root rot *製作途中*
1
仁泰はこの2ヶ月とういうもの、休み時間、授業のときでさえ美葉を見つめていた。
どうしても目が離せない。自分では一目惚れとは気づかなかった。
名前、声、仕草、表情、全てが仁泰の心を掴んで離さない。
初めてだった。仁泰は中学2年生にして人生で最高の人を見つけてしまったのだ。
新学期になり、部活にも慣れ、彼女もいたが、その出会いはその全てに勝るほどだった。
しかし彼女を手に入れたいとは思わなかった。自分では絶対に届かない存在だと思った。
どうにかして友達になりたい、それで精一杯だった。
クラスではアメーバピグが流行っていた。クラスの女子に誘われやってみると案外楽しかった。毎日、クラスではピグの話題でもちきりだった、そんなある日、美葉もピグを始めたことを知り、仁泰はピグを教える名目で美葉とメールアドレスを交換した。
その夜のことはあまり覚えていない。ただ一つだけ覚えているのは、返信が返ってきたことが嬉しすぎて友達に勝手に報告していた。その夜から美葉とのメールが始まった。
2
決して多いわけではなかった。内容もクラスで起きたことなど他愛もないことばかり、それでもメールが続いているということが仁泰にとって特別で、十分すぎるほどの進展だった。そんなやりとりを続けてるうちに、二人はクラスでも話すようになり友達といってもいい関係になった。
知り合いから友達に。それでも仁泰は美葉と付き合おうとは思わなかった。いや、思えなかったのだ。
距離は近くなったとはいえ二人の間にはまだまだ障壁が多い。仁泰は運動部に所属していて塾にも通っていた。それになにより彼女がいる。一方美葉にも最近付き合っている人がいるとの噂があった。
しかし、二人の距離はゆっくりと、確かに近づいていた。メールの内容も悩み相談などの深い内容になっていった。
仁泰は美葉に悩みを話すのは好きではなかった。自分のいいところだけを知ってほしかったから。
それでも美葉が自分のことを考えてくれる。自分のことをわかろうとしてくれている。それが仁泰にとってどうしようもなく嬉しかった。部活のことも、勉強のことも、彼女のことも話した。
嫌われるかもしれないと考えたが、彼女の明るさが仁泰の暗い悩みを消してくれた。
秋を通り過ぎ冬になると美葉の仁泰に対する態度が少しずつ変わっていった。
席も隣になりメールでの態度がそのままクラスでの二人に反映されていった。
他の誰も知らない二人の秘密。
周りからいくらとやかく言われようとも構わなかった。
お互い全く違う性格で趣味すらも噛み合わない、付き合っている人もいる。
背中合わせの二人だからこそ自分の見えない世界をお互いに共有し、補完していた。
たとえ正面にいる人は違っていても、誰にも干渉されない二人の世界がそこにはあった。
root rot *製作途中*
稚拙な文でしたが見てくれてありがとうございました。
タイトルの意味は”根腐れ”です。
一度腐ってしまうと、どんなに頑張っても、もとには戻れません。
しかし形は失っているのに残ってしまうものがある。無意味と知りながらすがる。そうして過ごす日々に意味があるのかもしれません。