リターンマッチ

 森のクマが企画した合コンだった。森に住むほとんどの動物が集まっていたが、一番張り切っているのはウサギで、相手かまわず声をかけていた。
「マジやばくねえ。あんたチョーかわいくねえ」
 いいのか悪いのかちっともわからないため、大抵は無視されている。
 そこに遅れてカメがやって来た。
 誰にも相手にされずカリカリしていたウサギは、おとなしそうなカメに八つ当たりを始めた。
「あんたウザイんだけど。見てるとムカツクんだけど」
 カメはゆっくり口を開いた。
「ほほう。それはそれは。先祖の因縁でしょうか」
「ぜんぜん意味わかんないんだけど」
「ああ、あなたはお若いから、ご存知ないんですね。われわれの先祖もイザコザがあって、競争をして決着をつけたそうです。いかがでしょう。われわれもひとつ、競争をしてみませんか」
「あんた身の程知らずじゃねえ。空気読めてなくねえ」
「ええと、それはオーケーということでしょうか」
「おれがビビるわけなくねえ」
「うーん、まあ、オーケーということで、話を進めますが、ただ競争するだけではつまりませんから、いっそ全財産を賭けることにいたしましょうか」
「おれマジでガチで勝つんだけど。あんたやばくなくねえ」
「さあ、それは勝負ですから、わかりませんよ。あなたのご先祖様は油断して、途中で居眠りをして負けたそうですからね」
「おれ昨日早く寝たし、さっきコーヒー飲んだし、目冴えまくってんだけど」
「わかりました。それでは競争の方法を説明します。この森の北にある海岸に行き、早く向こう岸まで辿り着いた方の勝ちとします。尚、海の中にはサメがたくさんいますので、どうか気をつけてくださいね」
「それ別の話じゃなくねえ。おれサメに皮剥がれちゃわなくなくねえ。マジやばくなくなくなくねえ。っていうか、それヒドくなくなくなくなく、うえーん」
(おわり)

リターンマッチ

リターンマッチ

森のクマが企画した合コンだった。森に住むほとんどの動物が集まっていたが、一番張り切っているのはウサギで、相手かまわず声をかけていた。「マジやばくねえ。あんたチョーかわいくねえ」 いいのか悪いのかちっともわからないため、大抵は無視されている…

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-02-16

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