ヴァンガードG外伝 「三匹の龍は吼える」
カードキャピタルの常連3人組『トリニティ・ドラゴン』。
自称カードキャピタルナンバー3ファイターでオラクルシンクタンク使いの多度ツネトをリーダーとしており、
3人で協力してクエストをこなしている。
そして今日もまた、トリニティドラゴンはクエスト解決に奔走していた。
トリニティドラゴンの参謀、山路カルは一人でカードショップにいた。
ショーケースの中にあるカードを一枚一枚念入りにチェックしている。
「う~ん・・・・・・このショップにはなさそうですね。」
カルはすぐに携帯を取り出し、文章を打った。
山(ショップ・エニグマにはありませんでした。そちらはどうですか?)
その文章を投稿した数秒後、リーダーのツネトから返信が来た。
多(カードショップ『イズモ』にもなかったぞ。)
山(レアカードですからね。イズモの近くにはショップ『クロガネ』がありますよ。)
多(よっしゃ、俺はそこに行ってみるぜ!)
「よし、僕はこの付近にあるショップに行きますか。」
カルはカードショップ・エニグマから小走りで出て行った。
チーム『トリニティ・ドラゴン』が今日受けた依頼は、
『シャングリラスター コーラル』のカードをショップで購入することだった。
依頼者は小学生で近くにあるカードショップに欲しいカードが売っていないため、
他のショップで見つけ次第買ってきてほしいというもの。
この依頼を引き受けたトリニティ・ドラゴンは手分けして付近のカードショップを探していた。
カルは手分けして探している多度ツネトと長良ケイに近隣のカードショップの場所を教えつつ、
自身も付近のカードショップでリストをチェックしていた。
しかしこの捜索活動も既に3人で7軒回っているが1軒も目的のカードを置いていない。
しかしクエストクリアのポイントのため、彼らはめげることはなかった。
カルは付近のショップを持っているタブレットで調べた。
すると付近に一件、まだメンバーのだれも行っていないショップがあるのに気づいた。
「こんなところにもあったんですね。できてから数年以上経っているようですし、
もしかしたらコーラルのカードを置いてるかもしれません!」
カルはすぐにショップの位置を割り出し、足早に向かった。
向かった先にあったショップを見た瞬間、カルは何かを感じ取った。
ただそこにカードショップがあるだけなのに、何か豪快なオーラのようなものを肌で感じ取れたのだ。
「も、もしかしたら、有名なファイターがいるのかもしれません。皆に知らせなきゃ!」
山(僕の前にあるカードショップ、期待できるかもしれません)
多(何?本当か!?)
山(肌に感じるようなオーラ、これはかなり期待できますよ!!)
多(分かった!俺もすぐに行く!先に店に入ってろ!)
長(俺も、行く。)
山(了解です!)
カルはそれだけメッセージを残して、カードショップに入っていった。
中に入ったとたん、いきなり赤いバンダナを巻いた大柄の男に声をかけられた。
「おお、初めて来た客だな?」
「は、はい。あの・・・・・・」
「ようこそ、カードショップ『男前』へ!俺は大文字ゴウキ!よろしくな!」
ゴウキはそう言って、自分の大きな手をカルの前に伸ばした。
「あ、山路カルです。よろしくお願いします。って、大文字・・・・・・」
カルはとある人物が頭によぎった。破天荒で身勝手さを感じさせる同級生を。
「おう、大文字ゴウキだ!名前で呼んでくれて構わんぞ。堅苦しいのは嫌いだからな!」
ゴウキはカルの肩を強くたたいた。強烈な痛みにカルが悲鳴を上げたことは言うまでもない。
「っっ・・・・・・!あ、あの、ゴウキさん。実は聞きたいことが・・・・・・」
「言わなくても分かっている。」
「え・・・・・・?」
「俺たちのチーム『男前』に入りたいんだろう?」
「い、いやそういうわけでは・・・・・・」
「何も言わなくていい!見た目は華奢だが、筋は良さそうだ!その資格は十分ある!」
カルはどうにかして理解を得ようとしたがゴウキにその思いが届くことはなかった。
「よぉし!早速特訓だ!さぁ、お前のデッキを出せ!俺が力を試してやろう!」
「い、いや、あの、その・・・・・・」
「さぁどうした!生半可な覚悟では、真の男前にはなれんぞ!」
何を言っても聞きそうにないことを理解したカルは、仕方なくデッキを出した。
「やる気になったな。行くぞ!」
『スタンドアップ・ヴァンガード!!』
「スケルトンの切り込み隊長!」
「イニグマン・フロー!!」
「ほぉ、ディメンジョンポリスか。だが俺のグランブルーに勝てるかな?
ライド!伊達男 ロマリオ!!」
「イニグマン・リプルにライド!イニグマン・フローの効果でイニグマン・ウェーブを手札に!
イニグマン・リプルでロマリオにアタック!」
「くっ!俺のターン、ライド!ルイン・シェイド!アタック時にデッキから2枚をドロップ!」
「イニグマン・ウェーブにライド!アタックです!」
「ライド!七海覇王 ナイトミスト!!」
「ライド!イニグマン・ストーム!!ヴァンガードにアタック!!」
「ダメージチェック、ヒールトリガーゲット!!」
「ターンエンドです。」
「俺のダメージは3枚か。ナイトミストのブレイクライドはまだ使えない。
普通ならな!コール!ブルータル・シェイド!」
「そ、そのカードはリミットブレイクを・・・・・・!」
「そう、4ダメージ以下でもリミットブレイクを解放させるカードだ。」
「でもこのターンのライドフェイズは終わって」
「ライドフェイズは終わっている・・・・・・が!
ドロップの流氷剣士 ナイトスノウのスキル発動!!
カウンターブラスとソウルブラスとで、ドロップゾーンから
このカードにスペリオルライドすることができるのだ!!」
「うぐっ、リミットブレイクは解放されている・・・・・・」
「その通り!スペリオルブレイクライド!流氷剣士 ナイトスノウ!
そしてナイトミストのスキル!海中散歩のバンシー2体をドロップからスペリオルコール!
さらにルイン・シェイドをコール!海賊の一撃に沈め!
ナイトスノウ!ルイン・シェイド!!アタック!!!!」
「うわあああああ!!」
ダメージ差を3枚も付け、ファイトはゴウキの圧勝だった。
「まだまだ戦い方は未熟だな。もっと精進することだ!」
「つ、強い・・・・・・」
「まあ悲観することはない。お前も成長できるんだからな!」
その時だった。突如カードショップ『男前』の扉の開く音がした。
「ん?新たな志願者か?」
「ツネトさん来たのかな?」
しかし店の中に足を踏み入れたのはツネトではなかった。黒みがかった青の長髪。
それが顔を蔽い隠している、不気味極まりない男だった。
「俺は大文字ゴウキだ!お前の名前は?」
「僕は伏見ジュウシロウ。耳にしたことはありませんか?」
「伏見・・・・・・?どこかで聞いたことがあるな。」
「まぁ、本名よりも売れてる名前がありますからね。『ハンター』っていう・・・・・・」
「ハンターだと!?」
ゴウキは表情をこわばらせた。
「ご、ゴウキさん?ハンターって・・・・・・」
「噂でしか聞いてはいないが、ショップに来てはその店の強豪ファイターを打ち破るらしい。
その後敗北したファイターに罵詈雑言を浴びせ、ファイターの心を折るのだ。
そしてその店のファイター全員の心を折り、ショップの経営を危ぶませる。
最終的には自分たちの融資で廃業寸前にしたショップを維持させ、傘下に加えるらしい。
そのショップはファイターを貶める悪党の巣窟になる、と。」
「ひ、ひどすぎます!」
「まぁ、人間生きていくためにはお金が必要なんですよ。
今世界中でなくてはならない存在となっているヴァンガードは良い商売道具ですよ。
ショップを構えるだけでファイターが群がる。
そいつらに強制的に高額カードを買わせれば、私が自由に使えるお金も増える。」
「貴様・・・・・・ヴァンガードを金もうけの道具にしか考えていないのか!!」
「ええ。その金もうけも続けなければすぐに終わってしまう。さて、大文字ゴウキさん。
私の正体を知った時点でお察しかと思いますが、このお店を譲ってもらえませんかねぇ?」
「ふざけるな!!貴様のような小汚い悪党に、このカードショップ『男前』は譲らん!!」
「ならファイトで決着をつけましょうか。あなたの心を砕けば、返事も変わるでしょう。」
「望むところだ!!姑息な悪党に、海賊は負けん!」
「では、始めましょうか。」
『スタンドアップ・ヴァンガード!!』
「スケルトンの切り込み隊長!」
「スパークキッド・ドラグーン!」
「先攻は俺だ!伊達男 ロマリオにライド!」
「ライド、必殺の抹消者 オウエイ!アタック!」
「ぐっ、ライド!三ツ星シェフ ピエトロ!アタックだ!」
「ライド、妖剣の抹消者 チョウオウ!スパークキッドのスキル、カウンターブラスト。
デッキから抹消者 ドラゴニック・ディセンダントを回収。アタック!」
「ぐあっ!っ、俺のターン!ライド!七海覇王 ナイトミスト!
さらにイービル・シェイドをコール!アタックだ!!」
「ドロップを増やし始めましたか。私のターンです。ライド!
絶望の雷の前に為す術ない弱者をいたぶれ!ドラゴニック・ディセンダント!
さらに、ジェネレーションゾーン解放!!ストライドジェネレーション!
絶望に打ちひしがれる者に、更なる絶望を!雷龍騎士 ゾラス!!」
「何!?ゾラスだと!?」
「分かってますね、ゾラスのスキル。アタックがヒットすれば
相手は自身のリアガードを退却させ、その後ドロップから2枚をバインド。
グランブルーにとってドロップがバインドされるとはどういうことになるのか。
ゴウキさんほどのファイターならお分かりでしょう?
さぁゾラスよ!海を制する覇王を沈めろ!バニッシュ・ボルテックス!」
「通すわけにはいかん。突風のジン、完全ガード!」
「防ぎましたか。しかしいつまで続きますかねぇ。」
「俺のターン。コール、流氷剣士 ナイトスノウ!
さらにナイトスノウに上書きし、ブルータル・シェイドをコール!」
「ナイトスノウをドロップゾーンにおいて、ブルータル・シェイドをリアガードにおいた!
さっきゴウキさんが見せたスペリオルブレイクライドのコンボだ!」
「俺たちの行く手を阻むなら、たとえ龍でも薙ぎ払うのみ!
スペリオルブレイクライド!流氷剣士 ナイトスノウ!!
ナイトミストのスキルでドロップから海中散歩のバンシーとコラプトドラゴンをコール!
バンシーのスキルでカードをドロー、さらにコラプトドラゴンのパワー+3000!」
「2枚しかないドロップゾーンをここまで有効活用するとは。
さすが大文字ゴウキ、といったところでしょうか。」
「そんな心にもない誉め言葉をもらったところで嬉しくもない。
行くぞ、コラプトドラゴン!ナイトスノウ!アタックだ!!」
「しかし強力なパワーも、完全ガードの前には無力ですよ。ガルドで完全ガード!」
「ぐっ!!ターンエンドだ!コラプトとバンシーは再びドロップへ。」
「私のターン、再びストライド!雷龍騎士 ゾラス!
さぁもう一度、この攻撃を防いでみてください!
ライジング・フェニックスがブーストした、ゾラスでアタック!」
「パワー31000か。悪霊砲弾、ナイトスピリット、荒海のバンシー!」
「ゴウキさんのナイトスノウはパワー41000!
トリガー2枚が出なければ攻撃は通りませんね!」
「おやおや、さすが荒くれの海賊。気づいていないのですね。
私はさっきからトリガーユニットを引いていないことを。
ドライブチェック!クリティカルトリガー!効果はゾラスへ!
セカンドチェック!再びクリティカルトリガー!効果はゾラスへ!
さらにサードチェック!クリティカルトリガー!効果はゾラスへ!」
「トリプルクリティカルトリガー!?」
「ぐっ・・・・・・4点ダメージだと!?」
「一枚でもヒールトリガーが出れば生き残ることはできます。
まぁ、生き残ったところでゾラスのスキルでバンシーもコラプトも消えますがね。」
「ダメージチェック・・・・・・4枚とも外れ、俺の負けだ・・・・・・」
「ふはーはっはっはっ!笑えますねえ!豪傑の海賊が一瞬で散りましたよ!
所詮は海賊など海の上で暴れるのみ、陸じゃただの人なんですよ!!」
「ぐっ・・・・・・!!」
「さて、そこの少年。」
伏見はカルの方を見た。
「君はどうするんですか?僕とファイトしますか?」
「カル!お前は手を出すな!こいつは強い!」
「いえいえ、お誉めにあずかりましたが僕はまだまだですよ。
ねぇ。倉田さん、秋川さん?」
伏見のその言葉に合わせ店に2人が入ってきた。
一人はオレンジ色の長髪に黒のコートを着た女。
もう一人は緑色の短髪に黒のジャケットを着た男であった。
「こちら、私の上官。女性の方は倉田キクコさん。男性の方が秋川シゲルさんです。
ファイトの腕前は私などよりもはるかに上です。
仮に少年が私を倒したところで、意味がありますでしょうかね?
それに倉田さんも秋川さんも気が短いんです。
私とあなたがファイトしている最中に店の乗っ取りを始めてしまうかも。」
「ぐっ、卑怯な奴らめ・・・・・・」
「さぁ、どうするんですか!ゴウキさん、少年!!」
ブブーッ!
伏見が声を上げた瞬間、カルの持っていたタブレットが振動した。
「こ、これは・・・・・・!」
カルの目にタブレットに移された文字が映った。
多(戦うしかねえだろ!)
山(うん。)
多(もちろん、カル一人で戦わせねえ!)
多(トリニティ・ドラゴンの力を見せてやるぜ!!)
その文字が目に映った数秒後だった。店の扉が開いた。
「お前らの好きにはさせねえぜハンターども!」
「カル、大丈夫か?」
「つ、ツネトさん!ケイ!」
店に入ってきたのはツネト達だった。
「お前らが3人なら、俺たちも3人だ!カル!ケイ!戦うぞ!
俺たちトリニティ・ドラゴンの力、あいつらに思い知らせてやる!」
「は、はい!ツネトさん!」
「やろう。」
「倉田さん、秋川さん。ああ言っていますが、いかがいたしますか?」
伏見は倉田と秋川の方を向いた。
「子どもたちに現実を突き付けるのが大人の義務でしょ、伏見君?」
おだやかな口調ながらもドスの効いた声で伏見に説いた。
「ガキが大人に逆らったらどうなるか、たっぷり教えてやるのさ。」
秋川はそう言って腕をパキパキと鳴らした。
「と、いうことですトリニティ・ドラゴンの皆さん。
私たちの邪魔立てをするなら、今ここで潰して上げますよ。」
「そう簡単にはいかないぜ!お前のリーダーはどいつだ?
トリニティ・ドラゴンのリーダーの俺が直々に倒してやるぜ!」
「威勢のいい子ね。シゲル、伏見君。この子は私が相手するわ。」
「勝手にしろ。なら俺はそこのデカいガキだ。
伏見、お前はそこのチビをやれ。」
「おおせのままに。では、いいですね?」
6人はそれぞれファイトテーブルについた。
『スタンドアップ・ヴァンガード!』
「神宮衛師 ハヒキ!」
「イノセント・マジシャン!」
「ドングリ・マスター!」
「デビル・イン・シャドー!」
「イニグマン・フロー!」
「メカ・トレーナー!」
トリニティ・ドラゴンの使用デッキはツネトがオラクルシンクタンク、
ケイがグレートネイチャー、カルがディメンジョンポリス。
対するハンターは、ツネトの相手である倉田はペイルムーン、
ケイの相手の秋川はダークイレギュラーズ、
そしてカルの相手である伏見はスパイクブラザーズである。
「行くぜ、神宮衛師 ツナガイにライド!!」
「ミッドナイト・バニーにライド、アタック!」
「シルバー・ウルフにライド!」
「ライド!アモンの眷属 フウ・ジンリン!アタックだ!」
「イニグマン・リプルにライド!」
「ワンダー・ボーイにライドだ!そしてアタック!!」
「神宮衛師 アスハでアタック!!」
「ニトロジャグラーでアタック!」
「バイナキュラス・タイガーでアタック!」
「アモンの眷属 ロン・ジンリンでアタック!」
「イニグマン・ウェーブでアタックです!」
「シルバー・ブレイズでアタック!!」
「我が意のままに暴れろ!覇天戦神 スサノオにライド!」
「妖艶の笑みですべてを魅了せよ!クラッキング・ビーストテイマーにライド!」
「ライド!名物博士 ビッグ・ベリー!!」
「無限の力を持って、すべてを闇に帰すがいい!ライド!アモンの首謀者 アスタロト!!」
「己の信念をその胸に抱け!イニグマン・ストーム!!」
「ライド!雑兵を意のままに介し、勝利に導け!ブラッディ・オーグル!!」
6人のヴァンガードのグレードが3になった時点で、ファイターとしての差は垣間見えた。
トリニティ・ドラゴンの3人のダメージは既に全員が4となり、ハンター達のダメージは全員3である。
「これでダメージはあんたら全員敗北の圏内よ。」
「なめたガキどもにはきっちり仕置きしねえとなぁ!」
「まだまだオツムが足りないんじゃないですか?」
「ぐっ、まだファイトは終わってねえ!!俺のターン、スタンドアンドドロー!
ストライドジェネレーション!天翔ける瑞獣 麒麟!アタック!
クリティカルトリガーもゲットだぜ!!」
「2ポイントダメージ、か。」
「ビッグ・ベリーでヴァンガードにアタック!俺もクリティカルゲット。」
「ほぉ、まだ粘るじゃねえか。ダメージチェック。トリガーはなしだ。」
「イニグマン・ストームでアタックです!クリティカルトリガーゲット!」
「やりますね。では2ポイントのダメージです。」
「見たか!俺たちトリニティ・ドラゴンの力を!!」
ツネトは拳を強く握った。
しかしハンター達はそれを見てあざ笑うかのように言い放った。
「見せてもらったけど、所詮は子供のお遊戯ね。」
「悪ぃが大人は忙しいんだ。ガキとの遊びも終わりだぜ。」
「私たちにも仕事がある。早めに終わらせてもらいますよ。」
『『『ファイナルターン!!』』』
「なにぃ!?ファイナルターンだと!?」
声を上げたのはツネトだがカルとケイも驚愕や困惑の表情を見せた。
「血肉を求めし獣を我が元に!」
「絆よりも固き契約で結ばれし者よ、我に力を!」
「我が指揮に従順なる力よ、今こそ勝利への布陣を築け!」
『『『シークメイト!!!!』』』
「バーキング・スカイタイガー!」
「魔界侯爵 アモン!!」
「フローズン・オーグル!!」
『『『双闘!!!』』』
「クラッキング・ビーストテイマーの双闘スキル!
ソウルから3枚まで、ユニットをリアガードにスペリオルコール!!さらにパワー+9000!!」
「双闘していて、さらにパワーアップだと!!?」
「アスタロトのソウルは16枚。よってアタックパワーは37000!!
さらにソウルが10枚あるためクリティカル+1!!」
「すごい、パワーとクリティカル・・・・・・」
「ブラッディ・オーグルが双闘したターン、アタックしたリアガード達は
全員パワーが+5000となります。さて、どうなることやら。」
「僕の手札は7枚、そんなパワーの攻撃、受けきれない・・・・・・」
「行きなさい、クラッキング・ビーストテイマー!!!」
「ねじ伏せろ!アスタロト!!」
「雑兵ども、そしてブラッディ・オーグルでアタック!!」
「ぐあああああああ!!!」
「うわああああああ!!!」
「ぎゃああああああ!!!」
ツネト達に与えられたダメージは2ポイント。
既に与えられた4ポイントと合わせ、6ポイント。
「あーあ、つまんなかったわ。」
「ま、ガキにしちゃ上出来だが、所詮ガキはガキだ。」
「大人になってから出直してきてほしいものですねぇ。」
ヴァンガードでは6ポイントのダメージを受けると敗北である。
しかしその敗北とは6ポイント目のダメージを受けた時、
ダメージゾーンに6ポイントのダメージが溜まった時に敗北が決する。
つまり、ダメージゾーンが6枚にならなければ敗北とはならない。
「ゲット!」
「ヒール!」
「トリガー!」
3人それぞれの手に握られていたのはヒールトリガー。
6点に入る前のヒール、つまりダメージゾーンのカードの枚数は5枚でとどまったのだ。
「なんですって!?」
「3人全員がか!!?」
「し、信じられない!」
「お前らのターンは終わりみたいだな。行くぜ、カル!ケイ!」
「はい!」
「うん!」
『『『ジェネレーションゾーン、解放!!』』』
『今こそ我らの前に来たれ!』
『大いなる宇宙から!』
『雄大な自然から!』
『気高き聖域から!』
『『『その運命を我らのもとに!!』』』
『『『ストライド・・・・・・ジェネレーション!!!』』』
「雷鳴の剣神 タケミカヅチ!!」
「超宇宙勇機 エクスローグ!!」
「永世教授 フェニキアクス!!」
「双闘しただけじゃ手札は増えねえ!さらにそのリアガードの展開量!
Gユニットの攻撃に耐えられるのかな~?」
「ぐっ・・・・・・!」
「タケミカヅチ!」
「エクスローグ!」
「フェニキアクス!!」
『『『ヴァンガードにアタック!!!』』』
「トリガー3枚でガード!」
「これでトータルは41000!!」
「トリガー3枚を引かなければ勝利は・・・・・・」
「ドライブトリガーチェック!クリティカルトリガーゲット!
セカンドチェック!クリティカルトリガーゲット!
さらにサードチェック!クリティカルトリガーゲットだ!!」
「俺もクリティカル3枚ゲット。」
「僕も3枚のクリティカルをゲットです!!」
「な、なんですって!!?」
「3人全員がクリティカルだと!!?」
「あ、ありえない・・・・・・」
『『『ぎゃあああああああああああああ!!!!』』』
ハンター達のダメージゾーンのカードは6枚。
トリニティ・ドラゴンの見事な逆転勝利である。
「見たか!これが俺たち、トリニティ・ドラゴンの実力だ!!」
「ぐぅ、み、認めないわ!あんなの運が良かっただけじゃない!!」
「6点ヒールにトリプルクリティカルなんざ、実力でもなんでもねえ!」
「そ、それにこのショップのトップである大文字ゴウキを倒せばあなたがたなど・・・」
「なら、もう一度俺とファイトするか?」
膝をついていた状態の伏見に、ゴウキは再びファイトを申し込んだ。
「ふ、ふははっ、あなた相手なら確実に勝てますよ!!」
『スタンドアップ、ヴァンガード!!』
「スパークキッド・ドラグーン!!」
「キャプテン・ナイトキッド!!」
ファイトは順当に進み互いがグレード3になる。
伏見の頭の中ではそのシナリオがあった。しかし、違った。
「ブルーブラッドでディセンダントにアタック!!」
「ぐぅぅ!!は、早い!?もうダメージが5枚に!?」
「お前たちがカル達とファイトしている間、調べさせてもらったぞ。
お前たちはショップを襲う際、そのショップの常連強豪ファイターを調べるらしいな。
負けた奴らは揃って言う。『相性がとことん悪かった』とな。
俺の時もそうだ。ダメージを溜めこまないといけない俺のデッキの特性と
ドロップを削られてはならないグランブルーの特性、その二つを弱点と見極め、
それを徹底的にいたぶる戦い方をお前は取った。
つまりお前たちのファイトスタイルはメタゲームと呼ばれる、
特定のデッキへのカウンター。それが分かれば簡単だ。
お前たちの情報と違うデッキでファイトすれば軽く倒せる。」
「きっ、貴様あああああ!!!」
「相手に合わせなければファイトができん奴は、ファイターにはなりえん!
俺を本当の意味で倒したければ、真のファイターとなって出直せ!!
ブルーブラッド、ヴァンガードにアタックだ!!」
「ぎ、ぎええええええええええ!!!!!」
先ほどのファイトでの天敵ゾラスに超越させることなく、
ヴァンガードがグレード2のままゴウキは勝利した。
伏見が敗北し、振り返った時点で倉田と秋川は逃げていた。
伏見もそれを理解し、さっさとショップから逃げ去ったのだった。
「お前たち、礼を言うぞ。おかげでこの店だけじゃない、
近隣のカードショップの平和も守ることができるようになった。」
「いやぁ、それほどでも・・・・・・ありますよぉ!」
「はっはっは、威勢の良さも武器のうちだ!」
「あ、あのゴウキさん!お聞きしたいことがあるんですが・・・・・・」
カルはファイカを手に取り、ゴウキに見せた。
「実はクエストで、シャングリラスター コーラルのカードを探してるんです。
この店に置いてはいませんか?」
「コーラルか。バミューダのカードならこっちのケースにあるはずだ。
ちょっと待ってろ。」
ゴウキはケースの中を見渡した。そしてカードを見つけるとケースを開け、
中からそのカードを取り出した。
「ほら、シャングリラスター コーラルだ。」
「ありがとうございます!えーと、いくらですか?」
「金はいらん!店を守ってくれた礼だ!取っておけ!」
「マジっすかぁ!?ありがとうございます!」
「あぁ、そうだ。お前たちにこれもやろう。」
ゴウキはそう言って棚から取りだしたものを3人に渡した。
それはゴウキが巻いている赤いバンダナだった。
「チーム男前のトレードマークだ。お前たちは男前を守ってくれた、
立派な『男前』だ!取っておけ!」
ツネトとケイは困惑した表情でバンダナを受け取った。
しかしカルは違った。勇ましい表情でバンダナを受け取り声を張ってお礼を言った。
その後トリニティ・ドラゴンはカードを届けるため、男前を去ったのだった。
登場人物紹介(あとがきを踏まえて)
山路カル
トリニティ・ドラゴンの参謀であり、近作の主人公でした。といってもツネトが来てからはやっぱり見せ場を譲る羽目になってしまいましたね。最もツネトをリーダーとするトリニティ・ドラゴンのためにひたむきに頑張るというのがカル君が一番かっこよさを発揮できる所かなとも思いました。ちなみに使用クランのディメンジョンポリスは新春トリオファイトで声優さんが使っていたそうなのでイニグマンを使わせてみました。カルの使用クランが明示されるのはいつになるのやら。
多度ツネト&長良ケイ
チーム『トリニティ・ドラゴン』の二人です。ケイ君は小説で書く時難しいです。表現が難しいので。逆にツネトはびっくりするぐらい書きやすいです。今作ではとてつもなく目立った登場をしましたね。最初はLINEの会話、登場するときはカルのピンチ。どこのヒーローだお前はと突っ込みを入れたくなる活躍ぶりでした。全員6点目ヒールトリガーと3人合わせてのストライドジェネレーションは良いシーンだったかなと思っています。
大文字ゴウキ
チーム『男前』のリーダー、見た目も心意気もまさしく男前なゴウキさんです。Gの時系列では何をやっているのか分からないのでとりあえず第1~4期のゴウキさんをイメージして書きました。ナギサちゃんがGになってからも熱くなると人の話をあんまり聞かない子だったのでゴウキさんはさらにグレードアップできるんじゃないかとか思いました。最後の方のグレード2で超越封じは実際に自分が大会でやられたことだったので、ゴウキさんにも使いこなしてほしくて書きました。
伏見ジュウシロウ・倉田キクコ・秋川シゲル
カードショップを獲物とする「ハンター」の3人。モデルは漫画『遊戯王R』に登場したストアブレイカーというカードショップを食い物にするメタデッキ集団です。このお話も『遊戯王R』のその話の流れを意識しました。奪ったカードで組まれたデッキはプレイヤーを助けない、という考え方を意識してトリニティ・ドラゴンに6点ヒールを。ハンターには6点ダメージを。という展開をしてみました。カードで大事なもの?それは、心です。
相変わらずファイト描写が雑ですが、それは指摘しないでいただきたい。それ考えると一作の製作時間が何十時間と増えるんですよ。一手一手を読み続けるガチファイトではなく、ファイト展開や切り札ユニットで魅せるファイトを意識しているので雑になりがちなんですね。ただファイト中の会話や掛け合いくらいはもう少し入れてみようかなとも思います。次回はキャラ未定ですが何か考えてみたいと思いますので、次回もよろしくお願いします。
ここまで読んでくださいまして、本当にありがとうございました。
ヴァンガードG外伝 「三匹の龍は吼える」