
だから卵焼きもとびきり甘く
あ、でも目玉焼きは甘くしないのですよ
でも普通の人は甘くしないので ヨシノさんのも甘くしないでおきましょうか


毎日の会話
自分との対話

現実からの逃避
不安からの逃走

うらめしや

 全てが恨めしかった。
真っ直ぐ歩くこの道は毎日の繰り返し。何もない。退屈だ。

道端の生垣に狂ったような色の鮮やかな花が咲いていた。
憎らしい程に咲くそれの名前は、確かツツジだったと思う。確か……。
見る人が見れば美しいと感じるのだろうけど、今の私には到底そうは感じられない。

また別の道端に花が咲いていた。
椿の花が首から転げ落ちて、地面に色を変えて腐敗していた。
ああ、椿の死骸が転がっている。
腐って、ぐちゃぐちゃになって、その頭上で綺麗に咲く椿とは裏腹に。

私はこうやって死んでいくんだろうか。
そもそも今の私がそれなのだろうか。

空がやけに青々と澄んでいる。

恨めしい。心底虚しい。

宝石をくれる人

貴方の生み出すものは、愛おしくも綺麗で美しく尊い。

あの日初めて観た貴方は独特なヘアスタイルの剣士でした。
侍嫌いのお侍。刀嫌いの剣士様。
あの簪の持ち主に嫉妬して、あの娘になりたいと思ってやまなかった。

次に観た貴方は紫色の蝶々で。
中性的な言葉遣いと身のこなし、奇抜な格好、丸眼鏡。
私は一瞬で恋に落ちて、心を奪われた。

ごく普通の男性、ということもありました。
愛しい人を想い貫く。けれどそれは決して善良な手段では無かった。
けれどね、貴方の気持ちは痛い程に刺さったのです。

ある時はアイドルで。
設定すらよく分からない偶像化された貴方を観て、笑ってはときめきを隠せなかった。
あの時の可愛らしい仕草は今も心の中で渦巻いています。

かの有名な歴史上の人物、そんな時もありました。
貴方の死は辛く苦しく悲しかった。
「死なないで」ずっと心の中で叫んでいた。
届かない声、届けられない声を、ずっと、ずっと。
貴方を観て涙が止まらなかったのは、その日が初めてでした。

この間観た貴方は刑事さんでした。
たった一言の台詞。
それでも私は楽しかったのです。

貴方を観ているとね、宝石箱の中に居るようなのです。
きらきらと煌くものの中に飛び込んで、一つずつ大切に自分の宝箱にしまい込む。
そんな作業を続けているような気がします。

毎回楽しくて、毎回嬉しくて、毎回幸福な時間を与えてもらう。

私はね、本当に幸せなのです。
貴方を遠くから見つめることが出来て、この広い世界で貴方に出会えて。

今度はどんな宝石を私にくれるのでしょうか。

これからもずっと、楽しみにしています。

現実逃避

現実逃避

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-02-20

Copyrighted
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  1. 私の中のヨシノさん
  2. うらめしや
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